Allopurinol and gouty hyperuricemia. Efficacy of a single daily dose.
Rodnan GP et al.
JAMA. 1975 Mar 17;231(11):1143-7.
PMID: 1172813
抄録
高尿酸血症および痛風患者20人を対象とした非盲検クロスオーバー試験で、アロプリノール錠300mgを1日1回投与した場合の効果を、分割投与(1日3回100mg)の効果と比較した。
両治療ともに血清尿酸レベルの迅速な低下が認められた。分散分析では、アロプリノールの2つの投与様式の間に有意差がないことを示した。オキシプリノールの最小血清レベルにも有意差はなかった。
本短期間の研究に基づくと、300mg/日のアロプリノール錠を使用することは、痛風高尿酸血症患者の血清尿酸値を低下させる有効な手段であると思われ、分割投与の方が単回投与の結果と比較して有利だった。
コメント
アブストのみ。
私の周りにおいては、尿酸値6ぐらいで安定している患者さんはアロプリノール錠100mgを1日1回服用していることが多いです。
ふと用法を確認したところ通常は2〜3回服用とのこと。本来、用法の変更については、適応の項に記載のある “年齢、症状により適宜増減する” の範疇ではないのですが、レセプトで切られたものは見たことがありません。
なぜなのかな?と検索して見ました。以下は、アロプリノール(ザイロリック®️)の添付文書情報です。
この用法を見たときに、ふと疑問に思ったのがT1/2です。
“未変化体であるアロプリノールは、約2.1時間後に最高血中濃度が平均1.48μg/mLに達し、半減期は約1.6時間であった。”
ザイロリック®️添付文書より
“一方、主代謝物であるオキシプリノールは、約4.6時間後に最高血中濃度が平均4.10μg/mLに達し、半減期は約17.1時間であった。”
以上のデータをRitschel理論で計算すると、主(活性)代謝物であるオキシプリノールについては1日1回投与でも問題ないことがわかります(リッチェル理論についてはこちら↓)。
ちなみにイギリスでの承認用量・用法は “アロプリノール錠300mgを1日1回食後に投与” です。
冒頭の論文に戻りますが、尿酸値低下作用については、単回と分割投与で差が認められませんでした。しかし1日中安定して尿酸低下作用を維持できるのは分割投与とのこと。これは推測にすぎませんが、未変化体アロプリノールおよびオキシプリノールの血中濃度をより高用量で維持できるためだと考えられます(当たり前と言われれば当たり前のことですよね)。ちなみに尿酸生成経路については以下の通り。
プリン体→ヒポキサンチン→キサンチン→尿酸結晶
薬理作用の確認をしますと、キサンチンオキシダーゼは、ヒポキサンチンからキサンチン、キサンチンから尿酸への生成に関わる酵素です。アロプリノールおよびオキシプリノールは、このキサンチンオキシダーゼを阻害するため、尿酸生成阻害薬に分類されます。
さて、ザイロリック®︎錠の服用回数2〜3回についてですが、販売元に確認してみたところ “承認された時期がだいぶ前であるため詳細は不明” とのこと。1970年代ですものね。承認申請時の資料も見てみましたが、黒塗りの情報が多く、確固たる情報は得られませんでした。冒頭の論文結果が根拠情報の一つになる可能性は高いのかなと考えています。
安全性について、アロプリノールで問題となるのが皮膚への副作用ですが、日本人においては、他の人種に比べHLA-B* 5810保有者は少なそうです(あくまで少なそうです)。
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