非D2受容体結合型抗精神病薬薬であるSEP-363856は統合失調症にどのくらい効果がありますか?(RCT; NEJM 2020)

A Non-D2-Receptor-Binding Drug for the Treatment of Schizophrenia

Kenneth S Koblan et al.

N Engl J Med. 2020.

PMID: 32294346

DOI: 10.1056/NEJMoa1911772

Funded by Sunovion Pharmaceuticals

ClinicalTrials.gov number, NCT02969382.

背景

ドパミンD2受容体には作用しないが、微量アミン関連受容体1(TAAR1)および5-ヒドロキシトリプタミン1A(5-HT1A)受容体にアゴニスト活性を有する経口化合物SEP-363856は、統合失調症の精神病治療のための新しいクラスの向精神薬である可能性がある。

方法

統合失調症の急性増悪を有する成人患者を対象に、SEP-363856の有効性と安全性を評価するためのランダム化比較試験を実施した。

患者は1:1の割合でランダムに割り付けられ、1日1回SEP-363856(50mgまたは75mg)またはプラセボを4週間投与された。

一次エンドポイントは、4週目のPANSS(Positive and Negative Symptom Scale:スコア範囲 30~210、高得点はより重度の精神病症状を示す)の総得点のベースラインからの変化であった。

副次的エンドポイントは、Clinical Global Impressions Severity(CGI-S)スケールおよびBrief Negative Symptom Scale(BNSS)のスコアのベースラインからの変化を含む8つの副次的エンドポイントであった。

結果

・SEP-363856群に120名、プラセボ群に125名を割り付けた。

・ベースライン時のPANSSの平均総得点はSEP-363856群で101.4点、プラセボ群で99.7点であり、4週目の平均変化はそれぞれ-17.2点、-9.7点であった(最小二乗平均差 -7.5点、95%信頼区間 -11.9~-3.0、P = 0.001)。

・4週目におけるCGI-SおよびBNSSスコアの低下は、主要アウトカムの低下と概ね同じ方向性であったが、結果は多重比較のために調整されていなかった。

・SEP-363856による有害事象には傾眠と胃腸症状が含まれた;SEP-363856群では心突然死が1例発生した。錐体外路症状の発生率、脂質、糖化ヘモグロビン、プロラクチンのレベルの変化は両群で同様であった。

結論

統合失調症の急性増悪患者を対象とした4週間の試験では、非D2受容体結合型抗精神病薬であるSEP-363856がプラセボに比べてPANSSの総スコアをベースラインから大きく低下させた。

SEP-363856の効果や副作用、統合失調症患者に対する既存の薬物治療との相対的な有効性を確認するためには、より長期かつ大規模な試験が必要である。

コメント

新規クラスの薬剤であるSEP-363856。D2受容体には作用せずに、微量アミン関連受容体1(TAAR1)と5-ヒドロキシトリプタミン1A(5-HT1A)受容体に作用するようです。

小規模な研究結果ですので、やや結果を過大評価している可能性がありますが、PANSSのプラセボとの差が-7.5点(過去の報告で,追跡期間10日超におけるPANSSのMICDは4.25-8.30)ですので、ある程度、実臨床での有効性が認められると考えられます。また統合失調症における治療は基本的に単剤使用が推奨されています。今回の薬剤において単剤での有効性が高ければ、リスクベネフィットが良く、薬価次第になりますが、コストも低くなると考えられます。続報を待ちたい。

✅まとめ✅ 非D2受容体結合型抗精神病薬薬であるSEP-363856は統合失調症患者におけるPANSSをプラセボと比較して有意に低下させる

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