利尿薬ブメタニドは自閉症に有効ですか?(RCT; Translational Psychiatry 2020)

Symptom improvement in children with autism spectrum disorder following bumetanide administration is associated with decreased GABA/glutamate ratios

Zhang L et al.

Translational Psychiatry 10; 9: 2020

背景

ブメタニドは、γ-アミノ酪酸(GABA)の作用を増強することでシナプス興奮抑制(E-I)バランスを変化させ、それによって動物モデルの自閉症スペクトラム障害(ASD)の重症度を弱めることが報告されている(Gabriele Deidda et al. Nat Med. Apr 2015)。

ただし、ASDの若い患者での有効性の臨床的証拠は限られている。本研究では、ブメタニド群(ブメタニド治療、0.5mg、1日2回)またはコントロール群(ブメタニド治療なし)にランダム化された自閉症患者83人を対象とした。

主なアウトカム

・プライマリ[小児自閉症評価尺度(CARS)]

・セカンダリ[臨床全般印象(CGI)]

・探索的[島皮質で測定された抑制(γ-アミノ酪酸、GABA)および興奮性(グルタミン酸、Glx)神経伝達物質濃度(IC) を磁気共鳴分光法(MRS)による視覚野(VC)]

・測定値は、ベースラインと3ヶ月のフォローアップで評価された。治療コース全体を通して副作用を監視した。

結果

・対照群と比較して、ブメタニド群は、合計CARSスコアとスコア≥3が割り当てられた項目数の両方で示されるように、症状の重症度の有意な低下を示した。

・ICとVC、両方のGABA / Glx比は、対照群よりもブメタニド群の方が3ヵ月間で急速に減少した。

・このIC減少は、ブメタニド群の症状改善と関連していた。

結論

本研究は、幼児ASDの中核症状の緩和に対するブメタニドの臨床効果を確認し、その改善がGABA / Glx比の減少に関連する最初の実証だった。本研究は、MRSによって測定されたGABA / Glx比が、ブメタニドの治療効果を評価するための神経画像バイオマーカーを提供する可能性があることを示唆している。

コメント

2015年のNature Medicine(https://www.nature.com/articles/nm.3827)で、ダウン症モデルマウスの認知機能(学習と記憶の欠如)に対するブメタニド(ルネトロン®️)の有効性が示唆された。

そもそもダウン症とは、21番染色体が3本あること(21トリソミー)が原因となり、記憶や学習機能、つまり認知機能の低下が引き起こされます。また、この認知機能に関与しているのがGABAニューロンであり、通常は神経に対し抑制的に作用するGABAニューロンが、ダウン症患者では興奮性神経として作用します。つまり本来、抑制するはずだった神経が興奮性に変化することにより、神経ネットワークが過剰興奮して偏った思考、あるいは無秩序な状態になります。

そしてGABAニューロンは自閉症スペクトラムにも関与しています。つまりGABAニューロンの不均衡を改善するために塩化物イオン濃度を低下させるブメタニドが、自閉症にも有効である可能性があるため、Nat Medの研究結果をもとに臨床試験を実施したようです。

さて、試験結果としては、小規模ではありますが有意にGABA / Glx比を減少させました。さらに自閉症患者のCARSスコアを減少させました。

試験の再現性及び、より大規模な臨床試験を実施する必要がありますが、本試験は非常に有意義な結果をもたらしたと考えています。

✅まとめ✅ ブメタニドは小児自閉症患者の自閉症症状を改善するかもしれない

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