Percutaneous Coronary Intervention Versus Coronary Artery Bypass Graft for Left Main Coronary Artery Disease: A Meta-Analysis
Michele Gallo et al.
J Thorac Cardiovasc Surg. 2020 Apr 15;S0022-5223(20)30888-6. doi: 10.1016/j.jtcvs.2020.04.010. Online ahead of print.
PMID: 32499076
DOI: 10.1016/j.jtcvs.2020.04.010
Keywords: cardiac surgery; coronary artery bypass graft surgery; drug-eluting stent; left main coronary disease; percutaneous coronary intervention.
背景
左主冠動脈疾患患者に対する最適な再灌流戦略については、いまだに議論の余地がある。本研究は、左主冠動脈疾患に対する薬剤溶出ステントを用いた経皮的冠動脈インターベンション(PCI)と冠動脈バイパスグラフト(CABG)の治療成績を比較検討することを目的としたシステマティックレビューおよびメタアナリシスである。
方法
薬剤溶出ステントを用いたPCIとCABGを比較したランダム化試験について、2020年1月までにオンライン電子データベースを系統的にレビューした。
主要アウトカムは、全死亡、心筋梗塞(MI)、脳卒中、血行再建術(repeated revascularization)であった。
副次的アウトカムとして、硬膜外および非硬膜外MIが含まれた。
追跡期間は30日、1年、5年であった。
オッズ比と95%信頼区間は固定効果モデルを用いて算出した。
結果
・左主冠動脈疾患を有する合計4,595例(ランダム化試験5件)を対象とした。
・30日後と1年後の時点で、PCIはCABGと比較して、脳卒中の発生率が低く、血行再建術、死亡率とMIのオッズが同等であった。5年後、PCIはCABGと比較してMIの発生率(オッズ比 1.43;95%信頼区間 1.13〜1.79;P = 0.003)および血行再建術(オッズ比 1.89;95%信頼区間 1.58〜2.26;P < 0.001)が高かった。PCIは30日目には下部硬膜周囲MIの減少と関連していたが、5年目には非硬膜外MIの増加と関連していた(オッズ比 2.32;95%信頼区間 1.62〜3.31;P < 0.001)。死亡率と脳卒中率は5年後の追跡調査では差がなかった。
結論
左主冠動脈疾患でPCIまたはCABG治療を受けた患者では、初期死亡率および5年後の死亡率に有意差は認められなかった。
CABGは30日後と1年後の脳卒中率の上昇と関連していたが、PCIは5年後のMIの増加と再灌流の必要性と関連していた。
コメント
左主冠動脈疾患に対するPCIおよびCABGの効果について、どちらが優れているのかについては議論が分かれるところです。
さて、本試験結果によれば、術後30日、1年、5年において死亡率に差は認められませんでした。CABGは術後30日および1年の脳卒中リスク増加と関連していました。一方、PCIは術後5年のMIリスク増加と再灌流の必要性と関連していました。
左主冠動脈疾患に対してはPCIが主流であると考えますが、PCIを実施できない患者に対してはCABGを実施するしかありません。現時点においては、ハードアウトカムに差は認められていないため、どちらを選択するのかは患者背景によると思います。
続報を待ちたい。
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