ハイリスク非合併性インフルエンザ外来患者に対するバロキサビル・マルボキシルの効果はどのくらいですか? (RCT; CAPSTONE-2; phase 3; Lancet Infectious Diseases 2020)

Early treatment with baloxavir marboxil in high-risk adolescent and adult outpatients with uncomplicated influenza (CAPSTONE-2): a randomised, placebo-controlled, phase 3 trial

Prof Michael G Ison et al.

The Lancet Infectious Diseases

THE LANCET Infectious Diseases

Published: June 08, 2020

DOI:https://doi.org/10.1016/S1473-3099(20)30004-9

Funding: Shionogi.

This trial is registered with ClinicalTrials.govNCT02949011.

背景

インフルエンザキャップ依存性エンドヌクレアーゼの選択的阻害薬であるバロキサビル・マルボキシル(以下、バロキサビル)は、12歳以上の合併症のないインフルエンザの治療薬として、2018年に米国と日本で承認された。

我々は、インフルエンザ関連の合併症を発症するリスクが高い外来患者を対象に、バロキサビルの有効性を検討することを目的とした。

試験方法

我々は、17ヵ国および地域の551施設における12歳以上の外来患者を対象に、二重盲検、プラセボ対照、オセルタミビル対照試験を実施した。

対象患者は、臨床的にインフルエンザ様疾患と診断され、インフルエンザ関連合併症の危険因子が少なくとも1つ(例えば、65歳以上の年齢)あり、症状の持続時間が48時間未満であった。

患者は、ベースラインの症状スコア(14点以下 vs. 15点以上)、インフルエンザ前と比較した発症時の症状および症状の悪化(はい vs. いいえ)、地域(アジア、北米および欧州、または南半球)、および体重(80kg未満 vs. 80kg以上)によって層別化され、対話型Webサイトを介してランダムに割り付けられた(1.1:1)。

インタラクティブなウェブ応答システム(IWRS)を介して、体重に応じたバロキサビルの単回投与(体重が80kg未満の患者には40mg、体重が80kg以上の患者には80mg;バロキサビル群)、オセルタミビル75mgを1日2回5日間投与(オセルタミビル群)、またはプラセボ(プラセボ群)のいずれかにランダム割り付けした(1:1)。

すべての患者、治験責任医師、試験担当者、データ解析者は、データベースがロックされるまで治療の割り付けをマスクされた。

主要エンドポイントは、修正治療意図集団におけるインフルエンザ症状の改善までの時間(time to improvement of influenza symptoms, TTIIS)とし、試験薬を少なくとも1回投与され、RT-PCRでインフルエンザウイルス感染が確認された全患者を対象とした。

安全性は、試験薬を少なくとも 1 回投与されたすべての患者で評価された。

所見

・2017年1月11日から2018年3月30日までに患者2,184例が登録され、バロキサビル(n=730)、プラセボ(n=729)、またはオセルタミビル(n=725)の投与を受けるようにランダム割り付けされた。

・修正されたintention-to-treat集団には患者1,163例が含まれていた。バロキサビル群388人、プラセボ群386人、オセルタミビル群389人。1163例中557例(48%)がインフルエンザA H3N2、484例(42%)がインフルエンザB、80例(7%)がインフルエンザA H1N1、14例が混合感染、28例が非型別ウイルス感染であった。

・TTIIS中央値は、バロキサビル群でプラセボ群よりも短かった。

★バロキサビル群:TTIIS =73.2 h、95%CI 67.2~85.1

★プラセボ群:TTIIS =102.3 h、95%CI 92.7~113.1

 群間差 =29.1 h、95%CI 14.6~42.8;p<0.0001

・オセルタミビル群の TTIIS 中央値は 81.0 h(95% CI 69-4~91-5)であり、バロキサビル群との差は7.7 h(-7.9~22.7)であった。

・有害事象は、バロキサビル群で730例中183例(25%)、プラセボ群で727例中216例(30%)、オセルタミビル群で721例中202例(28%)に報告された。

・重篤な有害事象は、バロキサビル群5例、プラセボ群9例、オセルタミビル群8例に認められ、プラセボ群では高血圧、吐き気が各1例、オセルタミビル群ではトランスアミナーゼ上昇が各2例であり、治療に関連したものと考えられた。

・バロキサビル感受性を低下させるIle38Thr、Ile38Met、またはIle38Asn置換を有するポリメラーゼ酸性タンパク質バリアントは、ウイルスのアミノ酸置換を評価した290例のバロキサビル投与者のうち15例(5%)に認められた。

結果の解釈

バロキサビル単回投与は、ハイリスク外来患者におけるインフルエンザ症状の改善に対して、プラセボよりも優れた有効性を有し、オセルタミビルと同等の有効性を有していた。バロキサビルの安全性はプラセボと同等であった。

本試験は、インフルエンザの合併症リスクが高い患者に対する早期治療を支持し、臨床的な回復を早めるとともに合併症を軽減することを目的としている。

コメント

バロキサビル・マルボキシル(ゾフルーザ ®️)の効果を検証した第3相試験。実薬対照にオセルタミビル(タミフル®️)を設定しています。

さて、試験結果によれば、バロキサビルはプラセボよりも、インフルエンザ症状の改善までの時間(TTIIS)が29.1時間(95%CI 14.6~42.8;p<0.0001)短かったようです。また、オセルタミビルと比較した場合、TTIISが7.7時間(-7.9~22.7)短かったとのこと。

有害事象は3群間で同様の発現率であり、感受性低下は5%だったようです。ただし、重篤かつ低頻度の有害事象については、まだ充分に検討されていません。

コストについては、オセルタミビルと比較してバロキサビルの方が2〜8倍高価です。一方で、治療期間については、オセルタミビルが5日間、バロキサビルが1日です。

またバロキサビル単剤使用について、日本感染症学会(2019年10月24日:http://www.kansensho.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=37)が以下のように提言しています。

(1)12-19歳および成人:臨床データが乏しい中で、現時点では、推奨/非推奨は決められない。
(2)12歳未満の小児:低感受性株の出現頻度が高いことを考慮し、慎重に投与を検討する。
(3)免疫不全患者や重症患者では、単独での積極的な投与は推奨しない。

個人的にはバロキサビルの使いどころがわかりません。メリットは治療期間が1日という1点だけであると思います。

✅まとめ✅ 12歳以上のハイリスク外来患者におけるインフルエンザ症状の改善までの時間において、バロキサビル単回投与はプラセボよりも29.1時間、オセルタミビルよりも7.7時間短かった

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