緩和ケアを受けている進行がん患者の動揺性せん妄に対するハロペリドールへのロラゼパム追加の効果は、ハロペリドール単独と比較して有効ですか?(単施設 DB-RCT; JAMA 2017)

Effect of Lorazepam With Haloperidol vs Haloperidol Alone on Agitated Delirium in Patients With Advanced Cancer Receiving Palliative Care: A Randomized Clinical Trial

David Hui et al.

JAMA. 2017 Sep 19;318(11):1047-1056.doi: 10.1001/jama.2017.11468.

PMID: 28975307

PMCID: PMC5661867

DOI: 10.1001/jama.2017.11468

Trial registration: clinicaltrials.gov Identifier: NCT01949662.

試験の重要性

末期のせん妄における焦燥をコントロールするためのベンゾジアゼピン系薬剤の使用は議論の的となっている。

目的

進行がんで せん妄を有する患者における持続性の焦燥に対するハロペリドールの補助薬としてのロラゼパムとプラセボの効果を比較する。

試験デザイン、設定、参加者

テキサス州MDアンダーソンがんセンターの急性緩和ケア病棟で実施された単施設、二重盲検、並行群間ランダム化臨床試験で、2014年2月11日から2016年6月30日までにハロペリドールの投与が予定されていたにもかかわらず、進行がんで焦燥性せん妄を有する患者93例が登録され、2016年10月にデータ収集が終了した。

介入

焦燥エピソードの発症時にハロペリドール(2mg)の静脈内投与に加えて、ロラゼパム(3mg)を静脈内投与(n=47)またはプラセボ(n=43)。

主要アウトカムおよび測定法

主要アウトカムは、ベースラインから投与8時間後までのRichmond Agitation-Sedation Scale(RASS)スコアの変化(範囲:-5[unarousable]~4[very agitated or combative])であった。

副次的エンドポイントは、神経遮断薬のレスキュー使用、せん妄の想起、快適さ(介護者および看護師の知覚)、コミュニケーション能力、せん妄の重症度、副作用、退院転帰、および全生存であった。

結果

・ランダム化された患者90例(平均年齢 62歳、女性 42例[47%])のうち、58例(64%)が試験薬を投与され、52例(90%)が試験を終了した。

・ロラゼパム+ハロペリドール(-4.1点)は、プラセボ+ハロペリドール(-2.3点)と比較して、8時間後のRASSスコアの有意に大きな低下を示した。

★平均差 = -1.9点、95%CI -2.8~ -0.9;P<0.001

・ロラゼパム+ハロペリドール群は、プラセボ+ハロペリドール群(4.0mg)よりも神経弛緩薬のレスキュー使用で中央値(2.0mg)が少なく(中央値差 = -1.0mg、95%CI -2.0~0;P =0.009)、盲検の介護者と看護師の両方からより快適であると認識された。

★介護者:ロラゼパム+ハロペリドール群 84% vs. プラセボ+ハロペリドール群 37%

★平均差 = 47%、95%CI 14%~73%;P =0.007

★看護師:ロラゼパム+ハロペリドール群 77% vs. プラセボ+ハロペリドール群 30%

★平均差 = 47%、95%CI 17%~71%;P = 0.005

・せん妄に関連した苦痛および生存期間には、グループ間に有意差は認められなかった。最も一般的な副作用は運動機能減退(hypokinesia)であった。

★ロラゼパム+ハロペリドール群 3例[19%] vs. プラセボ+ハロペリドール群 4例[27%]

結論と関連性

進行がんの入院患者を対象としたこの予備的試験では、ハロペリドール単独投与と比較して、ロラゼパムをハロペリドールに追加投与することで、8時間後の焦燥が有意に減少した。

一般化可能性と副作用を評価するためには、さらなる研究が必要である。

コメント

がんや認知症、ICU、入院等により せん妄リスクが増加することが報告されています。せん妄はその症状により、過活動型(hyperactivity)、低活動型(hypoactivity)、混合型(mixed)の3つに分けられます。また、せん妄に対する有効な治療はほとんどありません。

さて、本試験結果によれば、ハロペリドールへのロラゼパム追加は、プラセボと比較して、Richmond Agitation-Sedation Scale(RASS)スコアを平均差で -1.9減らしました。しかし、この差は臨床的に意義のある差の最小値(MCID)である4以上の変化を示せませんでした(参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29469951/)。

やはり、せん妄治療は難しそうですね。ただし本試験はパイロット試験のようですので、今後の研究結果を待ちたいと思います。

✅まとめ✅ 進行がんを有する入院患者におけるハロペリドールへのロラぜパム追加は、プラセボの追加と比較して、8時間後の焦燥(agitation)が有意に減少したが、臨床的に意義のある最小差には至らなかった

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