Erenumab in chronic migraine: Patient-reported outcomes in a randomized double-blind study.
Lipton RB, et al.
Neurology. 2019.
CLINICALTRIALSGOV IDENTIFIER: NCT02066415
PMID: 30996060
【試験の目的】
カルニトニン遺伝子関連ペプチド受容体を標的とするヒトモノクローナル抗体であるErenumab(エレヌマブ)の健康関連生活の質(HRQoL)、頭痛への影響、および慢性片頭痛(CM)患者の障害に対する効果を決定すること。
【方法】
本二重盲検プラセボ対照試験では、慢性片頭痛を有する成人667人をプラセボまたはエレヌマブ(70または140 mg/月)にランダムに割り付けた(3:2:2)。 探索的評価項目には、片頭痛特有のHRQoL(片頭痛特有の生活の質アンケート[Migraine-Specific Quality-of-Life Questionnaire, MSQ])、頭痛の影響(頭痛影響試験-6 [Headache Impact Test-6, HIT-6])、片頭痛関連の障害(片頭痛障害評価[Migraine Disability Assessment, MIDAS]試験)および疼痛干渉(患者報告結果測定情報システム[Patient-Reported Outcomes Measurement Information System, PROMIS]疼痛干渉尺度省略形6b)が含まれた。
【結果】
3ヶ月目に両Erenumab群のすべてのエンドポイントで改善が見られた。本改善作用は1ヶ月目からプラセボと比較して大きな変化が見られた。
3つのMSQドメインすべてにおいてベースラインからの改善が認められ、エレヌマブ140 mg/month群では、MSQ役割機能制限的(≥3.2)およびMSQ役割機能予防的(≥7.5)とMSQ役割機能予防的(≥4.5)で確立された最小重要差を超えていた。
3ヶ月目のHIT-6スコアにおけるベースラインからの変化は、エレヌマブ両用量で -5.6 vs. プラセボでは-3.1であった。
3ヶ月目のMIDASスコアは、プラセボの-7.5日に対して、70 mgで-19.4日および140 mgで-19.8日までに改善した。
すべてのMSQドメインおよびHIT-6について、プラセボよりもエレヌマブ治療を受けた患者では、個人レベルの最低限重要な違いが得られた。
3ヵ月目に、エレヌマブ治療を受けた患者の中でより低い割合ではあるが、MIDASスコアが重度(21以上)または非常に重度(41以上)またはPROMISスコアが60以上であった。
【結論】
エレヌマブ治療を受けた慢性片頭痛患者は、広範囲の患者報告アウトカムにわたって臨床的に関連のある改善を経験した。
【コメント】
アブストのみ。
Aimovig®️(エレヌマブ)は2018年5月17日、片頭痛予防薬としてアメリカFDAの承認を受けました(https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=60888)。製造販売はアムジェン社。
さて、結果としてエレヌマブは患者の満足度を向上させた。どれも主観的なアウトカムではあるが、二重盲検であるため、バイアスリスクは最小限に抑えられていると考えられる。
ちなみにSR&MAの報告もあり(Erenumab for Preventive Treatment of Migraine: A Systematic Review and Meta-Analysis of Efficacy and Safety. PMID: 30793254)、結果は本試験と同様だが、エレヌマブ使用による月の片頭痛発作期間は1日短くなる程度。ここに抗体医薬品を導入する価値がどれほどあるのかは少し疑問。
とはいえ片頭痛患者にとっては発作を1日でも短くしたいかもしれないですよね。]]>
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