カベルゴリンあるいはピリドキシンの泌乳抑制効果はどのくらいですか?(RCT; Am J Obstet Gynecol. 2023)

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泌乳抑制におけるカベルゴリン vs. ピリドキシン(ビタミンB6)

個人的、社会的、医学的な理由から泌乳抑制を求める母親がいます。泌乳抑制に用いられる一般的な薬剤はカベルゴリンですが、いくつかの副作用と禁忌が知られています。具体的には、高血圧性疾患や線維性疾患、心疾患、肝疾患のある患者への使用は禁忌です。一方、泌乳抑制に対してピリドキシン(ビタミンB6, V.B6)が使用されており、その有効性を証明した研究により、有意な副作用は認められていません。しかし、カベルゴリンとピリドキシンを比較検証した研究は充分に実施されていません。

そこで今回は、カベルゴリンとピリドキシンの泌乳期抑制効果を比較検証したランダム化比較試験の結果をご紹介します。

泌乳抑制を希望した産後患者を対象に、カベルゴリン(メーカーの推奨に沿った診療科のプロトコールに従い、産後1日目に1回1mg、またはその後2日間1回0.25mgに分割して1日2回投与)またはピリドキシン(1回200mgを1日3回、7日間投与)のいずれかを投与する群にランダムに割り付けました。登録された患者は、カベルゴリンの禁忌となる疾患を有していませんでした。

全患者は、0日目、2日目、7日目、14日目に、乳房充満、乳房痛、乳汁漏出を0(無症状)から5(重篤な症状)の4段階で評価するアンケートに回答しました。

本試験の主要転帰は泌乳抑制の成功で、7日目の乳腺充満と疼痛のスコアがともに0と定義されました。副次的転帰は、乳汁漏出、副作用、発熱、乳房炎、治療中止または変更の評価でした。

試験結果から明らかになったことは?

45例と43例の患者がそれぞれカベルゴリンまたはピリドキシンを投与され、intention-to-treatの原則に従って解析に組み入れられまし。

カベルゴリン群
(45例)
ピリドキシンン群
(43例)
7日目における泌乳の抑制78%
P<0.0001
35%
7日目における軽度の症状
(乳房の充満と疼痛のスコアが0〜2)
40例(89%)
P=0.01
29例(67%)
7日後の乳汁漏出の発生率9%
P=0.0003
42%
14日後の乳汁漏出の発生率11%
P=0.02
31%

カベルゴリンはピリドキシンよりも7日目における泌乳の抑制において優れていました(78% vs. 35%;P<0.0001)

7日目における軽度の症状(乳房の充満と疼痛のスコアが0〜2と定義)は、カベルゴリン群で40例(89%)、ピリドキシン群で29例(67%)でした(P=0.01)。

7日後および14日後の乳汁漏出の発生率はカベルゴリン群でピリドキシン群より低いことが示されました(9% vs. 42%;P=0.0003、11% vs. 31%;P=0.02)。

カベルゴリンはピリドキシンよりも副作用の発生が多かったものの(31% vs. 9%;P=0.01)、すべての副作用は軽度でした。乳房の充満に関連した乳房炎および発熱の発生率はカベルゴリン群とピリドキシン群で同程度でした(4例[9%] vs. 2例[5%];P=0.67)。さらに、ピリドキシン群の9例(21%)は治療失敗のためカベルゴリンに変更またはカベルゴリンを追加していました。したがって、7日目には、ピリドキシンによる治療成功率は35%(15例)から28%(12例)に、また乳房充満と疼痛のスコアがそれぞれ0点と0〜2点では67%(29例)から53%(23例)に減少しました。

コメント

妊婦ではホルモンの作用により泌乳(母乳産生)が行われます。しかし、さまざまな理由から泌乳抑制を希望する方もいます。主に使用されているのはカベルゴリンですが、使用できない患者もいることから代替治療が求められています。

さて、ランダム化比較試験の結果、カベルゴリンはピリドキシンよりも泌乳抑制効果に優れていました。副作用の発生はカベルゴリンの方が多かったものの、いずれの治療群でも大きな副作用は認められませんでした。

ただし、ピリドキシンは先行研究および本研究の患者67%で泌乳抑制に成功していることから、カベルゴリン禁忌の女性にはその使用を考慮することが妥当であると考えられます。ピリドキシンは水溶性ビタミンであることから、その使用に際して、大きな懸念はないと考えられますが、副作用として、光線過敏症や下痢、嘔吐、大量・長期使用による手足のしびれ、知覚異常などの末梢神経障害などが報告されていることから、投与経路・投与量に注意を要します。

本試験は症例数が少なく、また試験期間も短いことから追試が求められます。

続報に期待。

two women holding pen

✅まとめ✅ ランダム化比較試験の結果、カベルゴリンはピリドキシンよりも泌乳抑制効果に優れていた。副作用はカベルゴリンの方が多かったが、いずれの治療群でも大きな副作用は認められなかった。ピリドキシンは先行研究および本研究の患者67%で泌乳抑制に成功していることから、カベルゴリン禁忌の女性にはその使用を考慮すべきである。

根拠となった試験の抄録

背景:個人的、社会的、医学的な理由から泌乳抑制を求める母親がいる。泌乳抑制に用いられる一般的な薬剤はカベルゴリンである。この薬物にはいくつかの副作用と禁忌が知られている。高血圧性疾患や線維性疾患、心疾患、肝疾患のある患者への使用は禁忌である。さらに、ピリドキシン(ビタミンB6)がこの適応症に使用されており、その有効性を証明した研究により、有意な副作用は認められていない。

目的:この研究は、カベルゴリンとピリドキシンの泌乳期抑制効果を比較することを目的とした。

研究デザイン:ランダム化比較試験を行った。泌乳抑制を希望した産後患者を、カベルゴリン(メーカーの推奨に沿った診療科のプロトコールに従い、産後1日目に1回1mg、またはその後2日間1回0.25mgに分割して1日2回投与)またはピリドキシン(1回200mgを1日3回、7日間投与)のいずれかを投与する群にランダムに割り付けた。登録された患者は、カベルゴリンの禁忌となる疾患を有していなかった。全患者は、0日目、2日目、7日目、14日目に、乳房充満、乳房痛、乳汁漏出を0(無症状)から5(重篤な症状)の4段階で評価するアンケートに回答した。
主要転帰は泌乳抑制の成功で、7日目の乳腺充満と疼痛のスコアがともに0と定義された。副次的転帰は、乳汁漏出、副作用、発熱、乳房炎、治療中止または変更の評価であった。

結果:注目すべきは、45例と43例の患者がそれぞれカベルゴリンまたはピリドキシンを投与され、intention-to-treatの原則に従って解析に組み入れられたことである。カベルゴリンはピリドキシンよりも7日目における泌乳の抑制において優れていた(78% vs. 35%;P<0.0001)。7日目における軽度の症状(乳房の充満と疼痛のスコアが0〜2と定義)は、カベルゴリン群で40例(89%)、ピリドキシン群で29例(67%)であった(P=0.01)。7日後および14日後の乳汁漏出の発生率はカベルゴリン群でピリドキシン群より低かった(9% vs. 42%;P=0.0003、11% vs. 31%;P=0.02)。カベルゴリンはピリドキシンよりも副作用が多かったが(31% vs. 9%;P=0.01)、すべての副作用は軽度であった。乳房の充満に関連した乳房炎および発熱の発生率はカベルゴリン群とピリドキシン群で同程度であった(4例[9%] vs. 2例[5%];P=0.67)。さらに、ピリドキシン群の9例(21%)は治療失敗のためカベルゴリンに変更または追加した。したがって、7日目には、ピリドキシンによる治療成功率は35%(15例)から28%(12例)に、また乳房充満と疼痛のスコアがそれぞれ0点と0〜2点では67%(29例)から53%(23例)に減少した。

結論:カベルゴリンはピリドキシンよりも泌乳抑制効果に優れていた。副作用はカベルゴリンの方が多かったが、いずれの治療群でも大きな副作用は認められなかった。ピリドキシンは先行研究および本研究の67%の患者で泌乳抑制に成功していることから、カベルゴリン禁忌の女性にはその使用を考慮すべきである。

キーワード:乳房充満、授乳、カベルゴリン、泌乳抑制、乳腺炎、ピリドキシン、ビタミンB6

引用文献

The efficiency of cabergoline vs pyridoxine for lactation inhibition-a randomized controlled trial
Adi Dayan-Schwartz et al. PMID: 37827268 DOI: 10.1016/j.ajog.2023.10.009
Am J Obstet Gynecol. 2023 Oct 11:S0002-9378(23)00738-X. doi: 10.1016/j.ajog.2023.10.009. Online ahead of print.
— 読み進める pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37827268/

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