Family History of Gastric Cancer and Helicobacter pylori Treatment
Il Ju Choi et al.
N Engl J Med. 2020
Randomized Controlled Trial
Funded by the National Cancer Center, South Korea
ClinicalTrials.gov number, NCT01678027.
背景
ヘリコバクターピロリ感染と胃がんの家族歴は、胃がんの主な危険因子である。ヘリコバクターピロリを根絶するための治療が、一親等血縁者の胃がん家族歴を持つ人の胃がんリスクを軽減できるかどうかは不明である。
方法
単一施設、二重盲検、プラセボ対照試験では、胃がん患者の第一親等近親者3,100人をスクリーニングした。
H. pylori感染の1,838人を、根絶療法(ランソプラゾール[30 mg]、アモキシシリン[1,000 mg]、クラリスロマイシン[500 mg]、それぞれ7日間1日2回服用)またはプラセボにランダム割り当てした。
主なアウトカムは胃癌の発生だった。 事前に指定された二次転帰は、H.pyloriの根絶状況に応じた胃癌の発生であり、追跡期間中に評価された。
結果
・合計1,676人が、主要転帰の分析のために修正された治療意図集団に含まれていた(治療群832人、プラセボ群844人)。
・9.2年間の追跡期間中、胃がんは治療群の参加者10人(1.2%)とプラセボ群の参加者23人(2.7%)で発生した。
★ハザード比 =0.45、95%信頼区間[CI] 0.21-0.94; ログランク検定P =0.03
—-
・胃がんが発生した治療群10人のうち、5人(50.0%)はピロリ菌感染が持続していた。
・胃がんは、ピロリ菌感染が根絶された参加者の0.8%(608人中5人)、および持続感染した群の2.9%(979人中28人)で発症した。
★ハザード比 =0.27; 95%CI 0.10〜0.70
—-
・有害事象は軽度であり、プラセボ群よりも治療群のほうが一般的だった(53.0% vs. 19.1%; P <0.001)。
結論
一等親血縁者に胃がん家族歴があったピロリ菌感染者では、ピロリ菌の根絶治療により胃がんリスクが低下した。
コメント
アブストのみ。
単施設での研究結果。それにしてはサンプルサイズが大きく、素直に凄いなと感じました。
さて、試験デザインとしてはDB-RCTで、対象は一等親血縁者に胃がん家族歴があり、かつピロリ菌感染のある患者。
ありそうで過去に報告のない組入基準です。類似研究はあるかもしれませんが、ここまで規模の大きい研究は初めてだと思います。
結果としては、やはりピロリ菌を除菌した方が良さそう。除菌がうまくいっても胃がんになってしまう人ももちろんいますが、除菌をしないよりは減っています。
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