【CQ受け取りました】アトピー性皮膚炎患者には標準治療に加え保湿入浴剤を使用した方が良いですか?(BMJ 2018; BATHE trial)

Emollient bath additives for the treatment of childhood eczema (BATHE): multicentre pragmatic parallel group randomised controlled trial of clinical and cost effectiveness.

Santer M et al.
BMJ. 2018 May 3;361:k1332. doi: 10.1136/bmj.k1332.
PMID: 29724749
Current Controlled Trials: ISRCTN84102309

研究資金

国立衛生研究所(the National Institute for Health Research: NIHR)の保健技術評価プログラム(11/153/01

COI

無いらしい


私的背景

先日、ブログ記事を掲載後に早速CQを送ってくれた方が居ました。

3歳と0歳児を持つお母さまからです。
CQ: 子供のアトピー性皮膚炎の予防に保湿入浴剤を使用した方が良いのでしょうか?今は症状ありませんが、一人目の子供の時に保湿入浴剤を使用していたので私としては使用したいです。しかし3歳児が一緒に入浴する際、入浴剤を使用したがりません。
早速、論文検索を行い冒頭の論文を見つけることができました。しかし残念ながら健常児を対象とした試験が見つかりませんでした。そこで対象が少し異なりますが今回の論文を参考にしようと思います。
結論
アトピー性皮膚炎を有す乳幼児における標準治療+保湿入浴剤の使用は、保湿入浴剤を使用しない場合と比較しアトピー性皮膚炎の症状に差は認められなかった


組入基準

英国診断基準に従い、12ヵ月〜12才未満のアトピー性湿疹のある子供が組み入れられた。家族が適格基準を満たしている複数の子供を抱えている場合、家族内で異なる入浴療法を持つことは負担になるため、組入対象として1人だけ選ぶよう求められた。

除外基準

①ノッティンガム湿疹重症度スケール(Nottingham Eczema Severity Scale: NESS)で5点以下と評価された非アクティブまたは非常に軽度の湿疹の子供。
②入浴回数が1週間に1回未満。
③子供またはその介護者が介入群に無作為化する準備ができていない場合。
④介護者がインフォームドコンセントを提供できない場合。
⑤試用版の文書を完成するのに十分な英語力がない場合。
⑥他の臨床試験に参加している子供。


PICOTS

: 111歳のアトピー性湿疹のある子供
I  : アトピー性皮膚炎に対する標準治療 + 保湿入浴剤
保湿剤はUKで一般的に使用されているものであった:Oilatum (Glaxo SmithKline; 63% light liquid paraffin), Balneum (Allmarall; 85% soya oil), or Aveeno (Johnson & Johnson; no summary of product characteristics available)
アトピー性皮膚炎に対する標準治療
: primary — the Patient-Oriented Eczema Measure (POEM)による湿疹重症度(介入後16週間まで)
  secondary —  1年以上にわたる医療相談をもたらす湿疹悪化の数、1年以上の湿疹の重症度、疾患特異的かつ一般的な生活の質、薬物使用と医療資源の活用、費用対効果
T : 多施設、オープンラベル、ランダム化比較試験(CONSORT)、優越性試験、標準治療へのadd-on2 arm pallarel group、追跡期間は最大52週間
S : ウェールズ、イングランド西部、南西イングランドの一般診療科96施設、組入期間は201412月〜20163

批判的吟味

RobotReviewerによる Risk of Bias Table

ランダム割り付けされているか?(観察者バイアスはないか?)
されている。コンピュータ生成ランダムシーケンスを使用し地域別に階層化
ブラインドされているか?(マスキングにより観察者バイアスは抑えられているか?
試験参加者あるいは代理人によるスコア報告が主なアウトカムであるため基本的に試験はオープン。
一部ブラインドされている(データ解析者)
隠蔽化されているか?(選択バイアスはないか?)

中央割付であると考えられるが、詳細な記載はない

プライマリーアウトカムは真か?明確か?
真かつ明確だが介入16週間後のみの設定であることが気にかかる

交絡因子は網羅的に検討されているか?

概ねされている
Baseline は同等か?
概ね同等
ITT 解析されているか?
intention to treatの記載はあるが実際はFAS
追跡率(脱落)はどのくらいか?結果を覆す程か?
本文には脱落1名との記載有り。問題はなさそう。
解析からの除外は以下のとおり;
保湿入浴剤13 /265 =4.91% 脱落
対照群9 /218 =4.13% 脱落

サンプルサイズは充分か?

サンプル数483と充分。
α=0.05power =90で、計算上338例が必要であったが、20%の脱落を見越して計423例が必要と設定された。しかし途中解析で参加者のアドヒアランスが80%であったため、組入目標を491に変更した。


結果は?

介入16週後における保湿入浴剤使用群の93%(216 /233人)は、入浴剤を毎回使用または半分以上の使用であった。
一方、対象群のうち92%(176 /191人)は、入浴剤を一度も使用しない、あるいは半分以下の使用であった(本文Table 2参照)
入浴の頻度については以下のとおり;
3回以下 31%(124 /397人)
34  33%(130/397人)
5回以上 36%(143 /397人)
 
プライマリーアウトカム
ベースラインPOEMスコアは、保湿入浴剤使用群では9.5SD 5.7)であり、対照群では10.1SD 5.8)であった。
介入16週後の平均POEMスコアは、保湿入浴剤使用群では7.5SD 6.0、対照群では8.4SD 6.0であった(図2)。
16週間にわたり、各週ごとのPOEMスコアに統計的有意な差は見られなかった。ベースラインの重症度および交絡因子(民族集団、局所的コルチコステロイド使用および代替石けん使用)を調整し、時間の経過とともに参加者のセンターおよび反応性をクラスタリングした後、対照群のPOEMスコアは0.41ポイント(95%信頼区間 -0.271.10)であり、これは臨床上重要な最小差3点よりも低かった。
 
セカンダリーアウトカム
どの項目においても両群間で差は認められなかった

(本文よりTable 3引用)


コメント

標準治療への保湿入浴剤の追加使用は、標準治療のみと比較し、アトピー性皮膚炎の症状を変化させなかった。
アトピー性皮膚炎を発症した後は標準治療が有効と言うことでしょうか。しかし組み入れられた患者の入浴回数にバラツキがあると考えられるため、実際に効果があったか無かったのかは更なる研究が必要であると考えられる。特に週5回以上の保湿入浴剤使用グループでは、週14回使用と比べ、保湿入浴剤の効果が得られそう(あくまで仮設生成ですが)。
現時点では保湿入浴剤を入れても入れなくても良いのでは?と言う印象。それよりも入浴後の保湿が重要であると考えられます。
ついでに見つけた論文も以下にまとめておきます。
 

アトピー性皮膚炎への治療効果まとめ(全て標準治療への上乗せ)

A multicentre randomised controlled trial and economic evaluation of ion-exchange water softeners for the treatment of eczema in children: the Softened Water Eczema Trial (SWET).

Thomas KS et al.
Health Technol Assess. 2011
PMID: 21324289
英国において硬水の使用が、軟水に比べてアトピー性皮膚炎をオッズ比1.54のリスク増加が認められたという過去の臨床試験に基づき、生活用水として硬水を多く使用している地域を選択し実施。
標準治療+軟水は、標準治療(硬水の多い地域)と比較してアトピー性皮膚炎の症状に差が認められなかった
 

Randomised controlled trial of silk therapeutic garments for the management of atopic eczema in children: the CLOTHES trial.

Thomas KS et al.
Health Technol Assess. 2017
PMID: 28409557
標準治療+シルク製の衣類使用は、標準治療(シルク以外の製品使用)と比較して差が認められなかった
 

A randomised placebo-controlled trial of oral and topical antibiotics for children with clinically infected eczema in the community: the ChildRen with Eczema, Antibiotic Management (CREAM) study.

Francis NA et al.
Health Technol Assess. 2016
PMID: 26938214
経口あるいは外用の抗生剤が軽度〜中等度アトピー性皮膚炎の症状緩和、二次感染を予防できるか検討した試験。試験のサンプルサイズは足りていない。抗生剤の使用は、非使用と比較し効果なし、あるいはPOEMスコアを増悪させた。
経口抗生剤:POEMスコア =1.52 95%信頼区間 -1.354.40
外用抗生剤:POEMスコア =1.4995%信頼区間 -1.554.53
 

Application of moisturizer to neonates prevents development of atopic dermatitis.

Horimukai K et al.
J Allergy Clin Immunol. 2014
PMID: 25282564
新生児への保湿剤(エマルジョンタイプ)使用によりアトピー性皮膚炎あるいは湿疹の発症が抑制された。しかし保湿剤使用群でもアトピー性皮膚炎を発症している。これは組入対象としてアトピー性皮膚炎を発症しやすい(アトピー性皮膚炎を有する親または兄弟を有す)ハイリスク患者を選択しているためであると考えられる。
 
 
 

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