妊婦によるフェキソフェナジンの使用は胎児にどのような影響を与えますか?(デンマークPSマッチング コホート研究; JAMA Pediatr.2020)

Association Between Fexofenadine Use During Pregnancy and Fetal Outcomes

Niklas Worm Andersson et al.

JAMA Pediatr.2020.

PMID: 32478810

PMCID: PMC7265125 (available on 2021-06-01)

DOI: 10.1001/jamapediatrics.2020.1316

試験の重要性

フェキソフェナジン塩酸塩は、妊娠中のアレルギー疾患の治療薬として頻繁に使用されているが、フェキソフェナジン使用時の胎児への安全性は充分に検討されていない。

目的

妊娠中のフェキソフェナジン使用に関連した胎児の有害転帰のリスクを調査する。

試験デザイン、設定、参加者

2001 年 1 月 1 日から 2016 年 12 月 31 日までのデンマークでの妊娠を対象に、全国規模の登録ベースのコホート研究を実施した。

データ解析は、2019 年 3 月 21 日から 2020 年 1 月 29 日まで実施した。

妊婦1,287,668例のコホートから、妊娠中のフェキソフェナジンの使用とセチリジン塩酸塩の使用を比較し、傾向スコアで比率1:1でマッチングさせた。

各アウトカム解析に応じて、異なる試験コホートと曝露期間が適用された。

感度解析では、妊娠中にフェキソフェナジンの曝露を受けた妊娠と受けなかった妊娠を比較したが、妊娠前にフェキソフェナジンを使用したことがある場合と、妊娠中にロラタジンを使用したことがある場合を追加の比較対象群として比較した。

曝露

フェキソフェナジン(処方箋の記入データより特定)

主要アウトカムおよび測定法

主要アウトカムは主要な出生異常および自然流産。 副次的アウトカムは早産、妊娠低年齢児(SGA)、死産であった。

主要な先天性欠損症、早産、SGAの有病率オッズ比(OR)の推定にロジスティック回帰を用い、自然流産と死産のハザード比(HR)の推定にコックス比例ハザード回帰を用いた。

結果

・主要な先天性欠損症および自然流産の解析では、フェキソフェナジンを使用した妊娠2,962例および4901例を、それぞれセチリジンを使用した妊娠と1:1の比率でマッチングさせて対象とした。

・主要な先天性欠損症の解析のためのフェキソフェナジンコホートの平均(SD)年齢は30.6(4.8)歳であり、自然流産の解析のための年齢は30.4(5.5)歳であった。

・大規模な先天性奇形を伴って生まれた乳児は、セチリジン使用時の112例(3.8%)と比較して、フェキソフェナジン使用時の118例(4.0%)の妊娠で発生していた。

・自然流産は、セチリジン使用時の妊娠439件(9.0%)に対し、フェキソフェナジン使用時には妊娠413件(8.4%)発生しました。

・妊娠中のフェキソフェナジン使用は、妊娠中のセチリジン使用と比較して、大規模な先天性欠損症(有病率OR=1.06;95%CI 0.81~1.37)または自然流産(HR=0.93;95%CI 0.82~1.07)のリスク増加とは関連していなかった。

・早産は、セチリジン使用時382例(7.7%)と比較して、フェキソフェナジン使用時370例(7.5%)で発生した(有病率OR=0.97;95%CI 0.83〜1.12)。

・妊娠低年齢児(SGA)は、セチリジン使用時523例(10.2%)と比較して、フェキソフェナジン使用時515例(10.1%)で発生した(有病率OR=0.98;95%CI 0.87〜1.12)。

・フェキソフェナジン使用時に合計16妊娠(0.3%)が死産に終わったのに対し、セチリジン使用時には、妊娠24例(0.4%)が死産であった(HR=0.67;95%CI 0.36〜1.27)。

・ロラタジンを使用した妊娠と、妊娠中にフェキソフェナジンを使用していないがフェキソフェナジンを使用したことがある妊娠の比較を含む主要アウトカムの感度解析でも、同様の結果が得られた。

結論と関連性

妊娠中のフェキソフェナジンの使用は、有害な胎児転帰のリスクの増加とは関連していないようである。

コメント

デンマークの一般人口データベース研究。個人的には、欧州の中でもデンマークは妊婦に関する研究を多く行っている印象があります。

これまで妊婦および胎児に対する抗ヒスタミン薬について、コホート研究により安全性が高い可能性が示されているのは第一世代、セチリジン、そしてロラタジンです。

特に第一世代の抗ヒスタミン薬は長く使用されてきた歴史があり、第二世代に比べてデータが豊富ですので、よりリスクを捉えやすいと考えます。一方、第二世代の抗ヒスタミン薬については、第一世代に比べて副作用が少ないものの、その使用の歴史は浅く、内的妥当性の高い研究も少ないことから、臨床研究の実施が求められています。

さて、本試験結果によれば、妊婦へのフェキソフェナジン使用は、ロラタジンやセチリジン、そしてフェキソフェナジンの使用歴を有する患者集団と比較して、胎児アウトカムのリスクを増加させませんでした。

これまでもフェキソフェナジンについては、安全性が高い可能性が示されていましたので、これを補うデータが得られたという印象です。ただし、あくまでも仮説生成的な結果ですので、引き続き情報を集めていく必要があると考えます。

外的妥当性については、やや低いかもしれませんが、そもそも妊婦に対する薬剤の安全性評価は海外の臨床研究データに基づいています。また抗ヒスタミン薬の人種差は、他剤と比較して、そこまで大きくないと個人的には捉えています。

とはいえ、日本においてもエビデンスが創出されるに越したことはありません。

✅まとめ✅ デンマークのコホート研究では、妊婦へのフェキソフェナジン使用は胎児アウトカムに対するリスク増加に影響しないかもしれない

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