Independent effects of 15 commonly prescribed drugs on all-cause mortality among US elderly patients with type 2 diabetes mellitus
Seo H Baik et al.
BMJ Open Diabetes Res Care. 2020 Apr;8(1):e000940. doi: 10.1136/bmjdrc-2019-000940.
PMID: 32341050
PMCID: PMC7202731
DOI: 10.1136/bmjdrc-2019-000940
Keywords: antidiabetic drugs; cardiovascular drugs; drug effects; drug epidemiology.
目的
2型糖尿病(T2DM)患者の多くは高血圧と脂質異常症を併発している。そのため、3状態すべての薬を同時に服用しており、ある薬の効果と他の薬の効果が混同される可能性がある。
本研究では、高齢者のT2DM患者において、3つの疾患に対して一般的に処方されている15種類の薬剤が全死亡リスクに及ぼす独立した影響を明らかにすることを目的とした。
研究デザインと方法
2007年から2016年までのT2DMの高齢患者360,437例のコホートを、糖尿病薬8種類、高血圧薬6種類、脂質異常症薬1種類の累積使用量とともに追跡した。
各試験薬の全死亡の相対リスクは、他の試験薬の同時使用を調整した拡張Cox回帰分析を用いて推定した。
結果
・各試験薬を使用しなかった場合と比較して、糖尿病治療薬3剤、ナトリウム-グルコースコトランスポーター-2阻害薬(HR=0.73;95%CI 0.64~0.84)、グルカゴン様ペプチド-1受容体作動薬(HR=0.75;95%CI 0.70~0.80)、ジペプチジルペプチダーゼ-4阻害薬(HR=0.94;95%CI 0.91~0.98)、3種類の血圧薬、利尿薬(HR=0.89;95%CI 0.87~0.92)、アンジオテンシン受容体拮抗薬(HR=0.86;95%CI 0.84~0.89)、ACE阻害薬(HR=0.98;95%CI 0.95~1.01)、スタチン(HR=0.83;95%CI 0.80~0.85)を使用すると、死亡リスクは低下した。
・インスリン(HR=1.55;95%CI 1.51~1.59)、スルホニル尿素(HR=1.16;95%CI 1.13~1.20)では中等度に増加し、メトホルミン(HR=1.05)、β遮断薬(HR=1.07)、ジヒドロピリジンカルシウムチャネル遮断薬(HR=0.99)、非ジヒドロピリジンカルシウムチャネル遮断薬(HR=1.05)ではわずかに一貫性のない程度であった。チアゾリジンジオンの使用は効果がなかった。
結論
高齢の糖尿病患者において、死亡リスクは、新規糖尿病治療薬3剤、血圧治療薬3剤、スタチン系薬剤で有意に減少した。スルホニルウレアとインスリンでは中等度にリスクが増加した。スルホニルウレアやインスリンの代わりに新しいT2DM薬を積極的に使用する研究が必要である。
我々のスタチンの結果は、高齢の糖尿病患者におけるスタチンの使用に関する2つの国のガイドラインを経験的に検証している。しかし、研究患者の23%はスタチンを服用したことがなく、予防の機会を逃していることが示唆された。
コメント
2型糖尿病は、しばしば高血圧や脂質異常症(特に高LDLコレステロール血症)を併発します。単一疾患に比べ、併発症例では死亡リスクの増加が報告されています。
さて、本試験結果によれば、比較的新しい薬剤であるSGLT-2阻害薬、GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬は、これらの薬剤を使用しなかった場合と比較して、死亡リスクを低下させました。また降圧薬であるACE阻害薬、ARB、利尿薬、そして脂質異常症治療薬であるスタチンの使用でも死亡リスクが低下しました。いずれもFull cohortの結果。
- SGLT-2阻害薬:HR=0.73;95%CI 0.64~0.84
- GLP-1 RA :HR=0.75;95%CI 0.70~0.80
- DPP-4阻害薬 :HR=0.94;95%CI 0.91~0.98
- ACE阻害薬 :HR=0.98;95%CI 0.95~1.01
- ARB :HR=0.86;95%CI 0.84~0.89
- 利尿薬 :HR=0.89;95%CI 0.87~0.92
- スタチン :HR=0.83;95%CI 0.80~0.85
一方、インスリン(HR=1.55;95%CI 1.51~1.59)、スルホニル尿素(HR=1.16;95%CI 1.13~1.20)では、中等度の死亡リスク増加が認められました。
また、メトホルミン、β遮断薬、ジヒドロピリジンカルシウムチャネル遮断薬(DHP CCB)、非DHP CCBでは、4種類の解析方法で効果推定値が異なり、結果の一貫性は認められませんでした。一方、チアゾリジンジオンの使用は、一貫して死亡リスクへの影響が認められませんでした。
あくまでも観察研究の結果ですが、過去の報告と大きな矛盾はありません。メトホルミンについては、心血管イベントおよび死亡リスクの低下が認められているのは、一部のRCT、そして大半は観察研究の結果です。現在では、2型糖尿病などの疾患に対して様々な薬剤が使用されています。したがって、倫理的な観点から、プラセボ対照の試験実施が困難です。したがって、通常治療への薬剤追加の効果を検証することが限界であると考えます。
ただし、いずれにせよ、各薬剤による死亡リスクの低下効果は微々たるものであると考えます。
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