高血圧患者が金銭的インセンティブを受けるとチアジド系利尿薬の処方が増えますか?(JAMA Netw Open. 2018)

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Efficacy of Patient Activation Interventions With or Without Financial Incentives to Promote Prescribing of Thiazides and Hypertension Control: A Randomized Clinical Trial.

Kaboli PJ et al.

JAMA Netw Open. 2018

Dec 7;1(8):e185017. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2018.5017.

研究の重要性

根拠に基づくガイドラインでは、合併症のない高血圧症に対する第一選択療法としてチアジド系利尿薬を推奨している。しかし、チアジドは十分に使用されておらず、高血圧は依然として不十分に管理されている。

研究の目的

チアジド処方を促進するための金銭的インセンティブを用いた患者活性化介入の有効性を評価すること。

デザイン、設定、および参加者

利尿薬導入のための退役軍人プロジェクト(The Veterans Affairs Project to Implement Diuretics)、ランダム化臨床試験は、2006年8月1日~2008年7月31日まで、13ヶ所の退役軍人プライマリケアクリニックで行われた。

追跡期間は12ヶ月間。

チアジドを服用しておらず、血圧(BP)目標を達成していない2,853人の適格患者を特定するために、合計61,019人の患者をスクリーニングした。 598人が参加することに同意した。統計分析は、2017年12月1日~2018年9月12日まで行われた。

介入

試験参加者(n=598)をランダムに4群に分けた。

①コントロール群(n=196)

②グループA(n=143):チアジド処方に関する手紙を受け取る群

③グループB(n=128):手紙および金銭的インセンティブを受け取る群

④グループC(n=131):手紙、金銭的インセンティブ、プライマリケア医と話すよう患者に促す電話を受ける群

プライマリーアウトカムと測定

主要アウトカムは、チアジド処方と血圧コントロール。二次的なプロセス測定は、チアジドに関する患者とプライマリケア臨床医間の議論でした。

結果

598人の参加者(男性588人および女性10人)のうち、複合介入群の平均(SD)年齢(n = 402)は62.9(8.8)歳、平均ベースラインBPは148.1 / 83.8 mm Hgであった。

対照群(n = 196)の平均(SD)年齢は64.1(9.2)歳であり、平均ベースライン血圧は151.0 / 83.4 mm Hgであった。

初診時のチアジド処方の未調整率は、

コントロール群で9.7%(196人中19人)、

グループAで24.5%(143人中35人)、

グループBで25.8%(128人中33人)、

グループCで32.8%(131人中43人)だった。(P <0.001)。

調整後分析では、インデックス訪問と6ヶ月時点の訪問で処方するチアジドへの介入効果を示したが、12ヶ月時点での訪問で減少した。

血圧コントロールにおいて、グループCでの12ヵ月時点の追跡調査で有意な介入効果があった(調整オッズ比 =1.73, 95%CI 1.06〜2.83; P =0.04)。

介入群はチアジドについての議論率が用量反応的(介入項目が多くなるほど)に改善した。

グループA:44.1%(143人中63人)

グループB:56.3%(128人中72人)

グループC:68.7%(131人中90)

(P =0.004)

結論と関連性

高血圧症に対するチアジドに関する患者活性化介入により、患者の3分の2が担当医と話し合いを行い、約3分の1の患者でチアジド処方を開始した。

手紙に加え金銭的インセンティブと電話をかけることで、両アウトカム(プライマリー・セカンダリー)が徐々に改善された。

介入後12ヶ月までに、血圧コントロールが改善することも明らかになった。

低コスト、低強度の介入は、患者と臨床医との高頻度の議論およびその後のチアジド処方をもたらした。これにより根拠に基づくガイドラインを促進し臨床的慣性を克服するために使用され得る。

Trial Registration: ClinicalTrials.gov Identifier: NCT00265538.


コメント

アブストのみ。

退役軍人の集団であるため男性の割合が高い(男性98.3%)。またチアジド処方率については、介入を受けた3群間で差はなかった。手紙だけで良さそうですな。金銭的インセンティブよりは安いはず。

将来的にはエビデンスベースな手紙を薬局から患者さんに送るのも面白そうだけど、恣意的すぎますね。

そうそうインセンティブについては、署名はがきを受け取った患者に20ドルが支払われたようです。

自己負担がある患者(70.4%[598人中421人])の場合、手紙には、ポストカードを受け取ってチアジドが処方されたことを確認できると、6ヶ月間のチアジド処方にかかる48ドルが払い戻されるとも伝えられたようです。

以下、原文:

Group B received the same patient education letter as well as a financial incentive to initiate a discussion with their primary care clinician. The incentive was a $20 payment that patients would be mailed on receipt of their signed postcard. For patients with a prescription copayment (70.4% of patients [421 of 598]), the letter also told them that their thiazide copayments for 6 months ($48) would be reimbursed on receipt of the postcard and confirmation that a thiazide was prescribed.

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