Risk of post-thrombotic syndrome after deep vein thrombosis treated with rivaroxaban versus vitamin-K antagonists: A systematic review and meta-analysis
Thromb Res. 2020 Sep 17;196:340-348. doi: 10.1016/j.thromres.2020.09.014. Online ahead of print.
PMID: 32977134
DOI: 10.1016/j.thromres.2020.09.014
Keywords: Anticoagulants; Factor Xa inhibitors; Postthrombotic syndrome; Rivaroxaban; Warfarin.
背景
血栓後症候群(PTS)は、深部静脈血栓症(DVT)の長期にわたる重篤な合併症である。
最近の研究において、リバーロキサバンはビタミンK拮抗薬(VKA)と比較してPTS発症を減少させる可能性が示唆されている。
そこで我々は、PTSリスクに関してリバーロキサバンとVKAを比較した文献を系統的にレビューした。
材料および方法
運用開始から2020年3月までのすべての関連研究を対象に、PubMed、EMBASE、コクランライブラリーを用いてシステマティックレビューとメタアナリシスを実施した。
2名のレビュアーが独立して研究をスクリーニングし、データを抽出し、含まれる研究の質を評価した。
主要アウトカムはPTSの総合的なリスクとした。
副次的アウトカムは、PTSの各カテゴリー(軽度、中等度、重度)と静脈潰瘍のリスクとした。
結果
・比較研究 7件(2,364例)が本メタ解析の対象となった。
・DVT治療にリバーロキサバンを使用した場合、従来のVKAと比較してPTSリスクが低下した。
★未調整オッズ比(OR) 0.53、95%CI 0.43〜0.65、P<0.00001
・この効果は、潜在的交絡因子の調整後も維持された。
★調整後OR 0.44、95%CI 0.35~0.56、P<0.00001
・さらに、リバーロキサバン療法は軽度PTS(OR 0.64、95%CI 0.50~0.82、P=0.0005)、中等度PTS(OR 0.64、95%CI 0.45~0.91、P=0.01)、重度PTS(OR 0.52、95%CI 0.33~0.82、P=0.005)のリスク低下と関連していることが判明した。
・また、統計学的に有意ではないが、静脈潰瘍のリスクを減少させる傾向もみられた(OR 0.41、95%CI 0.15〜1.08、P = 0.07)。
結論
VKAと比較して、DVT治療にリバーロキサバンを使用することは、PTSイベントを減少させる可能性がある。しかし、これらの知見を裏付けるためには、より大規模なサンプルサイズの十分に計画された研究が必要である。
コメント
血栓症後症候群(post-thrombotic syndrome:PTS)とは?
深部静脈血栓症(DVT)患者の3人に1人は、血栓症後症候群(post-thrombotic syndrome:PTS)を発症することが知られています。字の通り血栓症になった後に症状が引き起こされます。
PTSの具体的な症状は?
PTSの具体的な症状として、患側下肢の進行性の腫脹、疼痛、痙攣、熱感、穿痛感、掻痒感があります。
色素沈着と静脈瘤の増加による皮膚の黒ずみ、発赤、皮膚掻痒感も稀ではありますが認められる症状です。
PTS発症を抑制するためには?
ビタミンK拮抗薬(VKA)をはじめとする抗凝固薬の服用が推奨されています。これは通常、DVTの治療から継続されるケースがほとんどです。
また最近の報告では、VKAよりもDOACの方が、PTS発症リスクを低下させる可能性があります。
今回の試験で明らかになったことは?
比較研究7件のメタ解析の結果、DVT治療にDOACの一つであるリバーロキサバンを使用すると、VKAと比較して、PTS発生リスクが低下しました(調整後OR 0.44、95%CI 0.35~0.56、P<0.00001)。
異質性を判断する統計量I2は0%でしたが、組み入れられた研究の中では、Prandoni Pらの研究が大部分を占めています。論文はこちら↓
したがって彼等の研究論文を批判的吟味した方が、より結果を外挿できる可能性が高いと考えます。
現時点においては、研究数も少ないため、ややリバーロキサバンが課題評価されているようにも感じられます。
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