Hypersensitivity Reactions With Allopurinol and Febuxostat: A Study Using the Medicare Claims Data
Jasvinder A Singh et al.
Ann Rheum Dis. 2020
PMID: 32024648
DOI: 10.1136/annrheumdis-2019-216917
Keywords: epidemiology; gout; outcomes research.
目的
人口ベース研究でアロプリノールとフェブキソスタットによる過敏症反応(HSR)のリスクを評価する。
方法
2006年から2012年まで5%メディケア受益者サンプル(65歳以上)を使用して、アロプリノール、フェブキソスタットまたはコルヒチンが新たに処方された人々を特定した。
多変数調整Cox回帰分析を使用して、アロプリノールまたはフェブキソスタットの使用とコルヒチン使用とのインシデントHSRのハザード比(HR)を比較した。
アロプリノールに曝露した人々で個別の分析が行われた。 傾向一致分析(5:1)は、アロプリノールとフェブキソスタットの危険性を比較した。
結果
・HSRの粗発生率は次のとおりだった:
アロプリノール 23.7/1,000人年
フェブキソスタット 30.7/1,000人年
コルヒチン 25.6/1,000人年
・コルヒチンと比較して、アロプリノール、フェブキソスタットおよびフェブキソスタット+コルヒチンは、HSRsとの関連ハザード比が有意に高かった。
★アロプリノール vs. コルヒチ
HR = 1.32(95%CI 1.10〜1.60)
★フェブキソスタット vs. コルヒチン
HR = 1.54(95%CI 1.12〜2.12)
★フェブキソスタット+コルヒチン
HR = 2.17(95%CI 1.18〜3.99)
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・傾向一致分析では、フェブキソスタットはアロプリノールと有意な差が認められなかった。
★HSRのHR = 1.25(95%CI 0.93〜1.67)
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・アロプリノールの開始用量<200 mg /日と比較して、アロプリノールの開始用量≥300mg /日、糖尿病、性別としての女性は、HSRの有意なリスク増加と関連していた。
★アロプリノール≧300mg:HR = 1.27(95%CI 1.12〜1.44)
★糖尿病:HR = 1.21(95%CI 1.00〜1.45)
★女性:HR = 1.32(95%CI 1.17〜1.48)
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・HSRの大部分(69%)は外来患者で発生した。
結論
コルヒチンと比較して、アロプリノールとフェブキソスタットは同様にHSRのリスクを増加させた。 アロプリノールとフェブキソスタットは互いに異ならなかった。 アロプリノール使用者では、開始用量、女性および糖尿病がこのリスクを増加させたため、さらなる研究が必要である。
コメント
薬剤使用による過敏症反応の発生リスクについて人口データベースを使用した研究。
個人的にはアロプリノールでTENやSJSが多い印象。
さて、今回の研究における過敏症反応(HSRs)の定義を抑えることが重要であると思います。ただ、アブストからは読み取れませんでした。有料文献であるため、購入しようか悩ましいところ。
さて、本研究結果により、コルヒチン単独に比べて、アロプリノールあるいはフェブキソスタット使用によりHSRsは増加した。またフェブキソスタット+コルヒチン併用が一番リスク増加が大きかった。
個人的に気になったことは、アロプリノール用量200mg未満に比べて、300mg以上、糖尿病、女性でのHSRsリスク増加が示されたことです。やはり人種差は、個体差に比べれば寄与率は低いなと感じました。
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プラスαの情報として、過敏反応症の定義についてドイツの診療ガイドラインがありましたので、そちらを紹介。
少し見づらいかもしれませんが、本ガイドラインによると、薬剤使用による過敏反応症としては、蕁麻疹、喘息、アナフィラキシー、斑点状丘疹、AGEP、SJS、TEN、DRESSを対象としているようです。
AGEP, acute generalized exanthematous pustulosis:膿疱型薬疹(急性汎発性発疹性膿疱症)
SJS, Stevens-Johnson syndrome:皮膚粘膜眼症候群
TEN, toxic epidermal necrolysis:中毒性表皮壊死症(ライエル症候群, Lyell’s syndrome)
DRESS, drug reaction with eosinophilia and systemic symptoms:好酸球増加症と全身症状を伴う薬物反応
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