COVID-19に対するインターフェロンβ-1b、ロピナビル・リトナビル、リバビリンの3剤併用療法の効果はどのくらいですか?(Open-RCT; Phase 2; Lancet 2020)

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Triple combination of interferon beta-1b, lopinavir–ritonavir, and ribavirin in the treatment of patients admitted to hospital with COVID-19: an open-label, randomised, phase 2 trial

Prof Ivan Fan-Ngai Hung et al.

Lancet 2020.

Published:May 08, 2020

DOI:https://doi.org/10.1016/S0140-6736(20)31042-4

ClinicalTrials.govNCT04276688.

Funding: The Shaw-Foundation, Richard and Carol Yu, May Tam Mak Mei Yin, and Sanming Project of Medicine.

PMID:未

背景

コロナウイルス疾患2019(COVID-19)パンデミックに取り組むためには、効果的な抗ウイルス療法が重要である。

COVID-19患者に対するインターフェロンβ-1b、ロピナビル・リトナビル、リバビリンの併用療法の有効性と安全性を評価した。

方法

本試験は、香港の病院6施設に入院したCOVID-19の成人患者を対象とした多施設共同、前向き、非盲検、ランダム化、第2相試験である。

患者は、ロピナビル400mgとリトナビル100mg(12時間毎)、リバビリン400mg(12時間毎)、インターフェロンβ-1b(800万国際単位を隔日)を14日間投与する群(併用群)、またはロピナビル400mgとリトナビル100mgを12時間毎に14日間投与する群(対照群)にランダム割り付けされた(2:1)。

試験群:ロピナビル – リトナビル(カレトラ®️配合剤)、リバビリン(レベトール®️:体重60kg以下の用法・用量)、インターフェロンβ-1b(ベタフェロン®️)

対照群:ロピナビル – リトナビル(カレトラ®️配合剤)

主要エンドポイントは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2のRT-PCR陰性の鼻咽頭拭い液を提供するまでの時間であり、intention-to-treat集団で行われた。

所見

・2020年2月10日から3月20日までの間に、患者127名を募集し、86名を実験群にランダム割り付けし、41名を対照群に割り付けた。

・症状発症から試験治療開始までの日数中央値は5日(IQR 3~7)であった。

・実験群では、試験開始から鼻咽頭拭い液の陰性化までの期間の中央値が対照群に比べて有意に短かった(実験群:7日[IQR 5-11]、対照群:12日[8-15])。

★ハザード比 =4.37[95%CI 1.86〜10.24]、p=0.0010

・有害事象にはself-limited*な吐き気と下痢が含まれており、両群間に差はなかった。

*特段の治療や処置がなくとも時間経過とともに自然治癒する症状や疾患に用いられる表現

・対照群の患者1人が生化学的肝炎を理由にロピナビル-リトナビルの投与を中止した。

・試験期間中に死亡した患者はいなかった。

結果の解釈

早期のトリプル抗ウイルス療法は,軽度から中等度の COVID-19 患者における症状の緩和、ウイルス脱落期間の短縮、入院期間の短縮において、ロピナビル-リトナビル単独療法よりも安全で優れていた。インターフェロンβ-1bをベース(backbone)とするダブル抗ウイルス療法の今後の臨床研究が必要である。

コメント

COVID-19に対する抗ウイルス薬の3剤併用療法の効果を検討したい試験。ロピナビル-リトナビル(カレトラ®️配合剤)単剤療法を対照群に設定しています。

さて、試験結果によると、3剤併用療法は、ロピナビル-リトナビル単剤療法に比べて、PCR検査によるSARS-CoV-2陰性化までの期間が短くなりました(ハザード比 =4.37、95%CI 1.86〜10.24)。ちなみに群間の絶対差は5日です。さらに在院日数とSOFAスコア0までの時間も実験群で短くなっています。論文はフリーですので、ぜひ原著をご参照ください。

抄録には記載されていませんが、30日死亡についても検証されています。試験対象が軽症から中等度のCOVID-19患者であるため、死亡数は両群ともに0例でした。

ただし、そもそも過去の小規模な研究報告では、COVID-19に対するロピナビル-リトナビル単剤療法はfailしています。したがって、効果不明な薬剤を対照群として設定することに疑問が湧きます。

また主要アウトカムの測定について、鼻咽頭拭い液に対するPCR検査の陽性率は32〜63%です(以下の記事を参照)。

サンプル採取部位別のPCR検査の陽性率

したがって、偽陰性となる可能性も充分にあります。Phase 2ですので、より精度の高いデザインでのPhase 3実施を望みます。

✅まとめ✅ COVID-19に対するインターフェロンβ-1b、ロピナビル・リトナビル、リバビリンの3剤併用療法は、ロピナビル・リトナビル単独療法と比較してSARS-CoV-2陰性化までの期間を5日間短くする

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