SARS-CoV-2曝露後の予防的なヒドロキシクロロキン投与はCOVID-19感染症の発症を防げますか?(BD-RCT; NEJM 2020)

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A Randomized Trial of Hydroxychloroquine as Postexposure Prophylaxis for Covid-19

David R Boulware et al.

N Engl J Med. 2020 Jun 3. doi: 10.1056/NEJMoa2016638. Online ahead of print.

PMID: 32492293

DOI: 10.1056/NEJMoa2016638

Funded by David Baszucki and Jan Ellison Baszucki and others

ClinicalTrials.gov number, NCT04308668.

背景

コロナウイルス感染症2019(Covid-19)は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に曝露した後に発症する。

暴露したヒトに対しては、観察と隔離が標準となっている。

ヒドロキシクロロキンがSARS-CoV-2曝露後の症候性感染症を予防できるかどうかは不明である。

方法

我々は、米国およびカナダの一部で、曝露後の予防としてヒドロキシクロロキンを試験するランダム化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。

フェイスマスクもアイシールドも着用していない状態(高リスク曝露)またはフェイスマスクは着用しているがアイシールドは着用していない状態(中等リスク曝露)で、10分以上、6フィート(1.8288m)未満の距離でCovid-19が確認された患者と、家庭内または職業内で曝露した成人を登録した。

暴露後4日以内に、プラセボまたはヒドロキシクロロキン(800mgを1回投与し、その後6~8時間で600mgを投与し、さらに4日間は1日600mgを投与する)のいずれかの投与を受けるように参加者をランダム割り付けした。

主要転帰は、14日以内に検査で確認されたCovid-19またはCovid-19に適合する疾患のいずれかの発生率であった。

結果

・無症状の参加者821例が登録された。全体では、参加者87.6%(821例中719例)が、COVID-19が確認された接触者への高リスク曝露を報告した。

・COVID-19に適合する新たな疾患の発生率は、ヒドロキシクロロキン投与群(414例中49例[11.8%])とプラセボ投与群(407例中58例[14.3%])で有意差はなかった。

★絶対差 = -2.4%ポイント(95%信頼区間 -7.0~2.2;P=0.35)

・副作用は、プラセボ投与群よりもヒドロキシクロロキン投与群の方が多かった(40.1% vs. 16.8%)が、重篤な副作用は報告されなかった。

結論

高リスクまたは中リスクのCOVID-19への曝露後、4日以内に曝露後予防として使用した場合、ヒドロキシクロロキンはCOVID-19に適合する疾患または感染症を予防しなかった。

コメント

なぜか米国ではヒドロキシクロロキンが注目されていますね。今回の試験はプラセボ対照のランダム化比較試験ですので、過去の報告と比べて内的妥当性は高いかもしれません。また本試験の対象患者、試験デザインは特徴的であり、ヒドロキシクロロキンを予防的に投与しています。

さて、試験結果によれば、ヒドロキシクロロキンの予防的投与は、プラセボと比較して、COVID-19発症をやや低下させたものの、有意差はありませんでした。

 ヒドロキシクロロキン投与群:414例中49例[11.8%]

 プラセボ投与群:407例中58例[14.3%]

副作用は、プラセボ投与群よりもヒドロキシクロロキン投与群の方が約2.4倍多いです(ヒドロキシクロロキン群40.1% vs. プラセボ群16.8%)。重篤な副作用は報告されなかったようですが、今のところ、ヒドロキシクロロキンを予防的に使用する意義はないように考えます。

✅まとめ✅ 中〜高リスクのCOVID-19患者への曝露後、4日以内のヒドロキシクロロキン予防的投与は、プラセボと比較して、COVID-19感染症の発症を予防しなかった

コメント

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