アルコール摂取は心房細動リスクに関連しない?(2標本のメンデリアンランダム化比較試験; NMCD 2020)

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No association between alcohol consumption and risk of atrial fibrillation: A two-sample Mendelian randomization study

Qi Jiang et al.

Published Online: April 24, 2020

Redirecting

背景と目的

アルコール摂取と心房細動(AF)の関連性を示唆する多くの観察研究があるが、論争が続いている。

本研究は、アルコール摂取と心房細動リスクとの因果関係を検討することを目的とした。

方法

アルコール消費、アルコール依存、またはアルコール使用障害同定テスト(AUDIT)スコアが心房細動に及ぼす因果関係を推定するために、2標本のメンデルランダム化(MR)解析を行った。

全体的な因果関係を計算するために、固定効果およびランダム効果逆分散加重(IVW)法を用いた。

結果

・心房細動に関連する一塩基多型(SNP)に関するサマリーデータは、最大1,030,836人の参加者を対象としたゲノムワイド関連研究から得られた。

・MR解析では、固定効果およびランダム効果IVW法を用いて、遺伝的に予測されたアルコール摂取と心房細動リスクとの間に有意でない関連性が認められた。

★オッズ比(OR)[95%信頼区間(CI)]=1.004[0.796〜1.266]、P=0.975;OR[95%CI]=1.004[0.766-1.315]、P=0.979

—-

・遺伝的に予測されたアルコール依存も、固定効果およびランダム効果IVW解析ではAFと因果関係はなかった。

★OR [95%CI] =1.012 [0.978-1.048]、P = 0.490;OR [95%CI]=1.012 [0.991-1.034]、P = 0.260

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・固定効果およびランダム効果IVW解析では、AUDITとAFの間に有意な因果関係は認められなかった。

★OR [95%CI] = 0.889 [0.433-1.822]、P = 0.748;OR [95%CI] = 0.889 [0.309-2.555]、P = 0.827

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・感度解析では、統計モデルに多元性と不均一性の証拠は認められなかった。

結論

本メンデルランダム化研究では、アルコール摂取量と心房細動との因果関係の証拠は得られなかった。

コメント

観察研究では、基本的に相関関係までしか論じることはできません。しかし本研究では因果関係を検証するためにメンデルランダム化解析を行っています。

さて、本試験結果により、アルコール摂取と心房細動との関連性は認められなかったようです。

ただし、メンデルランダム化解析は、遺伝子多形が ”交絡因子に与える影響がない” という前提で解析されています。したがって今回、調整された遺伝子が交絡因子に影響を与えるとすると、群間の交絡因子を調整できていないことになりますので、因果関係までは述べられない可能性があります。

研究手法としては非常に興味深く、有用な方法だと思いますが、解釈が難しい(自身の勉強が足りていない)ところですね。

✅まとめ✅ アルコール摂取は心房細動リスクとの関連性がない、あるいは少ないかもしれない

コメント

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