Systematic review with meta-analysis: Vonoprazan, a potent acid blocker, is superior to proton-pump inhibitors for eradication of clarithromycin-resistant strains of Helicobacter pylori.
Li M et al.
Helicobacter. 2018 Aug;23(4):e12495.
doi: 10.1111/hel.12495. Epub 2018 Jun 6.
PMID: 29873436
【背景】
ボノプラザンは、日本でヘリコバクターピロリ(H. pylori)感染を含む胃疾患の治療に適用される比較的新しい胃酸抑制剤である。本メタ分析では、クラリスロマイシン感受性およびクラリスロマイシン耐性H.ピロリ株を根絶するボノプラザンの能力を要約することを目的とした。
【方法】
PubMed、EMBASE、Web of Science、Cochrane Libraryを使用して体系的な検索を実行した。ボノプラザンベースおよび従来のPPIベースのトリプルセラピーの根絶率を評価した。またピロリ菌に対するクラリスロマイシン感受性についても評価した。
【結果】
・クラリスロマイシン感受性のH. pyloriに関するデータについて、合計1,599人の患者を含む5つの研究を特定した。
・クラリスロマイシン感受性H. pyloriに感染した患者のうち、ボノプラザンベースの治療と従来のPPIベースの治療における根絶率は次の通り;
★ランダム化比較試験
RCT; プールされた根絶率 95.4% vs. 92.8%
プールされたオッズ比[OR] =1.63; 95%信頼区間[CI] 0.74〜3.61; P = 0.225
—-
★非ランダム化
NRCT; プールされた根絶率 92.9% vs. 86.2%
OR =4.58; 95%CI 0.67〜31.45; P =0.122)
—-
・ただし、クラリスロマイシン耐性株を有する患者においては、ボノプラザンベースのトリプル療法はPPIベースの療法よりも有意に優れていた。
★RCT; プール根絶率 82.0% vs. 40.0%
OR =6.83, 95%CI 3.63〜12.86, P < 0.0001)
★NRCT; プール根絶率 =80.8% vs. 41.8%
OR =4.98, 95%CI 2.47〜10.03, P <0.0001
【結論】
ボノプラザンベースおよび従来のPPIベースの治療は、クラリスロマイシン感受性H.ピロリ株の根絶にも同様に効果的である。
ボノプラザンは、クラリスロマイシン耐性ヘリコバクターピロリ株の根絶において、従来のPPIベースの治療よりも優れている。
しかし、クラノスロマイシン使用は誤用かもしれない。なぜならボノプラザンとアモキシシリンの組み合わせ療法は、クラリスロマイシンなしでもピロリ感染の約80%を治療することができていた。
【コメント】
アブストのみ。
ピロリ菌感染は日本をはじめとするアジア圏に多く、特に日本ではピロリ菌に限らずクラリスロマイシン耐性が問題視されている。
本メタ解析の結果、P-CABであるタケキャブ®️を使用することで、クラリスロマイシン耐性ピロリ菌の除菌率が上がった。
クラリスロマイシン耐性ピロリ菌に対しては、クラリスロマイシンを使用しない場合、つまりサワシリン®️とタケキャブ®️による2剤治療だけでもピロリ菌の除菌率は80%を超えるとのこと。クラリスロマイシン耐性を持っているのだから当たり前と言われれば当たり前なのだが、菌株の薬剤耐性検査を実施してからピロリ菌の除菌を行なっている施設に出会ったことがない。となると最初から3剤併用になるのは目に見えている。
ピロリ菌の除菌は、診療ガイドラインを参照すると基本的には7日間が主流。ただし4次除菌の場合は最大で14日間までと幅がある。
これは過去の報告において、PPIベースの3剤併用療法で、治療期間7日間と14日間との間に差はないことが示唆されているためである。
話を本題に戻すと、ピロリ菌の除菌をするという前提であれば、タケキャブ®️を使用した方が除菌効率が高く、2次、3次除菌にかかるコストと時間を減らせると考えられる。
ただしタケキャブ®️の長期使用による影響は明らかとなっていない点が多い。引き続き情報を集めていきたい。
コメント
[…] ピロリ菌除菌におけるタケキャブ®️の効果はどのくらいですか?(SR&… […]
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