CABGを予定している急性冠症候群あるいは心不全患者におけるアロプリノール使用は心血管イベント発生を予防できますか?(SR&MA; Cardiol Res. 2020)

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Efficacy of Allopurinol in Cardiovascular Diseases: A Systematic Review and Meta-Analysis

Waqas Ullah et al.

Cardiol Res. 2020 Aug;11(4):226-232. doi: 10.14740/cr1066. Epub 2020 Jun 3.

PMID: 32595807

PMCID: PMC7295562

DOI: 10.14740/cr1066

Keywords: ACS; Allopurinol; CABG; Heart failure.

背景

現在のエビデンスを考えると、冠動脈バイパスグラフト(CABG)を受けている患者において、指標となるACSまたは心不全の後に、主要な心血管系イベント(急性心血管症候群(ACS)または心血管系死亡率)を予防するためにアロプリノールを使用することは、まだ不明である。

方法

ACSまたは心不全後の冠動脈バイパス術(CABG)を受ける患者におけるアロプリノールの有効性を比較した研究を特定するために、複数のデータベースを検索した。

ランダム効果モデルを用いて未調整オッズ比(OR)を算出した。

結果

・患者850例(アロプリノール480例、対照370例)からなる合計9件の研究が同定された。

・CABG中にアロプリノールを投与された患者では、対照群の患者に比べて術後ACS(OR =0.25、95%信頼区間(CI)0.06~0.96、P = 0.05)および心血管死亡(OR =0.22、95%CI 0.07~0.71、P = 0.01)のプールされたORが有意に低かった。

・ACSイベントを1回予防するために必要な治療数(NNT)は全体で11(95%CI 7~28)であったのに対し、死亡を1回予防するためのNNTは24(95%CI 13~247)であった。

・対照的に、ACSまたは心不全後にアロプリノールを長期投与している患者では、アロプリノール群の心血管死亡のオッズは対照群と有意差はなかった(OR =0.33、95%CI 0.01~8.21、P=0.50)、(OR =1.12、95%CI 0.39~3.20、P=0.83)。同様に、アロプリノール使用は、2年後のACS再発イベントのオッズを低下させなかった(OR =0.32、95%CI 0.03~3.18、P=0.33)。

結論

アロプリノールの術前使用は、CABGを受けている患者のACSおよび心血管死亡のオッズの有意な減少と関連している可能性がある。しかし、アロプリノールはACSや死亡率の二次予防という点では長期的な効果はない。我々の知見を検証するためには、より大規模な研究が必要である。

コメント

尿酸値と心血管イベントの関連性について検討した試験。以前から尿酸値と心血管イベント発生については関連性が報告されています。しかし決定的なエビデンスはなく、どのような患者に対し、尿酸低下薬を使用した方が良いか疑問が残ります。

さて、本試験結果によれば、CABGを予定している急性冠症候群あるいは心不全患者に対するアロプリノール使用は、非使用と比較して、術後ACS(NNT =11、95%CI 7~28)および心血管死亡(NNT =24、95%CI 13~247)の発生が低下しました。ただし、2年後の急性冠症候群イベントの再発を抑制しませんでした。

一方、CABGを受けていない急性冠症候群あるいは心不全後にアロプリノールを長期投与している患者では、前述の効果は認められませんでした。

組み入れられた研究は9件と少ないですが、いずれの試験もバイアスリスクは低いようですので、結果が覆る可能性は低いかもしれません。

✅まとめ✅ CABGを予定している急性冠症候群あるいは心不全患者に対するアロプリノール使用は、非使用と比較して、術後ACS(NNT =11)および心血管死亡(NNT =24)の発生が低下したが、CABGを受けていない患者では効果が認められなかった

✅まとめ✅ アロプリノールによる持続効果は、イベント後2年未満のようであった

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