Long working hours as a risk factor for atrial fibrillation: a multi-cohort study.
Kivimäki M et al.
Eur Heart J. 2017.
PMID: 28911189
目的
長時間働く人は脳卒中のリスクが高くなることが過去の研究で示唆されている。しかし、長時間労働と心房細動(最も一般的な不整脈や脳卒中の危険因子)との関連は依然として不明。そこで長時間(週 55時間以上)働く場合と 35~40時間働く場合との心房細動リスクを検討した。
方法
労働人口の個別データのメタ分析(IPD-Work)コンソーシアムからの前向きマルチコホート研究では、研究人口85,494人の働く男女(平均年齢43.4歳)は心房細動を有していなかった。労働時間については、研究のベースライン(1991-2004)で評価された。
偶発的な心房細動の平均追跡調査は10年であり、心電図、病院記録、薬物償還登録、および死亡証明書に関するデータを使用して症例を定義した。
結果
・心房細動の新しい症例1,061を特定した(10年累積発生率12.4/1,000)。
・年齢、性別、社会経済的状態を調整した後、長時間労働する個人は、標準的な労働時間と比較して心房細動のリスクが1.4倍増加した。
★ハザード比 =1.42、95%CI 1.13-1.80、P = 0.003
—
・コホート固有の効果推定値(I2 =0%、P = 0.66)の間に有意な不均一性はなく、ベースラインまたはフォローアップ中に冠動脈性心疾患または脳卒中の参加者を除外した後も心房細動発症リスクは残存していた。
★N =2,006、ハザード比 =1.36、95%CI 1.05-1.76、P = 0.0180
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・肥満、過度のアルコール摂取、高血圧などの潜在的な交絡因子の調整は、本関連にほとんど影響を与えなかった。
結論
長時間労働した人は、標準的な労働時間よりも心房細動を発症する可能性が高かった。
コメント
長時間労働は様々な疾患のリスクであることは間違い無いと思います。エビデンスで示されなくとも皆が経験していることと思います。
しかし、行政や上層部を説得するためにはこのようなデータが必要。
結果としては、週 55時間以上(週5日勤務で11時間/日)働くと心房細動リスク HR =1.42(95%CI1.13~1.80, I=0%)。調整後も HR =1.36(95%CI1.05~1.76)であった。
働き方改革が叫ばれるわけですね。少しやりすぎな気もしていますが。
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