痛風および慢性腎臓病合併患者におけるアロプリノール投与開始と全死亡率との関連性は?(PSマッチ人口ベースコホート研究; Ann Intern Med. 2022)

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アロプリノールの安全性は?

慢性腎臓病(CKD)の進行に対してアロプリノールを増量して投与した最近の2つのランダム化臨床試験では、有益性は示されておらず、さらに死亡リスクが増加する可能性について報告されました。痛風とCKDを併発している患者において、このようなリスクが生じる可能性があるかどうかは、まだ不明です。

そこで今回は、痛風とCKDを合併する患者において、アロプリノール開始、アロプリノール増量、およびアロプリノール開始後の血清尿酸値目標達成と全死亡との関係を検討した人口ベースコホート研究の結果をご紹介します。

試験結果から明らかになったことは?

アロプリノール
治療開始
アロプリノール
非開始
ハザード比[HR]
(95%CI)
死亡率4.9/100人・年5.8/100人・年HR 0.85
(95%CI 0.77~0.93

アロプリノールによる治療開始者5,277例とPSマッチングしたアロプリノール非開始者5,277例における死亡率は、それぞれ100人・年当たり4.9と5.8でした(ハザード比[HR] 0.85[95%CI 0.77~0.93])。

目標SU達成群と
非達成群との比較
アロプリノール
非開始
死亡HR 0.87
(95%CI 0.75~1.01
HR 0.88
(95%CI 0.73~1.07

目標試験模倣解析では、目標血清尿酸値(SU)達成群と目標SU値非達成群との比較における死亡率のHRは0.87(CI 0.75~1.01)、アロプリノール用量漸増群と用量漸増なし群との比較における死亡率のHRは0.88(CI 0.73~1.07) でした。

コメント

尿酸値と死亡リスクの関連性については結論が得られていません。また尿酸排泄促進薬の影響についても不明な点が多いです。

さて、本試験結果によれば、アロプリノールによる治療開始者5,277例とPSマッチングしたアロプリノール非開始者5,277例における死亡率は、アロプリノール使用者で低いことが示されました。目標尿酸値の達成や用量漸増による影響はなさそうです。

あくまでも仮説生成的な結果ではありますが、現状では尿酸排泄促進薬であるアロプリノール使用は死亡リスクに対してニュートラルであると考えられます。フェブキソスタットで示唆されたような心血管イベントのリスクについても検証が求められますが、今のところ過度に心配する必要はないと考えられます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ アロプリノールの開始、アロプリノールによるSU値の目標達成、アロプリノールの用量増加は、痛風とCKDを併発している患者の死亡率増加とは関連していなかった。

根拠となった試験の抄録

背景:慢性腎臓病(CKD)の進行に対してアロプリノールを増量して投与した最近の2つのランダム化臨床試験では、有益性はなかったが、死亡リスクが増加する可能性があると報告された。痛風とCKDを併発している患者において、このようなリスクが生じる可能性があるかどうかは、まだ不明である。

目的:痛風とCKDの両方を有する患者において、アロプリノール開始、アロプリノール増量、およびアロプリノール開始後の血清尿酸値目標達成と全死亡との関係を検討すること。

試験デザイン:コホート研究

試験設定:The Health Improvement Network U.K. primary care database(2000年~2019年)。

試験参加者:痛風と中等度から重度のCKDを併発した40歳以上の患者。

測定項目:傾向スコア(PS)をマッチさせたコホートにおいて、アロプリノール開始と5年間のフォローアップにおける全死亡の関連を検討した。アロプリノール投与開始者の5年間の死亡率について、目標SU値(<0.36mmol/L)達成と目標SU値未達成、用量漸増と用量漸増なしの仮想試験の解析を模倣した。

結果:アロプリノール開始者5,277例とPSマッチング非開始者5,277例における死亡率は、それぞれ100人・年当たり4.9と5.8だった(ハザード比[HR] 0.85[95%CI 0.77~0.93])。目標試験模倣解析では、目標SU値達成群と目標SU値非達成群との比較における死亡率のHRは0.87(CI 0.75~1.01); アロプリノール用量漸増群と用量漸増なし群との比較における死亡率のHRは0.88(CI 0.73~1.07) であった。

試験の限界:交絡の残存を除外することはできない。

結論:この人口ベースのデータでは、アロプリノールの開始、アロプリノールによるSU値の目標達成、アロプリノールの用量増加は、痛風とCKDを併発している患者の死亡率増加とは関連していなかった。

主な資金源:国立長寿医療研究センターのプロジェクトプログラム。

引用文献

Allopurinol Initiation and All-Cause Mortality Among Patients With Gout and Concurrent Chronic Kidney Disease : A Population-Based Cohort Study – PubMed
Jie Wei et al. PMID: 35073156 DOI: 10.7326/M21-2347
Ann Intern Med. 2022 Jan 25. doi: 10.7326/M21-2347. Online ahead of print.
— 読み進める pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35073156/

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