DPP-4阻害薬による心血管イベントについて検討した臨床試験(CardioVascular Outcome Trials: CVOTs)結果のまとめです!
前回のアップデートから1年ほど経過
背景
先日、欧州糖尿病学会(European Association for the Study of Diabetes: EASD)で報告されたリナグリプチン(トラゼンタ®️)の結果を加えました。2018年10月12日の時点では論文化されていないです。また小規模かつプライマリー・エンドポイントが左室駆出率(Left Ventricular Ejection Fraction: LVEF)ではありますがビルダグリプチン(エクア®️)の結果も加えました。
疑問
DPP-4阻害薬は 2型糖尿病患者における心血管アウトカムの発生を抑制できるか。
結果
各試験の文献一覧
▶️アログリプチン(ネシーナ®️) – EXAMINE
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=23992602
▶️EXAMINEのサブグループ解析
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=25765696
▶️サキサグリプチン(オングリザ®️) – SAVOR-TIMI53
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=23992601
▶️シタグリプチン(ジャヌビア®️、グラクティブ®️) – TECOS
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=26052984
▶️オマリグリプチン(マリゼブ®️) – OMNEON
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=28893244
▶️ビルダグリプチン(エクア®️) – VIVIDD
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29032139
▶️リナグリプチン(トラゼンタ®️) – CARMELINA
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/
pubmed/30418475/
年齢別の解析
コメント
DPP-4阻害薬による心血管イベント抑制作用はない、と結論づけて良いと個人的には思いました。もちろん大規模臨床試験の結果が大きく影響しているので、当然の結果ではありますが、近年のメタ解析でも同様の結果が示されています。
リナグリプチンには期待していたので残念でした。EASDでは微小血管イベントの抑制効果が示唆されていました(アルブミン尿 HR =0.86, 95%CI 0.78〜0.95, P =0.0034; 微小血管複合エンドポイント HR =0.86, 95%CI 0.78〜0.95, P =0.0032)。効果推定値が同じ値なのでタイポミスかもしれないですね、それとも合っているのかな。
話は変わりますが、有効というエビデンスがある、有効というエビデンスがない、無効というエビデンスがある、無効というエビデンスがない、有効と無効共にエビデンスがある、有効と無効共にエビデンスがない、すべて使用薬剤選択の一助に過ぎないことは念頭に置いておきたいですね。
-Evidence never tells you what to do-
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コメント
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