Association of QT-Prolonging Medications With Risk of Autopsy-Defined Causes of Sudden Death.
Simpson TF et al.
JAMA Intern Med. 2020 Mar 2.
doi: 10.1001/jamainternmed.2020.0148.
PMID: 32119028
PMCID: PMC7052791
試験の重要性
QT 延長薬(QT-prolonging medications, QTPM)は、不整脈の原因を推定するコンセンサス基準で定義された場合、心臓突然死(sudden cardiac death, SCD)の危険因子として報告されている。剖検で定義された不整脈突然死(sudden arrhythmic death, SAD)に対するQTPMの効果は不明である。
目的
QTPMと剖検で定義された突然死におけるSAD vs. 非不整脈性原因との関連を評価すること。
試験デザイン、設定、参加者
本前向きcountry-wide(countrywide)症例対照研究は、2011年2月1日から2014年3月1日までの間に、カリフォルニア州サンフランシスコ郡で、不整脈性または非不整脈性の原因を決定するためのサンフランシスコ死後調査(POST SCD)の一環として剖検を受けた世界保健機関(WHO)定義の(推定)SAD症例と、外傷によるコントロール死亡(以下、外傷コントロール)を対象とした。
多変量回帰を用いて、外傷対照群と比較した推定SCD、剖検で定義されたSAD、および非SADのリスクとQTPMとの関連を評価した。
処方リストと死後の毒性学的所見から決定された薬物曝露を用いて、合計的なQTPM曝露スコアを算出した(範囲 0~20)。
データは2018年9月1日から2019年6月15日まで分析した。
暴露
QTPMスコア(1は低値、2~4は中等度、4以上は高値)で測定されたQT延長薬曝露。
主なアウトカムと測定方法
外傷による死亡、SCDと推定される死亡、剖検で定義された非SADおよび心外原因の死後所見のないSAD。
結果
・合計629人の患者(平均[SD]年齢 61.4[15.7]年;男性439人[69.8%])が含まれ、そのうち推定SCDを有する525人と外傷性死亡の対照104人が含まれていた。
・SCDと推定される患者は、外傷性の対照群に比べて曝露量が多く、いずれかのQTPMを服用している可能性が高かった。
★291/439人[55.4%]vs. 28/104人[26.9%];P < 0.001
・QTPMの使用は、低暴露群(オッズ比[OR] =2.25[95%CI 1.03-4.96];P = 0.04)および高暴露群(OR =6.70[95%CI 1.47-30.67];P = 0.01)における推定SCDのリスク増加と関連していた。
・剖検確定後、QTPMの使用は非SADのリスク増加(低リスクOR =2.88[95%CI 1.18-6.99;P = 0.02];中等度リスクOR =2.62[95%CI 1.20-5.73;P = 0.02];および高リスクOR =14.22[95%CI 2.91-69.30;P = 0.001])と関連していたが、すべての曝露群においてSADのリスク増加は認められなかった。この関連性は、最高曝露群での隠れた過量投与の非SADを除外することで減衰した。
結論および妥当性
これらの知見は、QTPMと推定SCDとの関連性を確認した。しかしながら、剖検後、このリスクは非不整脈性突然死の原因に特異的であった。
コンセンサスSCD基準を用いた研究では、QTPMとSADリスクとの関連を過大評価している可能性がある。
コメント
QT延長を示す薬剤の使用が突然死に関連しているか検討した症例対照研究。
あくまでも仮説生成的な結果ですが、非不整脈性の突然死との関連性が示されたが、不整脈性の突然死リスクとは関連していなかった、とのこと。解釈が難しいところですね。
過去の報告ではドンペリドンの過量用量により不整脈や死亡リスクの増加が示されています。本研究でも過量投与において、非不整脈性の突然死リスクが増加する可能性が示唆されています。
もちろん個別化は必要ですが、承認用量範囲ならば、そこまで不整脈性の突然死リスクは増加しないかもしれませんね。
コメント