ストーマを有する新生児における粘液瘻への注入の効果はどのくらい?(観察研究のメタ解析; Arch Dis Child Fetal Neonatal Ed. 2023)

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粘膜瘻への注入(再給餌:Mucous Fistula Refeeding, MFR)の効果はどのくらいなのか?

粘膜瘻への注入(再給餌:Mucous Fistula Refeeding, MFR)とは、腹部手術後にストーマ(ストマ:ostomy)を活用している場合に、近位ストーマからの排水を遠位粘膜瘻に導入して腸の生理機能を維持することです。このように、MFRは腸機能を最大限に高めることを目的に行われます。しかし、MFRの有効性については充分に検討されていません。

そこで今回は、腹部手術後の新生児におけるMFRの有効性と合併症を評価したメタ解析の結果をご紹介します。

本試験は、ランダム化比較試験および観察研究のシステマティックレビューおよびメタ解析であり、PubMed、Embase、Cochrane、CINAHLにおいて、MFR実施と非実施のストーマを有する新生児を比較した研究を含む研究を対象に2022年6月まで検索されました。

本試験の主要アウトカムは、非経口栄養の持続期間でした。副次的アウトカムは、完全経腸栄養までの時間、胆汁うっ滞の発生率、血清総ビリルビンのピーク値、敗血症、再吻合までの時間、入院期間でした。

試験結果から明らかになったことは?

合計16件の観察研究が含まれました(n=623)。

ストーマを有する新生児におけるMFR vs. 非MFR
非経口栄養の日数平均差 37.17日
(95%CI -63.91 ~ -10.4
n=244、5研究、GRADE: 低い

比較対象群と比較して、MFRを受けた新生児は非経口栄養の日数が少ないことが示されました(平均差 37.17日、95%CI -63.91 ~ -10.4、n=244、5研究、GRADE: 低い)。

さらに、MFRを受けた新生児では、胆汁うっ滞の発生率が低く、完全栄養に達するまでの時間が短く、入院期間が短かいことも明らかとなりました。

コメント

炎症性疾患などを原因とする腸疾患において、小腸切除が行われます。小腸切除後の新生児における近位ストーマ(口側のストーマ)からの排泄物を、粘液瘻(腸管側のストーマ)へ注入する再給餌(Mucous Fistula Refeeding, MFR)は、腸管からの栄養吸収を促進して、未使用の遠位側の腸管における萎縮を防ぐことができます。しかし、症例数が限られることから、粘膜瘻への注入(MFR)の効果は充分に検討されていません。

さて、本試験結果によれば、メタ解析の結果(確実性の低いエビデンス)、腹部手術およびストーマ造設後の新生児において、粘膜瘻への注入(MFR)は非経口栄養の投与期間の短縮(平均差 37.17日)と関連することが示唆されました。

ただし、解析の基になったのは観察研究のみです。調整しきれていないあるいは未知の交絡因子の影響を排除することができないことから、結果は割り引いて捉えておいた方が良いでしょう。

倫理的な側面や症例数などの課題はあるものの、より質の高いランダム化比較試験の実施が求められます。

続報に期待。

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☑まとめ☑ メタ解析の結果(確実性の低いエビデンス)、腹部手術およびストーマ造設後の新生児において、粘膜瘻への注入(MFR)は非経口栄養の投与期間の短縮と関連することが示唆された。

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