COVID-19における胸部CT検査の有用性はどのくらいですか?(SR&MA; Quant Imaging Med Surg. 2020)

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A Systematic Review of Chest Imaging Findings in COVID-19

Zhonghua Sun et al.

Quant Imaging Med Surg. 2020 May;10(5):1058-1079. doi: 10.21037/qims-20-564.

PMID: 32489929

PMCID: PMC7242306

DOI: 10.21037/qims-20-564

Keywords: COVID-19; Coronavirus infections; computed tomography (CT); diagnosis; imaging; sensitivity; specificity.

背景

胸部コンピュータ断層撮影(CT)は、コロナウイルス疾患2019(COVID-19)の診断において、肺の異常変化を検出し、治療過程で疾患の進行を監視するために頻繁に使用される。さらに、CT画像の出現は、早期 vs. 進行期、無症候性 vs. 症候性患者、重症 vs. 非重症の状況など、異なる臨床シナリオを呈する患者と相関している。

しかし、COVID-19におけるスクリーニングおよび診断ツールとしてのCT画像の役割はまだ明らかにされていない。

本論文では、COVID-19の診断におけるCTの貢献と賢明な使用を強調することを目的に、胸部CT画像所見に関する現在の文献のシステマティックレビューとメタアナリシスを提供する。

方法

COVID-19の胸部画像所見を報告している研究を特定するため、PubMed/Medline、Web of Science、ScienceDirect、Google Scholar、Scopusの検索を行った。

対象となる研究からCOVID-19に関連する胸部画像異常を抽出し、これらの異常変化を検出するためのCTの診断的価値をCOVID-19患者とCOVID-19以外の患者からなる研究間で比較した。

画像異常所見のプール平均値と95%信頼区間(95%CI)を算出するためにランダムエフェクトモデルを用いてメタ解析を行った。

結果

・研究55件が選択基準を満たし、解析に含まれた。

・肺病変は両側肺に関与することが多く(78%、95%CI 45~100%)、末梢分布(65.35%、95%CI 25.93~100%)および末梢+中心分布(31.12%、95%CI 1.96~74.07%)を有する可能性が高かったが、中心分布(のみ)を有する可能性は低かった(3.57%、95%CI 0.99~9.80%)。

・肺スリガラス状陰影(GGO)(58.05%、95%CI 16.67〜100%)、圧密(44.18%、95%CI 1.61〜71.46%)、およびGGO+圧密(52.99%、95%CI 19.05〜76.79%)は、94.5%(52/55件)で報告された最も一般的な所見であった。

・次いで気管支透瞭像(42.50%、95%CI 7.78〜80.39%)、線状影(41.29%、95%CI 7.44〜65.06%)、メロンの皮様所見(23.57%、95%CI 3.13〜91.67%)、および葉間中隔肥厚(22.91%、95%CI 0.90〜80.49%)が報告されている。

・CTは、COVID-19患者と非COVID-19患者の間に有意な重複があり、これら2群間ではほとんどの画像所見に有意差がないため、肺炎に関連した肺の変化を鑑別する上で特異性が低い(P>0.05)。さらに、正常なCT(13.31%、95%CI 0.74~38.36%)が研究26件(47.3%)で報告された。

結論

現在の文献に基づいてCOVID-19患者の診断にCTが広く使用されているにもかかわらず、CT所見は、異なるタイプの肺炎に起因する画像所見を鑑別する上で特異性に欠けているため、病理学的に認知されていない。さらに、正常なCTスキャンの割合が比較的高い。COVID-19における第一選択の診断またはスクリーニングツールとしてのCTの使用は推奨されない。

コメント

COVID-19に対する胸部CT検査の有用性について検討した研究。試験結果としては、COVID-19患者において、正常なCTスキャンの割合が比較的高いことから、COVID-19における第一選択の診断またはスクリーニングツールとしてのCTの使用は推奨されないとのこと。

そもそも胸部CT検査のみでCOVID-19を確定できるわけではありません。過去の報告では、COVID-19に対するCT検査の感度は92%、特異度は25〜33%であることから、検査陰性であれば、COVID-19を除外できる可能性が高まります(SnOUT)。つまり、そもそも胸部CT検査はCOVID-19に伴う肺炎を確定するためのものではありません。この点においては、本試験結果と一致しています。

ここからは個人的な見解ですが、胸部CT検査は、サチュレーション、血液検査など他の検査と組み合わせた場合に、COVID-19の診断に有用である可能性は高いと考えます。また現状、肺炎であるか否かで、COVID-19に対する治療が変わるわけではありません。高熱であれば患者の状態を見つつ解熱が必要となるでしょうし、肺炎の所見があればエンピリック治療や起因菌の特定の実施、栄養状態が悪く嚥下困難であれば点滴などをすると考えます。

したがって、COVID-19重症患者か否かを判断する材料の1つとしてCT検査の実施を考慮しても良いと考えます。

✅まとめ✅ COVID-19に対する胸部CT(のみの)検査は第一選択の診断またはスクリーニングツールとして推奨されない

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