スタチンの隔日投与と連日投与で有害事象に差はあるのか?
スタチンは基本的に毎日服用します。これは日本で承認されている用法が1日1回服用であるためですが、患者によっては、毎日服用することで横紋筋融解症などを含めた有害事象の発生リスクが高まることが報告されています。
そこで1日おきに服用する隔日投与が行われていますが、この用法の妥当性について一貫した結果は得られていません。
今回はスタチンの用法を比較したメタ解析の結果をご紹介します。
試験結果から明らかになったことは?
ほとんどの研究はアトルバスタチンを対象としていました。
隔日投与は、連日投与と比較して、筋毒性の発生率は低く、症状にも減少傾向がみられました。一方、脂質低下作用については相反する報告がありました。
アトルバスタチンの隔日投与は連日投与と比較して、脂質低下作用が弱いとする報告がある一方で、アトルバスタチン6~12週間の投与でLDLコレステロール、TC、TG値が有意に低下し、HDL値は有意ではないとする報告と、HDL値は有意に上昇したという報告がありました。
スタチンの隔日投与により、筋毒性の発生リスクが減少しますが、脂質低下作用についてはエビデンスの集積が待たれます。
解析対象となった薬剤
アトルバスタチン(リピトール®️)
シンバスタチン(リポバス®️)
プラバスタチン(メバロチン®️)
フルバスタチン(ローコール®️)
ロスバスタチン(クレストール®️)
ロバスタチン(本邦未承認)
✅まとめ✅ 隔日投与は、連日投与と比較して、筋毒性の発生率は低く、症状は減少傾向だった。脂質低下作用について、隔日投与で弱いとする報告、LDLコレステロール、TC、TG値が有意に低下したという相反する報告があった。
根拠となった論文の抄録
目的:脂質異常症を対象としたスタチン隔日療法の安全性と有効性に関するエビデンスベースのデータを、標準的な1日量(毎日投与)と比較してレビューすること。
方法:文献レビューは、2016年7月から2017年8月までにカラチのアガカーン大学病院で実施した。PubMed、Excerpta Medicaデータベース、Google Scholarを用いて利用可能な文献をまとめるために電子データベース検索を実施した。10年以上に発行された最も関連性の高いエビデンスに基づいた研究論文を選定した。最新の検索は2017年8月03日付けで行った。
結果:合計2,074報の論文が最初に発見され、うち53%でスタチン隔日投与レジメンが報告された。筋肉や腱への副作用は69%の論文で報告された。精査の結果、スタチンが関与する筋・腱障害を対象とした19件(0.9%)と、スタチンが関与する筋・腱障害の潜在的な病態生理学的メカニズムを網羅した9件(0.4%)の研究が抽出された。プラバスタチンとロバスタチンを除くスタチン製剤の隔日投与は、総コレステロール、低密度リポ蛋白コレステロール、トリグリセリドの低下には毎日投与とほぼ同等の効果があり、筋毒性の発生率は低く、症状にも傾向がみられた。
結論:スタチン隔日投与レジメンは非常に忍容性が高く、臨床では効果的で安全な治療法である可能性があることがわかった。
引用論文
Can alternate-day Statin regimen minimize its adverse effects on muscle and tendon? A systematic review – PubMed
Zehra Abdul Muhammad et al. PMID: 31308572
J Pak Med Assoc. 2019 Jul;69(7):1006-1013.
— 読み進める pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31308572/
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