Ceftolozane-tazobactam Versus Meropenem for Treatment of Nosocomial Pneumonia (ASPECT-NP): A Randomised, Controlled, Double-Blind, Phase 3, Non-Inferiority Trial
Marin H Kollef et al.
Lancet Infect Dis. Dec 2019
PMID: 31563344
DOI: 10.1016/S1473-3099(19)30403-7
ClinicalTrials.gov, NCT02070757.
Funding: Merck & Co.
背景
抗菌薬耐性病原体による院内肺炎は、高い死亡率と関連している。グラム陰性の院内肺炎の治療に対する抗菌薬セフトロザン-タゾバクタムあるいはメロペネムの有効性と安全性を評価した。
方法
34ヵ国の病院263施設で、ランダム化、対照、二重盲検、非劣性試験を実施した。 対象患者は18歳以上で、人工呼吸器を使用しており、院内肺炎(人工呼吸器関連肺炎または換気された院内肺炎)を有していた。
患者は、ブロックランダム化(ブロックサイズ4)、院内肺炎の種類および年齢(65歳未満対65歳以上)によって層別化されてランダムに割り当てられ(1:1)、セフトロザン-タゾバクタム3 gまたはメロペネム1 gを毎日8時間、8〜14日間、静脈内投与した。
主要エンドポイントは、28日間の総死亡率(10%の非劣性マージン)だった。主要な副次的エンドポイントは、来院時の臨床反応だった(治療終了後7〜14日、非劣性マージン12.5%)。
両エンドポイントは、治療意図集団で評価された。 治験責任医師、研究スタッフ、患者、および患者の代表者は、治療の割り当てについてマスクされた。
試験治療を受け、ランダムに割り当てられたすべての患者の安全性を評価した。
調査結果
・2015年1月16日から2018年4月27日までに、726人の患者が登録され、362人がセフトロザン-タゾバクタム群に、364人がメロペネム群にランダム割付された。
・全体として、519人(71%)の患者に人工呼吸器関連肺炎があり、239人(33%)に少なくとも20の急性生理学および慢性健康評価IIスコアがあり、668人(92%)が集中治療室にいた。 治療開始後28日目に、セフトロザン-タゾバクタム群の87人(24.0%)とメロペネム群の92人(25.3%)の患者が死亡した。
★加重治療差 =1.1%[95%CI -5.1〜7 .4]
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・訪問時に、セフトロザン-タゾバクタム群の197人(54%)の患者とメロペネム群の194人(53%)が臨床的に治癒した。
★加重治療差 =1%[95%CI -6.2〜 8.3]
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・したがって、セフトロザン-タゾバクタムは、28日間の総死亡率と治癒テストでの臨床的治癒の両方の点でメロペネムよりも劣っていなかった。
・治療関連の有害事象は、セフトロザン-タゾバクタム群の患者361人中38人(11%)、メロペネム群の患者359人中27人(8%)に発生した。 セフトロザン-タゾバクタム群の8人(2%)の患者とメロペネム群の2人(1%)の患者に重篤な治療関連有害事象が認められた。 治療に関連した死亡はなかった。
結果の解釈
高用量セフトロザン-タゾバクタムは、人工呼吸器を装着した患者、高リスク、重症患者におけるグラム陰性の院内肺炎に対する有効かつ忍容性の高い治療法だった。
コメント
適応症に敗血症と肺炎が追加となったザバクサ®️。本試験の用量は日本での用法用量と同じである。
点滴方法は、メロペン®️が30分以上、ザバクサ®️が60分以上かけて8時間毎(日本の表記では1日3回)と記載されている。
さて、試験結果としては、ザバクサ®️はメロペン®️に非劣性とのこと。ザバクサ®️はグラム陰性菌の細胞膜に存在するポーリンを通過し作用するためである。
今のところは上市したばかりで耐性菌が少ないと考えられるが、AMR対策の観点から乱用は避けた方が良い薬剤であると考えられる。
ただし、ザバクサ®️は、海外のガイドラインにおいて、カルバペネム系薬剤の温存を目的として、対象疾患や重症度により第一選択薬として記載されているものもある。
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