Helicobacter pylori Therapy for the Prevention of Metachronous Gastric Cancer. Choi IJ et al. N Engl J Med. 2018 Mar 22;378(12):1085-1095.
- PMID: 29562147
ClinicalTrials.gov number, NCT02407119.
研究資金
the National Cancer Center, South Korea(0310050, 0410450, 0610080, 0910100, 1210230, 1310280, and 1610180)
COI
無し(らしい)試験背景
胃粘膜または粘膜下組織に限局した初期の胃癌患者は、通常、粘膜腺組織の進行性喪失(腺萎縮)を有し、新規胃がんの発生およびその後(異時性)の病態進行リスクが高い。 組織学的改善および異時性胃癌の予防に対するヘリコバクターピロリ(以下、ピロリ)除菌治療の長期的な効果は依然として不明である。方法
前向き二重盲検プラセボ対照ランダム化試験には、早期胃癌または高悪性度腺腫の内視鏡的切除を受けた 470人の患者が組み入れられた。参加者はプラセボまたは抗生物質によるピロリ除菌療法を受けた。 プライマリーアウトカムは、①3年間の追跡期間中における、胃体部(底部)小弯の腺萎縮のグレードにおけるベースラインからの改善累積および② 1年間のフォローアップまたはそれ以降に行われた内視鏡検査で検出された異時性胃がんの発生率であった。結果
計 396人の患者が、mITT集団(治療群194人、プラセボ群 202人)に含まれていた。 追跡期間は 5.9年(中央値)で、ピロリ除菌群では 14例(7.2%)、プラセボ群では 27例(13.4%)で異時性胃がんが発生した。 ハザード比 =0.50, 95%CI 0.26~0.94(P =0.03) 組織学的分析を受けたサブグループ 327人の患者のうち、胃底部の小弯における萎縮グレードのベースラインからの改善は、ピロリ除菌群 48.4%、プラセボ群 15.0%において観察された(P < 0.001)。 重大な有害事象はなかったが、軽度の有害事象は治療群でより一般的に認められた(42.0% vs. 10.2%, P <0.001)。結論
ピロリ除菌治療を受けた早期胃癌患者は、プラセボ群と比べ、胃底部委縮グレードにおけるベースラインからの改善程度が大きかった。また異時性胃がんの発生率が低かった。コメント
アブストのみ(NEJMの文献はブログに書きづらくて困ります)。NEJMに 2018年の 3月 22日(日本時間)に掲載されました。 ピロリ菌除菌と異時性胃がん(1年以上経てから新たに初発部位とは別の場所に発生した胃癌)発生率について検討したダブルブラインドのランダム化比較試験。貴重な報告だと思います。しかし、健常人は含まれていません。ここ注意。 まず試験の解析は Full Analysis Setでしょうか。試験解析には 396名、組み入れ時から 74名が除外されています。 ピロリ除菌により異時性胃がんが減少したとのこと。他のがんの発生率についてはアブストからは不明です。また重大な有害事象はなかったものの、軽度の有害事象は 4倍。今回の論文を通して、胃がんの発生部位と胃がん発生率についても学べた。噴門部は 20%、胃体部は 30%、幽門部は 40%とのこと(あと 10%はどこ?) 。さらに大弯より小弯の方が胃がん発生率は高いようです。
また胃がんは Epstein-Barr(EB)ウイルスによっても発生するようです。EBウイルスは幽門部、H.ピロリは胃体部に住み着いているようです。 本文献では胃体部の小弯における胃がん発生について内視鏡下で検討しています。発生部位についてはよく検討されていると感じました。また組織学的分析のデータ数も過去の報告に比べると多い方だと思います。全文読みたいところ。-Evidence never tells you what to do-
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