PCI後の冠動脈疾患患者におけるニコランジルの効果はどのくらいですか?(SR&MA; Int Heart J. 2019)

Effects of Nicorandil on All-Cause Mortality and Cardiac Events in CAD Patients Receiving PCI

Xin Zhang et al.

Int Heart J. 2019 Jul 27;60(4):886-898.doi: 10.1536/ihj.18-337. Epub 2019 Jul 12.

PMID: 31308321

DOI: 10.1536/ihj.18-337

Keywords: Adjunctive therapy; Cardiovascular events; EPCI; PPCI; Prognosis.

背景

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた冠動脈疾患(CAD)患者の予後にニコランジルの効果を示す現在の研究は、サンプルサイズが小さく、イベントが少ないために結論が出ていない。

方法

PubMed,、OVID、CBM、CNKIデータベースは、PCIを受けるCAD患者へのニコランジルの効果を研究するランダム化比較試験(RCT)を収集するために、事前に指定された検索文字列を使用して検索され、全死亡率と心血管イベントに関するデータを収集した。

メタ解析にはRevMan 5.3ソフトウェアを使用した。

サブグループ解析は一次PCI(PPCI)および選択的PCI(待機的PCIとも呼ばれる、EPCI)を受けている患者を対象に実施した。

結果

・ニコランジル治療は、PPCI(Peto OR = 0.44、95%CI 0.25〜0.79、P = 0.006)およびEPCI(Peto OR = 0.41、95%CI 0.25〜0.67、P = 0.0004)における総死亡率を有意に減少させた。

・PPCIでは心血管死(Peto OR = 0.41、95%CI 0.20~0.84、P = 0.01)、EPCIでは心血管死(Peto OR = 0.40、95%CI 0.20~0.80、P = 0.009)、PPCIでは心不全(RR = 0.36、95%CI 0.22~0.59、P < 0.0001)において、ニコランジル使用によるリスク低下が認められた。

・プラセボ+標準治療または標準治療単独と比較した場合、ニコランジル+標準治療は、PPCI と EPCI の両方で全死亡率の減少、EPCI での CV 死亡、PPCI での心不全の減少と関連していた。

結論

ニコランジルを28日以上投与された患者では、PPCIおよびEPCIにおける総死亡およびCV死亡のリスクが低下することと関連している。

PCIへの併用療法としてのニコランジルは、PPCI患者およびEPCI患者における全死亡率および心血管死の減少、PPCI患者における心不全の減少と関連している。

コメント

PCIを受けた冠動脈疾患(CAD)患者におけるニコランジル(シグマート®️)の効果を検証した試験。

PCIは、主に急性心筋梗塞患者に対するprimary PCI(一次的PCI)と安定冠動脈疾患に対するselective PCI(待機的PCIあるいは選択的PCI)に分けられます。ニコランジルの大規模な試験はIONA study(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11965271/)が有名ですが、この試験で対象となったのは安定狭心症患者です。一次エンドポイントである冠動脈心疾患死、非致死性心筋梗塞(MI)、胸痛による緊急入院について、ニコランジル群は、プラセボ群と比較して、有意に発生率が低下しました(ハザード比0.83、95%信頼区間 0.72〜0.97;p=0.014)。ただし、用法は20mgを1日2回と、一般的に日本で使用されている用法用量(1日量15mgを3回に分割経口投与)とは異なります。どこまでが適宜増減となるのか難しいところです。

さて、今回の研究結果により、一次的、待機的に関わらず、PCI後の冠動脈疾患患者において、総死亡および心血管死リスクが低下しました。オッズ比は約6割減少するようですが、あくまでもオッズ比ですので、結果を過大評価している可能性もあります。

とはいえ、これまでに報告された結果(以前に報告されたメタ解析)と矛盾はありません。ただし、PCIを受けていない患者におけるニコランジル使用がハードアウトカムを減少させるのかは不明です。

またメタ解析に組み入れられた研究について、リスクオブバイアステーブルの結果から、コンシールメント、患者および介入者へのマスキング、アウトカム評価者へのマスキングの項目にバイアスが入り込みやすいと考えられます。

一方、各研究の重み付けは、そこまで偏っていないように思います。また研究間の異質性についても低度であり、そこまで結果に影響を与えるようなメタ解析の研究手法の質の低下はないと考えます。

✅まとめ✅ 一次的、待機的に関わらず、PCI後の冠動脈疾患患者において、ニコランジルは総死亡および心血管死リスクを低下させた

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