COVID-19患者に対するイブプロフェン使用のリスクはどのくらいですか?(イスラエル単施設・後向きコホート研究; Clin Microbiol Infect. 2020)

Ibuprofen Use and Clinical Outcomes in COVID-19 Patients

Ehud Rinott et al.

Clin Microbiol Infect. 2020 Jun 11;S1198-743X(20)30343-8. doi: 10.1016/j.cmi.2020.06.003. Online ahead of print.

PMID: 32535147

PMCID: PMC7289730

DOI: 10.1016/j.cmi.2020.06.003

Keywords: Antipyretics; COVID-19; Ibuprofen.

目的

最近、イブプロフェンは重症で致死的なCOVID-19疾患のリスクを高める可能性があることが示唆されており、この患者集団ではイブプロフェンの使用は避けるべきであると考えられている。

我々は、COVID-19患者におけるイブプロフェンの使用が、paracetamol(アセトアミノフェン)を使用している患者や解熱剤を使用していない患者と比較して、より重篤な疾患と関連しているかどうかを評価することを目的とした。

方法

イスラエルのShamir Medical CenterのCOVID-19患者を対象としたレトロスペクティブコホート研究において、COVID-19と診断される1週間前から疾患期間中のイブプロフェンの使用をモニターした。

主要アウトカムは死亡率と、酸素投与や機械換気などの呼吸支援の必要性であった。

結果

・本研究には、年齢(中央値)45歳のCOVID-19の確定症例403例が含まれていた。

・コホート全体のうち、44例(11%)が呼吸器サポートを必要とし、12例(3%)が死亡した。患者197例(44%)が発熱し、32%がアセトアミノフェン、22%がイブプロフェンを症状緩和のために使用していた。

・イブプロフェン群では患者3例(3.4%)が死亡したが、非イブプロフェン群では患者9例(2.8%)が死亡した(P=0.95)。イブプロフェン群では9例(10.3%)が呼吸補助を必要とし、非イブプロフェン群では35例(11%)が死亡した(P=1)。

・アセトアミノフェンの排他的使用者と比較した場合、イブプロフェンを使用している患者では死亡率や呼吸器サポートの必要性に差は認められなかった。

結論

COVID-19患者のコホートにおいて、イブプロフェンの使用は、アセトアミノフェンまたは解熱剤を使用しない場合と比較して、臨床アウトカムの悪化とは関連していなかった。

コメント

2020年3月、フランスの保健大臣は「イブプロフェンやコルチゾンのような抗炎症薬は、感染症を悪化させる可能性があるとして、COVID-19患者への使用を控えるよう」勧告を発表しました。

さて、本試験結果によれば、COVID-19患者に対するイブプロフェン使用は、アセトアミノフェンあるいは解熱剤不使用と比較して、死亡リスクや呼吸補助について差が認められませんでした。単施設の後向き研究であるため、他の患者層や地域など、一般化は困難であると考えられます。

ちなみに、本研究において、重篤な疾患とは、呼吸補助(補助的酸素投与または換気)が必要な状態、集中治療室への入院、または死亡と定義されています。

話は変わりますが、日本において、インフルエンザ感染症のライ症候群発症リスク回避のために、NSAIDsではなくアセトアミノフェンを使用するのが一般的です。しかし、海外では、他のNSAIDsと比較してイブプロフェンの安全性の高さが示されており、アセトアミノフェン(Paracetamol)と同様、一般的に使用されています。

状況によっては解熱剤を使用する必要は必ずあるため致し方ありませんが、COVID-19に対するNSAIDs使用については、今後の研究結果を待ちたいところです。

✅まとめ✅ イスラエルCOVID-19患者のコホートにおいて、イブプロフェンの使用は、アセトアミノフェンまたは解熱剤を使用しない場合と比較して、臨床アウトカムに差は認められなかった

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