アトピー性皮膚炎の成人における静脈血栓塞栓症のリスクはどのくらいか?(人口ベースコホート研究; JAMA Dermatol. 2023)

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根拠となった試験の抄録

試験の重要性:アトピー性皮膚炎(AD)と複数の心血管疾患との関連は、慢性全身性炎症に関する病態機序と血管への影響の可能性から調査されてきた。しかしながら、成人期におけるADと静脈血栓塞栓症(VTE)発症との関連は、ほとんど知られていない。本研究は、ADと発症したVTEとの関連を調査することを目的とした。

目的:AD患者におけるVTE発症のリスクを検討すること。

試験デザイン、設定、参加者:この人口ベースの全国コホート研究は、国民健康保険調査データベースから20歳以上の成人(2003年から2017年の間に新たに診断されたADの成人およびマッチさせた対照者)を対象とした。AD患者は、重症度によってサブグループ分けした。VTEのハザード比(HR)の推定には、Cox回帰モデルを使用した。年齢と性別による層別解析、および全身性ステロイド使用者を除外した感度解析が行われた。

主要アウトカムと指標:ADに関連するVTE発症のハザード比(HR)

結果:本解析では、AD(平均年齢[SD]44.9[18.3]歳、女性 78,213例)および非ADコホート(平均年齢[SD]44.1[18.1]歳、女性 79,636例)の各142,429例を含む合計284,858例の参加者が対象となった。追跡期間中、ADコホートでは1,066例(0.7%)、非ADコホートでは829例(0.6%)がVTEを発症し、発症率はそれぞれ1,000人・年あたり1.05人および0.82人であった。ADの成人は、ADでない成人と比較して、VTE発症リスクが有意に高かった(HR 1.28、95%CI 1.17〜1.40)。個々のアウトカム解析では、ADは深部静脈血栓症(HR 1.26、95%CI 1.14〜1.40) および肺塞栓症(HR 1.30、95%CI 1.08〜1.57) の高リスクと関連することが示された。

結論と関連性:このコホート研究の結果は、成人期のADがVTEのリスク上昇と関連することを示唆している。しかし、ADのある成人とない成人の間のVTEの絶対的リスク差は小さいようだ。しかしながら、VTEを示唆する症状を呈するADの成人に対しては、心血管検査および緊急の管理を考慮する必要がある場合がある。ADとVTEとの関連性の根底にある病態生理を解明するために、今後の研究が必要である。

利益相反に関する声明
利益相反の開示: 報告なし

引用文献

Risk of Venous Thromboembolism Among Adults With Atopic Dermatitis
Tai-Li Chen et al. PMID: 37256633 PMCID: PMC10233455 (available on 2024-05-31) DOI: 10.1001/jamadermatol.2023.1300
JAMA Dermatol. 2023 May 31;e231300. doi: 10.1001/jamadermatol.2023.1300. Online ahead of print.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37256633/

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