Effect of Bempedoic Acid vs Placebo Added to Maximally Tolerated Statins on Low-Density Lipoprotein Cholesterol in Patients at High Risk for Cardiovascular Disease: The CLEAR Wisdom Randomized Clinical Trial
Anne C Goldberg et al.
JAMA. 2019 Nov 12;322(18):1780-1788.
doi: 10.1001/jama.2019.16585.
PMID: 31714986
PMCID: PMC6865290 (available on 2020-05-12)
Trial registration: ClinicalTrials.gov Identifier: NCT02991118.
試験の重要性
既存の脂質低下療法で低密度リポ蛋白コレステロール(LDL-C)値を十分に低下させられない患者には、追加の治療選択肢が必要である。
目的
最大限に忍容性の高い脂質低下療法を受けている心血管リスクの高い患者におけるベンペド酸とプラセボの有効性を評価すること。
試験デザイン、設定、参加者
2016年11月から2018年9月までに北米と欧州の臨床施設(91施設)で実施された第3相ランダム化二重盲検プラセボ対照臨床試験で、最終追跡日は2018年9月22日だった。
動脈硬化性心血管系疾患、ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症、またはその両方を有する患者779人が、最大耐容性の脂質低下療法を受けている間にLDL-C値70 mg/dL(1.8mmol/L)以上であることを含むランダム化基準を満たした。
介入
患者は、ベンペド酸(180mg)(n=522)またはプラセボ(n=257)を1日1回52週間投与する治療に2:1の割合でランダムに割り付けられた。
主要アウトカムおよび測定法
主要エンドポイントは、12週目におけるLDL-Cレベルのベースラインからの変化率であった。
副次的測定として、脂質、リポタンパク質、バイオマーカーのレベルの変化が含まれた。
結果
・ランダム化された779例(平均年齢64.3歳、女性283例[36.3%])のうち、740例(95.0%)が試験を終了した。
・ベースライン時の平均LDL-C値は120.4(SD 37.9)mg/dLであった。ベンペド酸は12週目にプラセボよりも有意にLDL-C値を低下させた。
★ベンペド酸 -15.1% vs. プラセボ 2.4%;差 -17.4%[95%CI -21.0%~ -13.9%];P<0.001
・ベンペド酸 vs. プラセボによる有意な脂質低下は、12週目に非高密度リポタンパク質コレステロール(-10.8% vs. 2.3%;差 -13.0%[95%CI -16.3%~ -9.8%];P < 0.001)、総コレステロール(-9.9% vs. 1.3%;差 -11.2%[95%CI -13.6%~ -8.8%];P < 0.001)、総コレステロール(-9.9% vs. 1.3%;差 -11.2%[95%CI -13.6%~ -8.8%];P < 0.001)、アポリポ蛋白B(-9.3% vs. -3.7%;差 -13.0%[95%信頼区間 -16.1%~ -9.9%];P < 0.001)、高感度C反応性蛋白(中央値 -18.7% vs. -9.4%;差 -8.7%[漸近信頼区間 -17.2%~ -0.4%];P = 0.04)が認められた。
・一般的な有害事象としては、鼻咽頭炎(ベンペド酸 5.2% vs. プラセボ 5.1%)、尿路感染症(5.0% vs. 1.9%)、高尿酸血症(4.2% vs. 1.9%)が挙げられた。
結論および関連性
心血管疾患リスクが高い患者で、最大耐容性のスタチン製剤を投与されている患者において、プラセボと比較してベンペド酸の追加投与は、12週間にわたりLDL-C値を有意に低下させる結果となった。
耐久性や臨床効果、長期安全性を評価するためには、さらなる研究が必要である。
コメント
2020年4月時点では、本邦未承認のbempedoic acid(ベンペド酸)。脂質低下については、基本的にスタチンがファースト治療であることに変わりはありません。しかし、スタチン治療でもLDL-C目標値に達せない場合があります。心血管リスクが特に高い患者においては、LDL-C値 70 mg/dLが目標値となります。
さて、本試験の結果により、最大忍容量のスタチン治療にベンペド酸を追加することで、プラセボと比較して、12週後のLDL-C値が有意に低下しました(差 -13.0%[95%CI -16.3%~ -9.8%];P < 0.001)。
試験期間が短いこともあり、残念ながら心血管イベントの発生率については検討されていません。また副作用としては、尿酸値および痛風発症率が、プラセボと比べて多いところですね。治療時の定期的なモニタリング項目になると考えます。
今後はハードアウトカムも検討されていくと思います。続報を待ちたい。
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