Cardiovascular mortality and morbidity in patients with type 2 diabetes following initiation of sodium-glucose co-transporter-2 inhibitors versus other glucose-lowering drugs (CVD-REAL Nordic): a multinational observational analysis.
Birkeland KI et al.
Lancet Diabetes Endocrinol. 2017 Sep;5(9):709-717.
doi: 10.1016/S2213-8587(17)30258-9. Epub 2017 Aug 3. www.ncbi.nlm.nih.gov
PMID: 28781064
FUNDING: AstraZeneca.
研究背景
2型糖尿病および心血管リスクの高い患者において、ナトリウム – グルコース共輸送体-2(SGLT2)阻害剤であるエパグリフロジンおよびカナグリフロジンは、心血管疾患の罹患率および死亡率を低下させることが示されている。臨床診療のリアルワールドデータを用いて、広範な心血管リスクプロファイルを有す集団において、SGLT2阻害剤あるいは血糖降下薬の新規使用者における心血管死亡率と罹患率を比較した。
方法
CVD-REAL Nordicは、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンにおける処方薬登録簿(the Prescribed Drug Registers)、死因登録簿(Cause of Death Registers)、国民患者登録簿(National Patient Registers)からの個々の患者レベルのデータ観察分析だった。
2012年から2015年の間に血糖降下薬の処方箋を記入したすべての患者が含まれ、2015年12月31日まで追跡された。患者はSGLT2阻害剤の新規ユーザーと他の血糖降下薬の新規ユーザーに分けられた。SGLT2阻害剤の各ユーザーは、傾向スコアを使用して、他のグルコース低下薬使用者3人と一致した。
ハザード比(HR)は国ごとに推定され(Cox生存モデル)、加重平均が計算された。調査された心血管アウトカムは、心血管死亡率、主要な心血管イベント(心血管死亡率、心筋梗塞、および虚血性または出血性脳卒中)、心不全の入院イベント(心不全の初期診断を伴う入院または外来訪問)、非致死性心筋梗塞だった。致命的ではない脳卒中、心房細動。また、重度の低血糖の発生率も評価した。
調査結果
・SGLT2阻害剤群(n = 22,830)および他の血糖降下薬群(n = 68,490)は、ベースラインでバランスがよく、平均追跡期間は0.9(SD 4.1)年(80-669患者-年)、平均年齢61(12.0)歳、 女性率40%(36,362例 /91,320例)であり、心血管疾患の有病率は25%(22,686例 /91,320例)だった。
・SGLT2阻害剤の総曝露時間94%はダパグリフロジン使用者であり、エンパグリフロジンは5%、カナグリフロジンは1%だった。
・他のグルコース低下薬と比較して、SGLT2阻害薬の使用は、心血管死亡リスクの低下(HR =0.53 [95%CI 0.40-0.71])、主要な心血管有害事象(0.78 [0.69-0.87])、および心不全の病院イベント(0.70 [0.61-0.81]; すべてp <0.0001)。
・SGLT2阻害剤の使用と、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、または心房細動に対する他のグルコース低下薬の使用との間に有意差は認められなかった。
・他のグルコース低下薬と比較して、SGLT2阻害剤の使用は、重度の低血糖症のリスク低下と関連していた(HR =0.76 [0.65-0.90]; p = 0.001)。
・心血管死亡率については、ベースラインで心血管疾患を有す人とそうでない人の25%で差は同様だった(HR =0.60 [0.42-0.85] vs. 0.55 [0.34-0.90])。一方、主要な有害心血管イベントについては、ベースラインで心血管疾患を有す群のHRは0.70(0.59-0.83)であったのに対し、心血管疾患のない群では0.90(0.76-1.07)だった。
解釈
2型糖尿病と幅広い心血管リスクプロファイルを有する患者集団において、SGLT2阻害薬の使用は、心血管ハイリスク患者を対象とした他のグルコース低下薬の臨床試験結果と比較して、心血管疾患および心血管死亡率の低下と関連していた。
コメント
アブストのみ。
いわゆるリアルワールドデータです。SGLT-2阻害薬についてデータ解析していますが、94%はダパグリフロジンとのことですので、ダパグリフロジンのエビデンスと言って良いと思います。
結果としては、RCTと一致していました。ただし、1次でも2次予防でもリスク低下させるのはすごい結果ですね。プラセボ対象のRCTで効果が認められているのは、2次予防がほとんどです。また観察研究の方が効果が高く出る傾向にあり、さらに今回の研究では実薬対照であるため、これらが関与し効果が高く出ているのだと思います。実薬はクラスによりリスク増加が認められる薬剤もあるためです。
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