DPP-4阻害薬使用による水疱性類天疱瘡リスクはどのくらいですか?(SR&aMA; Australas J Dermatol. 2020)

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Dipeptidyl peptidase-4 Inhibitors and Bullous Pemphigoid: A Systematic Review and Adjusted Meta-Analysis

Kevin Phan et al.

Australas J Dermatol. 2020 Feb;61(1):e15-e21. doi: 10.1111/ajd.13100. Epub 2019 Jun 19.

Keywords: bullous pemphigoid; gliptin; linagliptin; peptidyl peptidase-4 inhibitor; saxagliptin; sitagliptin; vildagliptin.

PMID: 31215644

DOI: 10.1111/ajd.13100

背景/目的

糖尿病治療薬のジペプチジルペプチダーゼ-4阻害薬(DPPI)と水疱性類天疱瘡(BP)の発症との関連性を報告する症例報告や小規模な臨床シリーズが多数報告されている。

本研究の目的は、DPPIの使用とBPとの関連性を評価し、DPPIの種類によって異なるかどうかを検討することであった。

方法

PRISMAガイドラインに基づき、システマティックレビューとメタアナリシスを実施した。

症例と対照を含む5つの研究を同定した。関連性の可能性を評価するために、無調整および調整メタアナリシスを行った。

結果

・調整メタアナリシスでは、DPPIの使用とBPとの間に有意な関連が認められた。

★OR =2.13、95%CI 1.59〜2.86、I2 =46%、P <0.00001

・この関連は、リナグリプチン(OR =2.87、95%CI 1.06〜7.79、P =0.04)と比較して、ビルダグリプチンとBP(OR =5.08、95%CI 1.70〜15.19、P =0.004)の間でより強く、シタグリプチンとBP(OR =1.29、95%CI 0.79-2.08、P =0.31)の間には関連は認められなかった。

・サブグループ解析では、DPPI使用とBPの関連は男性(OR =2.35、95%CI 1.46〜3.78、P =0.0005)と女性(OR =1.88、95%CI 1.10〜3.22、P =0.02)で有意なままであることが示された。

結論

試験の限界として、レビューされた研究は、バイアスとランダム化の欠如の影響を受けやすいデザイン、レトロスペクティブであることであった。

我々の調整分析では、DPPIの使用と水疱性類天疱瘡の発症との間の有意な関連が支持された。

ビルダグリプチンは水疱性天疱瘡発症のオッズが最も高かった。これらの知見は、皮膚科医や糖尿病患者やDPPI剤で治療されている患者の管理に臨床的な意味を持つ。

コメント

以前からDPP-4阻害薬の使用と水疱性類天疱瘡リスクについて報告されています。

さて、今回の研究では、5つの研究を組み入れたメタ解析を実施しています。試験結果によれば、DPP-4阻害薬使用による水疱性類天疱瘡リスクのオッズ比は2.13(95%CI 1.59〜2.86、I2 =46%、P <0.00001)。研究の異質性は中等度ですが、過去の報告と矛盾しません。ただし、組み入れられた研究は後向きとのこと。倫理的な問題もあり、RCTの実施は不可能です。データベースを利用した大規模な前向き研究の追試が望まれます。

続報を待ちます。

✅まとめ✅ DPP-4阻害薬使用は水疱性類天疱瘡リスクとなるかもしれない。特にビルダグリプチンのリスク増加が大きかった

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