COVID-19重症患者における抗菌薬治療へのクロロキン追加効果はどのくらいですか?(第IIb相RCT; JAMA Netw Open. 2020)

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Effect of High vs Low Doses of Chloroquine Diphosphate as Adjunctive Therapy for Patients Hospitalized With Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 (SARS-CoV-2) Infection: A Randomized Clinical Trial

Mayla Gabriela Silva Borba et al.

JAMA Netw Open. 2020 Apr 24;3(4.23):e208857.

doi: 10.1001/jamanetworkopen.2020.8857.

PMID: 32330277

Trial registration: ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04323527.

重要性

コロナウイルス疾患2019(COVID-19)に推奨される特定の抗ウイルス療法はない。

in vitro試験では、クロロキン二リン酸(CQ)の抗ウイルス効果には高濃度の薬剤が必要であることが示されている。

目的

重症COVID-19患者における2種類のCQ投与量の安全性と有効性を評価する。

試験デザイン、設定、参加者

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染症で入院した成人患者81人を対象に、ブラジル・アマゾンのマナウスにある3次医療施設で、2020年3月23日から4月5日までの期間に実施された並行二重盲検、ランダム化、第IIb相臨床試験。

介入を行った。患者は高用量CQ(CQ600mgを1日2回、10日間)または低用量CQ(450mgを1日2回、1日1回、4日間)の投与を受けるように割り付けられた。

主なアウトカムと測定法

主要アウトカムは、低用量投与群と比較して高用量投与群で致死率が50%以上低下したことであった。ここに提示されたデータは、主に13日目の治療中の安全性および致死率の結果を示したものである。

副次的エンドポイントには、参加者の臨床状態、臨床検査、心電図の結果が含まれた。アウトカムは28日目まで発表される。ウイルス性呼吸分泌物のRNA検出は、0日目と4日目に実施された。

結果

・事前に設定したサンプルサイズ440人のうち、81人が登録された(高用量群41人[50.6%]、低用量群40人[49.4%])。

・登録された患者の平均年齢(SD)は51.1歳(13.9歳)で、ほとんどの患者(60人[75.3%])が男性であった。

・高用量群ではより高齢(平均[SD]年齢54.7[13.7]歳 vs. 47.4[13.3]歳)、心臓疾患が多かった(28例中5例[17.9%] vs. 0例)。

・ウイルスRNAは低用量群で40例中31例(77.5%)、高用量群で41例中31例(75.6%)で検出された。

・13日目までの致死率は高用量群39.0%(41例中16例)、低用量群15.0%(40例中6例)であった。

・QTc間隔が500ミリ秒を超える症例について、高用量群(37例中7例[18.9%])では低用量群(36例中4例[11.1%])に比べて多かった。4日目の呼吸器分泌が陰性であったのは27例中6例(22.2%)のみであった。

結論及び妥当性

本試験の予備的知見は、COVID-19の重症患者には、特にアジスロマイシンおよびオセルタミビルと同時投与する場合には、安全性の危険性があるため、より高用量のCQを推奨すべきではないことを示唆している。これらの所見は、重症ではないCOVID-19の患者に外挿することはできない。

コメント

重症のCOVID-19患者を対象とした試験。

患者は試験開始0日目から、セフトリアキソン(1gを1日2回、7日間)とアジスロマイシン(500mgを1日1回、5日間)の静脈内投与を計画的に受けていました。またインフルエンザ感染が疑われる場合には、オセルタミビル(75mg 1日2回5日間)が処方されました。

上記の治療にクロロキンの高用量(600mgを1日2回、10日間)あるいは低用量(450mgを1日2回、1日1回、4日間)を追加した試験です。

さて、試験結果としては、クロロキン高用量群でQT延長や心疾患の増加、死亡リスクの増加が示されました。追加で投与する意義はないですね。

✅まとめ✅ 重症COVID-19患者におけるセフトリアキソン+アジスロマイシン(+オセルタミビル)治療への高用量クロロキン追加はQT延長や心疾患の増加、死亡リスクの増加が示された

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