催吐リスクが高い化学療法による悪心・嘔吐の予防においてホスネツピタントとホスアプレピタント、どちらが優れていますか?(DB-RCT; CONSOLE試験; J Clin Oncol. 2022)

nurse checking the dextrose of a patient 13_悪性腫瘍
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シスプラチンベースの化学療法による催吐予防においてホスネツピタントとホスアプレピタント、どちらが優れているのか?

英国や米国では、化学療法に伴う催吐予防としてホスネツピタントが使用されています。しかし、日本では充分に検討されていません。

そこで今回は、催吐性の高い化学療法による悪心・嘔吐を予防するために、ホスネツピタント(FosNTP)とホスアプレピタント(FosAPR)の有効性と安全性を比較検討したCONSOKE試験の結果をご紹介します。この第III相試験は、2種類のニューロキニン(NK)-1受容体拮抗薬とパロノセトロンおよびデキサメタゾンを併用した、初の直接比較試験です。

シスプラチンベースの化学療法を受ける予定の患者を、FosNTP 235mgまたはFosAPR 150mgとパロノセトロン0.75mgおよびデキサメタゾンの併用に1対1でランダムに割り付けました。本試験の主要評価項目は、FosNTPのFosAPRに対する非劣性を示すために、性および年齢区分で層別した全(投与後0〜120時間)完全奏効(CR;嘔吐事象なし、救助薬なし)率でした(非劣性マージン:全CR率の差 -10%)。

試験結果から明らかになったことは?

全体として795例がランダムに割り付けられ、そのうち785例に試験薬(FosNTP 392例 vs. FosAPR 393例)が投与され、有効性および安全性が評価されました。

ホスネツピタント
FosNTP
ホスアプレピタント
FosAPR
Mantel-Haenszel共通リスク差
(95%CI)
全CR率75.2%71.0%4.1%
-2.1~10.3%
急性期(0~24時間)93.9%92.6%
遅発期(24~120時間)76.8%72.8%
遅発期以降(120~168時間)86.5%81.4%
0~168時間73.2%66.9%

全CR率はそれぞれ75.2% vs. 71.0%(Mantel-Haenszel共通リスク差 4.1%、95%CI -2.1~10.3%)で、FosNTPはFosAPRに対して非劣性であることが証明されました。

急性期(0~24時間)、遅発期(24~120時間)、遅発期以降(120~168時間)、0~168時間におけるCR率は、それぞれ93.9% vs. 92.6%、76.8% vs. 72.8%、86.5% vs. 81.4%、および73.2% vs. 66.9%でした。

ホスネツピタント
FosNTP
ホスアプレピタント
FosAPR
治療関連有害事象の発生率22.2%25.4%
注射部位反応に関連する有害事象11.0%
P<0.001
20.6%
治療関連有害事象0.3%
P<0.001
3.6%

治療関連有害事象の発生率は、FosNTP vs. FosAPRで22.2% vs. 25.4%、注射部位反応に関連する有害事象または治療関連有害事象はそれぞれ11.0% vs. 20.6%(P<0.001)と0.3% vs. 3.6%(P<0.001)でした。

コメント

シスプラチン等の白金ベース化学療法は、催吐リスクが高いため、指示療法として催吐薬が使用されます。ホスネツピタントは英国や米国で使用されていますが、日本での使用経験はまだ充分ではありません。

さて、本試験結果によれば、ホスネツピタントは、急性、遅発性、および遅発性以上の化学療法による悪心・嘔吐の予防に有用であることが示されました。ホスネツピタントはホスアプレピタントに対して非劣性を示し、良好な安全性プロファイルと低い注射部位反応のリスクを示しました。主要評価項目の95%CIの下限値が0を下回ったため、優越性試験は実施されませんでした。

試験結果からホスネツピタントは、ホスアプレピタントと比較して、有効性が非劣性、安全性は高い可能性があります。有用な薬剤であると考えられます。ただし、ホスネツピタント(商品名:アロカリス)が使用できるのは成人のみです。対照薬のホスアプレピタント(商品名:プロイメンド)は生後6ヵ月以上から使用できます。

費用対効果については明らかでないため、今後の検討結果が待たれます。

続報に期待。

photo of woman lying in hospital bed

✅まとめ✅ ホスネツピタントは、急性、遅発性、および遅発性以上の化学療法による悪心・嘔吐の予防に有用であることが示された。ホスネツピタントはホスアプレピタントに対して非劣性を示し、良好な安全性プロファイルと低い注射部位反応のリスクを有していた。

試験結果から明らかになったことは?

目的:催吐性の高い化学療法による悪心・嘔吐を予防するために、ホスネツピタント(FosNTP)とホスアプレピタント(FosAPR)の有効性と安全性を比較検討した。この第III相試験は、2種類のニューロキニン-1受容体拮抗薬とパロノセトロンおよびデキサメタゾンを併用した、初の直接比較試験である。

患者と方法:シスプラチンベースの化学療法を受ける予定の患者を、FosNTP 235mgまたはFosAPR 150mgとパロノセトロン0.75mgおよびデキサメタゾンの併用に1対1でランダムに割り付けた。
主要評価項目は、FosNTPのFosAPRに対する非劣性を示すために、性および年齢区分で層別した全(投与後0〜120時間)完全奏効(CR;嘔吐事象なし、救助薬なし)率であった(非劣性マージン:全CR率の差 -10%)。

結果:全体として795例がランダムに割り付けられ、そのうち785例に試験薬(FosNTP 392例 vs. FosAPR 393例)が投与され、有効性および安全性が評価された。全CR率はそれぞれ75.2% vs. 71.0%(Mantel-Haenszel共通リスク差 4.1%、95%CI -2.1~10.3%)で、FosNTPはFosAPRに対して非劣性であることが証明された。急性期(0~24時間)、遅発期(24~120時間)、遅発期以降(120~168時間)、0~168時間におけるCR率は、それぞれ93.9% vs. 92.6%、76.8% vs. 72.8%、86.5% vs. 81.4%、および73.2% vs. 66.9%でした。治療関連有害事象の発生率は、FosNTP vs. FosAPRで22.2% vs. 25.4%、注射部位反応に関連する有害事象または治療関連有害事象はそれぞれ11.0% vs. 20.6%(P<0.001)と0.3% vs. 3.6%(P<0.001)であった。

結論:ホスネツピタントはホスアプレピタントに対して非劣性を示し、良好な安全性プロファイルと低い注射部位反応のリスクを有していた。したがって、ホスネツピタントは、急性、遅発性、および遅発性以上の化学療法による悪心・嘔吐の予防に有用であることが示された。

引用文献

Randomized, Double-Blind, Phase III Study of Fosnetupitant Versus Fosaprepitant for Prevention of Highly Emetogenic Chemotherapy-Induced Nausea and Vomiting: CONSOLE
Akito Hata et al. PMID: 34793245 PMCID: PMC8718175 (available on 2023-01-10) DOI: 10.1200/JCO.21.01315
J Clin Oncol. 2022 Jan 10;40(2):180-188. doi: 10.1200/JCO.21.01315. Epub 2021 Nov 18.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34793245/

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