インスリン治療歴のない2型糖尿病患者におけるインスリンエフシトラα vs. デグルデク(オープンRCT; QWINT-2試験; N Engl J Med. 2024)

insulin injection for diabetics 未分類
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週1回投与の基礎インスリンと既存インスリンとの比較

インスリンエフシトラα(Insulin efsitora alfa;エフシトラ)は週1回投与の新しい基礎インスリン製剤です。安全性と有効性に関するデータは、小規模の第1相または第2相試験に限られています。

そこで今回は、インスリン治療歴のない成人2型糖尿病患者を対象に実施された、52週間の第3相並行デザイン非盲検treat-to-target試験(QWINT-2試験)の結果をご紹介します。

参加者はエフシトラとデグルデクの投与群に1:1の割合でランダムに割り付けられました。本試験の主要エンドポイントはベースラインから52週目までの糖化ヘモグロビン値の変化であり、エフシトラはデグルデクに対して非劣性であるという仮説が立てられ実施されました(非劣性マージン:0.4%ポイント)。

副次評価項目および安全性評価項目は、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬を使用している参加者と使用していない参加者のサブグループにおける糖化ヘモグロビン値の変化、48週目から52週目におけるグルコース値が70~180mg/dLの目標範囲にあった時間の割合、および低血糖エピソードでした。

試験結果から明らかになったことは?

合計928人の参加者がランダム割付けを受けました(エフシトラ群 466人、デグルデク群 462人)。

平均糖化ヘモグロビン値エフシトラ群デグルデク群推定治療差
(95%CI)
ベースライン時8.21%8.24%
52週目6.97%7.05%
最小二乗平均変化率-1.26%ポイント-1.17%ポイント推定治療差 -0.09%ポイント
-0.22 ~ 0.04

平均糖化ヘモグロビン値は、エフシトラ群でベースライン時の8.21%から52週目には6.97%に低下し(最小二乗平均変化率 -1.26%ポイント)、デグルデク群で8.24%から7.05%に低下しました(最小二乗平均変化率 -1.17%ポイント)(推定治療差 -0.09%ポイント、95%信頼区間[CI] -0.22 ~ 0.04)。

GLP-1受容体作動薬を使用している群と使用していない群における糖化ヘモグロビン値の変化については、エフシトラはデグルデクに対して非劣性でした。

糖化ヘモグロビン値が目標範囲内にあった割合は、エフシトラ 64.3%、デグルデク 61.2%でした(推定治療差 3.1%ポイント、95%CI 0.1〜6.1)。

エフシトラ群
(/参加者・年)
デグルデク群
(/参加者・年)
推定発生率比
(95%CI)
臨床的に重要又は重篤な低血糖の発生率0.58件0.45件推定発生率比 1.30
0.94~1.78

臨床的に重要なまたは重篤な低血糖の発生率は、エフシトラで0.58件/参加者・年、デグルデクで0.45件/参加者・年でした(推定発生率比 1.30、95%CI 0.94~1.78)。

重篤な低血糖はエフシトラでは報告されなかったが、デグルデクでは6件報告されました。有害事象の発生率は両群で同程度でした。

コメント

インスリンは、糖尿病治療において重要な役割を果たしていますが、コストや患者負担、硬結などの課題が残されています。インスリンエフシトラαは、週1回投与の基礎インスリン製剤であり、研究開発が進められています。

さて、非盲検ランダム化比較試験の結果、インスリン治療歴のない成人2型糖尿病患者において、週1回投与のインスリンエフシトラαは、1日1回投与のデグルデクと比較して、糖化ヘモグロビン値の低下において非劣性であることが示されました。

試験結果は良好であり、再現性の確認を含めた更なる検証、今後の承認申請が待たれるところです。

続報に期待。

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✅まとめ✅ 非盲検ランダム化比較試験の結果、インスリン治療歴のない成人2型糖尿病患者において、週1回投与のインスリンエフシトラαは、1日1回投与のデグルデクと比較して、糖化ヘモグロビン値の低下において非劣性であった。

根拠となった試験の抄録

背景:インスリンエフシトラα(Insulin efsitora alfa;エフシトラ)は週1回投与の新しい基礎インスリン製剤である。安全性と有効性に関するデータは、小規模の第1相または第2相試験に限られている。

方法:インスリン治療歴のない成人2型糖尿病患者を対象に、52週間の第3相並行デザイン非盲検treat-to-target試験を行った。参加者はエフシトラとデグルデクの投与群に1:1の割合でランダムに割り付けられた。
主要エンドポイントはベースラインから52週目までの糖化ヘモグロビン値の変化であり、エフシトラはデグルデクに対して非劣性であるという仮説が立てられた(非劣性マージンは0.4%ポイント)。副次評価項目および安全性評価項目は、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬を使用している参加者と使用していない参加者のサブグループにおける糖化ヘモグロビン値の変化、48週目から52週目におけるグルコース値が70~180mg/dLの目標範囲にあった時間の割合、および低血糖エピソードであった。

結果:合計928人の参加者がランダム割付けを受けた(エフシトラ群 466人、デグルデク群 462人)。平均糖化ヘモグロビン値は、エフシトラ群でベースライン時の8.21%から52週目には6.97%に低下し(最小二乗平均変化率 -1.26%ポイント)、デグルデク群で8.24%から7.05%に低下した(最小二乗平均変化率 -1.17%ポイント)(推定治療差 -0.09%ポイント、95%信頼区間[CI] -0.22 ~ 0.04)。GLP-1受容体作動薬を使用している群と使用していない群における糖化ヘモグロビン値の変化については、エフシトラはデグルデクに対して非劣性であった。糖化ヘモグロビン値が目標範囲内にあった割合は、エフシトラ 64.3%、デグルデク 61.2%であった(推定治療差 3.1%ポイント、95%CI 0.1〜6.1)。臨床的に重要なまたは重篤な低血糖の発生率は、エフシトラで0.58件/参加者年、デグルデクで0.45件/参加者年であった(推定発生率比 1.30、95%CI 0.94~1.78)。重篤な低血糖はエフシトラでは報告されなかったが、デグルデクでは6件報告された。有害事象の発生率は両群で同程度であった。

結論:インスリン治療歴のない成人2型糖尿病患者において、週1回投与のエフシトラは、1日1回投与のデグルデクと比較して、糖化ヘモグロビン値の低下において非劣性であった。

試験登録番号:ClinicalTrials.gov番号. NCT05362058

引用文献

Insulin Efsitora versus Degludec in Type 2 Diabetes without Previous Insulin Treatment
Carol Wysham et al. PMID: 39254740 DOI: 10.1056/NEJMoa2403953
N Engl J Med. 2024 Sep 10. doi: 10.1056/NEJMoa2403953. Online ahead of print.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39254740/

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