処方提案するときに心がけていることは何ですか?

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⌘ はじめに
本題に入る前にコトバと現象について触れておきたい。私が当たり前と考えていることをコトバにしたい。ある現象をコトバで説明しようとするときに各々、個々人の頭で考えている。そんなの当たり前だ!と言われそうだがココが重要なのである。コトバを発しているのが個人なのだから、そのコトバを形成しているのも個人ということだ。これを踏まえた上で処方提案というコトバを考えていきたい。⌘『処方提案』 と 処方『提案』
同じコトバだが私が恣意的に鉤括弧をつけることで見え方、捉え方が変わったのではなかろうか。ちなみに私の捉え方は後者なので、後者の視点で書かせていただく。あくまで『提案』なのだ。どんなに良いと思える臨床試験の結果も、こと処方提案においては個人が恣意的に結果を切り取っている可能性が高いからである。また臨床試験の参加者のバックグラウンドに全てが合致する患者さんも、目の前にほとんどいないのではなかろうか。つまり自分が良いと思う、あるいは興味がある方向に提案内容が引っ張られてしまうのだ。これまた当たり前だ!と言われればその通りなのだが、ここを前提に提案内容を吟味できるかが医師や患者さんと良好な関係を保つのに必要であると考えている。⌘ 処方提案の流れ
これらを踏まえた上で私が実践している処方提案の流れを以下に記す。ちなみに最初は必ず文書で処方提案し、その後、必要な際に電話しています(今のところ対面はないです汗)。①患者さんの直近の状態と愁訴をまず示す②愁訴の原因(となっている可能性の高い)薬を示す③代替薬を示す、あるいは中止してみてはどうかと促す④『必要があれば』エビデンスとなる文献情報を示す⑤介入後、患者さんが病院を受診する前に薬局に来た場合は、そこで得られた情報をすぐ処方医と共有する⑥継続的フォローはもちろん、変化があればすぐ処方医と情報共有する またまた当たり前のことですね。でも、この当たり前のことが『かかりつけ薬剤師制度』が導入される前は難しかった。ちなみに、これも当たり前ですが医師の処方内容を否定しません。なぜなら現行の医療行為を根底から覆せる明確なエビデンスはないと考えているからです。⌘ ただ粛々と曖昧な医療を少しでも良さそうな方向へ
そうそう、私は処方提案したうちの10%でも受け入れて貰えれば良いなぐらいに考えてます。まずパイプを作り、徐々に介入していければ良いなと思っています(患者さんの愁訴が重い場合は急ぎますし、羅列するエビデンスの量も増えますが、、、)。まぁ、たいてい医師が思い切った判断をすることが多く、さらには、こちらが提案したこと以上の処方変更をしてくれることが多く、驚かされていますが。医療は曖昧であり、曖昧なまま受け入れ、その曖昧な中から選択するしかありません。もちろん治療介入せず経過観察するというのも選択肢の1つです。そして最終的な判断は患者さんにあるなとも考えています。処方内容や既往歴等から、処方提案をしたいなと思うこともありますが、患者さんが『今の薬で症状が安定している。この薬で私は普通の生活ができている』と現状維持で良いと判断しているならば介入する必要は無いのでは?(ここは意見が分かれるところだと思います)以上です。批判的意見もあるとは思いますが、ご容赦いただけますと幸いです。-Evidence never tells you what to do-
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