Risk of acute kidney injury following community prescription of antibiotics: self-controlled case series Rennie et al. Nephrology Dialysis Transplantation, gfy187, https://doi.org/10.1093/ndt/gfy187 Published: 28 June 2018 PMID: 未
研究の背景
スルホンアミド(sulphonamides)、トリメトプリム(trimethoprim)およびアミノグリコシド(aminoglycosides )等の抗生物質使用後の急性腎障害(Acute Kidney Impairment: AKI)の発症は、しばしば認められる現象である。近年では、フルオロキノロン(fluoroquinolone; ニューキノロン new quinolone)の使用とAKIとの関連が示唆されている。本研究の目的は、潜在的交絡因子を含む患者の特性を完全に調整する方法を用いて、大規模なコミュニティコホートにおける抗生物質使用とAKIリスクとの関連性を評価することであった。
方法
2004年1月1日〜2012年12月31日に測定された血清クレアチニンのデータを有するスコットランドのテイサイド地域在住の全ての18歳以上を含むself-controlled case studyを実施した。 AKIエピソードはImproving Global Outcomes definitionに基づく腎疾患と定義された。 処方された経口抗生物質(ペニシリンpenicillins、セファロスポリンcephalosporins、フルオロキノロンfluoroquinolones、スルホンアミドsulphonamidesおよびトリメトプリムtrimethoprim、マクロライドmacrolidesおよびニトロフラントインnitrofurantoin)のデータはすべての患者について収集した。 抗生物質曝露に関連するAKIの発生率比(Incidence Rate Ratios: IRRs)対抗生物質暴露のない期間を計算した。
結果
スルフォンアミド、トリメトプリムおよびニトロフラントインの併用使用率は、2008年から2012年にかけて47%増加し、市中AKIの発生率は16%増加した。 追跡期間中、12,777人がAKI14,900エピソードを発症した。その内68%がAKIステージ1、ステージ2およびステージ3はともに16%だった。 いずれの抗生物質使用中AKIのIRRは1.16 [95%信頼区間(CI)1.10〜1.23]であり、これはスルホンアミドまたはトリメトプリムの使用中に最も高く、IRR =3.07(95%CI 2.81〜3.35)であった。
一方、フルオロキノロンおよびニトロフラントインの使用は、AKIの増加割合と関連しておらず、 IRR =1.13(95%CI 0.94〜1.35)およびIRR =1.16(95%CI 0.91〜1.50)であった。
結論
2008〜2012年の間にAKI発生率は16%増加した。同時期にスルフォンアミド、トリメトプリムおよびニトロフラントインの使用率は47%増加した。 AKIの有意なリスク増加は、スルホンアミドおよびトリメトプリムの使用で認められたが、フルオロキノロンまたはニトロフラントインの使用では認められなかった。
コメント
アブストのみ。
本試験のアウトカムはAKIだが、リスク減少率やハザード比ではなく発生率比IRRsで表記されているところに注意が必要であろう。追跡期間が変わればアウトカム発生率に影響を及ぼす点は、いずれのリスク比でも同様である。しかし、中でもIRRsは特に追跡期間に影響を受けやすい指標である。
また時間非依存性変数の影響を排除できるSelf-Controlled Study Designを用いている。調整した交絡因子が気になるところ。
フルオロキノロンとニトロフラントインは、AKIリスク上昇において、いずれも有意な差は認められなかった。しかし効果推定値は増加傾向であることから、リスクが無いとは言いきれず、また抗菌薬の使用期間により有意なリスク上昇となることが考えられる(逆もまた然りである)。
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