論文1:Open-label study of long-term administration of dotinurad in Japanese hyperuricemic patients with or without gout.
Hosoya T et al.
Clin Exp Nephrol. 2020 Mar;24(Suppl 1):80-91.
doi: 10.1007/s10157-019-01831-5.
PMID: 31875931
PMCID: PMC7066281
ClinicalTrials.gov Identifier. NCT03006445.
KEYWORDS: Dotinurad; FYU-981; Gout; Hyperuricemia; Selective urate reabsorption inhibitor; URAT1 inhibitor
背景
ドチヌラドは、尿酸トランスポーター1(URAT1)を選択的に阻害することで血清尿酸値を低下させる新規の選択的尿酸再吸収阻害薬(SURI)である。
本試験は、痛風の有無にかかわらず高尿酸血症患者を対象に、ドチヌラドを 34 週間または 58 週間投与した場合の有効性と安全性を検証することを目的とした。
方法
本長期試験は、用量の増量を伴う非盲検デザインで行われた。ドチヌラドの投与量は0.5mg/日から開始し、2mg/日まで漸増した。14週目に血清尿酸値が6mg/dL以下にならなかった場合は4mg/日に増量した。
主要エンドポイントは、ベースラインから各診察時までの血清尿酸値の変化率であった。
結果
・2mgの投与では、34週目および58週目の血清尿酸値はベースラインからそれぞれ46.73%および47.17%に減少し、4mgの投与ではそれぞれ54.92%および57.35%であった。また、血清尿酸値が6.0mg/dL以下になった割合は、2mg投与時で34週目で89.11%、58週目で91.30%であり、4mg投与時で97.50%、100.00%であった。
・有害事象発現率は65.2%,副作用発現率は21.8%であった。
結論
痛風の有無にかかわらず,ドチヌラドは高尿酸血症患者の血清尿酸値を2~4mgの用量で十分に低下させ,長期投与における有効性と安全性が確認された。
論文2:Dotinurad versus benzbromarone in Japanese hyperuricemic patient with or without gout: a randomized, double-blind, parallel-group, phase 3 study.
Hosoya T et al.
Clin Exp Nephrol. 2020 Mar;24(Suppl 1):62-70.
doi: 10.1007/s10157-020-01849-0.
PMID: 31980978
PMCID: PMC7066104
CLINICALTRIALS. GOV IDENTIFIER: NCT03100318.
KEYWORDS: Benzbromarone; Dotinurad; FYU-981; Hyperuricemia; Selective urate reabsorption inhibitor; Uricosuric
背景
ドチヌラドは、尿酸トランスポーター1を選択的に阻害することにより、痛風の有無にかかわらず高尿酸血症患者の血清尿酸値を低下させる新規の選択的尿酸再吸収阻害薬である。本試験は、ドチヌラドの有効性と安全性をベンズブロマロンと比較するために実施した。
方法
本 14 週間のランダム化多施設共同二重盲検並行群間比較試験では、痛風の有無にかかわらず高尿酸血症の患者を、ドチヌラド 2 mg とベンズブロマロン 50 mg のいずれかの投与群にランダムに割り付けた。
ドチヌラドまたはベンズブロマロンは1日1回、14週間投与された。
主要エンドポイントは、ベースラインから最終訪問時までの血清尿酸値の変化率であった。
結果
・日本人の痛風の有無にかかわらず高尿酸血症患者201例(ドチヌラド:102例、ベンズブロマロン:99例)に試験薬を1回以上投与した。
・血清尿酸値のベースラインから最終診察時までの平均変化率は、ドチヌラド群が45.9%,ベンズブロマロン群が43.8%であった。
・血清尿酸値の低下におけるドチヌラド2mgとベンズブロマロン50mgの非劣性は、あらかじめ定義された非劣性マージン(95%CI – 1.27~5.37%)で確認された。
・有害事象および有害薬物反応の発生率は両群間で同等であった。
結論
痛風の有無にかかわらず、日本人の高尿酸血症患者を対象に、ドチヌラド2mgはベンズブロマロン50mgと比較して非劣性の血清尿酸降下作用を示すことが確認された。
論文3:A non-inferiority study of the novel selective urate reabsorption inhibitor dotinurad versus febuxostat in hyperuricemic patients with or without gout.
Hosoya T et al.
Clin Exp Nephrol. 2020 Mar;24(Suppl 1):71-79.
doi: 10.1007/s10157-020-01851-6.
PMID: 31970593
PMCID: PMC7066279
KEYWORDS: Dotinurad; Febuxostat; Gout; Hyperuricemia; Selective urate reabsorption inhibitor (SURI); URAT1 inhibitor
背景
ドチヌラドは新規の選択的尿酸再吸収阻害薬であり,尿酸トランスポーター1を選択的に阻害することで血清尿酸値を低下させる。痛風の有無にかかわらず高尿酸血症の日本人患者を対象に、日本で広く使用されているフェブキソスタットと比較して、ドチヌラッドの有効性と安全性を評価した。
方法
本試験は、高尿酸血症患者を対象とした多施設共同、ランダム化、二重盲検、活性化対照、並行群間、強制増量試験である。
ドチヌラド群とフェブキソスタット群の治療は、0.5mg/日と10mg/日で開始し、その後14週間かけてそれぞれ2mg/日と40mg/日に用量漸増した。
主要エンドポイントは、ベースラインから最終診察時までの血清尿酸値の変化率であった。
結果
・痛風の有無にかかわらず、合計203人の高尿酸血症患者が本試験に登録され、ドチヌラド投与群とフェブキソスタット投与群にランダムに割り付けられた。
・ベースラインから最終診察時までの血清尿酸値の変化率は、ドチヌラド群で41.82%、フェブキソスタット群で44.00%であった。平均差は-2.17%(両辺95%信頼区間 -5.26%~0.92%)であった。区間の下限は非劣性マージン(-10%)を超えており、ドチヌラドのフェブキソスタットに対する非劣性を示した。
・有害事象および有害薬物反応のプロファイルは、いずれの群においても目立った安全性の懸念は認められなかった。
結論
血清尿酸降下作用については、ドチヌラドのフェブキソスタットに対する非劣性が確認された。また、安全性についても特筆すべき問題は認められなかった。
コメント
尿酸関連薬としては9年ぶりの新薬。今のところは日本だけでの販売のようです。
さて、上記の臨床試験において、試験に組み入れられていない患者は、尿路結石、重度の肝機能障害(ALT、ASTが100以上)、重度の腎機能障害(eGFR<30mL/min/1.73m2)、そして心血管イベントを有する患者です。
これらの患者における長期的な効果や安全性を検証していくことが課題であると考えます。理由は、尿酸が、腎機能や心血管イベントの発生に関与している可能性が示唆されているからです。また肝機能低下や劇症肝炎については、ベンズブロマロンで警告となっていますが、ドチヌラドでは注意書き程度です。ただし、臨床試験において重度の肝機能障害(ALT、ASTが100以上)が除外されていますので、この患者集団における長期的な安全性については不明です。また薬物動態に関する検討では、3例ではありますが重度肝障害患者において、CmaxおよびTmax、T1/2、AUCの低下傾向が認められており、リスク管理計画書の重要な潜在的リスクとして「肝機能障害」が該当しています。
さらにドチヌラドやベンズブロマロンをはじめとする尿酸排泄促進薬(再吸収抑制薬)は、フェブキソスタットやアロプリノール等の尿酸生成抑制薬に比べて、使用される割合が少ないと考えます。これは、市場シェアを見ても明らかです。そのため、長期的かつ規模の大きい市販後調査には時間がかかることが推測されます。
尿酸生成阻害薬と比較して、尿酸排泄促進薬は尿路結石リスクが増加するため、水分摂取やアルカリ化薬の併用が必須である店にも注意が必要です。
使用実績は臨床試験で58週間までしか検討されていないため、重大な副作用については今後の報告で確認していく必要があります。
有効性としてはベンズブロマロン及びフェブキソスタットに非劣性とのことですが、あくまでもソフトアウトカムの結果においてです。
今後の検討結果を待ちます。
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