Association Between Baseline LDL-C Level and Total and Cardiovascular Mortality After LDL-CLowering: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA. 2018 Apr 17;319(15):1566-1579. Navarese EP et al. PMID: 29677301
研究の重要性
特定の致命的および非致死的なエンドポイントへの影響は、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)低下薬を用いた臨床試験では変化するようである。研究の目的
ベースライン時のLDL-Cレベルが、総死亡および心血管死亡リスク低下と関連しているかどうかを評価する。データソース調査の選択
スタチン、エゼチミブおよびPCSK9阻害モノクローナル抗体を対象としたランダム化比較試験を特定するために、電子データベース(Cochrane、MEDLINE、EMBASE、TCTMD、ClinicalTrials.gov、主要議会議事録)を2018年2月2日まで検索した。データ抽出および合成
2人の研究者がデータを抽象化し、リスクオブバイアスを評価した。介入群は、「より厳格的more intensive」(より強力な薬理学的介入)または「厳格な治療をあまり要しないless intensive」(あまり強力でない、プラセボまたは対照群)に分類された。主なアウトカムと措置
共通プライマリーエンドポイントは、全死亡および心血管死亡。ランダム効果 – メタ回帰およびメタアナリシスは、ベースラインLDL-Cレベルと、死亡エンドポイントおよび主要心血管有害イベント(MACE)を含むセカンダリーエンドポイント減少との関連性を評価した。結果
統合された34件の試験では、136,299人の患者がmore intensive、133,989人がless intensiveとしてLDL-C低下療法を受けた。 総死亡は、less intensiveと比べmore intensiveの方がより低かった(7.08% 対 7.70%, レート比rate ratio[RR] =0.92 [95%CI 0.88~0.96])が、ベースラインLDL-Cレベルによって変化した。 メタ回帰の結果、ベースラインLDL-Cがより高い方が、more intensiveの効果も高く全死亡の減少と関連していた。しかし、この差はベースラインLDL-Cが100 mg/dL以上の場合にのみメタ解析で認められた(相互作用 P <0.001)。
ベースラインLDL-C 40 mg/dL増加に伴うRRの変化
レート比 rate ratio(RR)
RR =0.91(95%CI 0.86~0.96, P =0.001)
絶対リスク差 absolute risk difference(ARD)
ARD = -1.05 incident case/1,000 person years(95%CI -1.59~-0.51)
心血管死亡についても、less intensiveと比べmore intensiveの方がより低かった(3.48% 対 4.07%, RR =0.84 [95%CI 0.79~0.89])が、ベースラインLDL-Cレベルによって変化した。
メタ回帰の結果、ベースラインLDL-Cがより高い方が、more intensiveの効果も高く心血管死亡の減少と関連していた。しかし、この差はベースラインLDL-Cが100 mg/dL以上の場合にのみメタ解析で認められた(相互作用 P <0.001)。
ベースラインLDL-C 40 mg/dL増加に伴うRRの変化
レート比 rate ratio(RR)
RR =0.86(95%CI 0.80~0.94, P =0.001)
絶対リスク差 absolute risk difference(ARD)
ARD = -1.0 incident case/1,000 person years(95%CI -1.51~-0.45)
ベースラインLDL-Cレベルが160 mg/dL以上の場合、メタ解析で全死亡は大きく減少した(RR =0.72 [95%CI 0.62~0.84], P <0.001; ARD =4.3以下/1,000 person years)。
より厳格的なLDL-C低下は、ベースラインLDL-Cレベルがより高くなるにつれて心筋梗塞、血行再建術およびMACEの著明なリスク減少と関連していた。
結論と関係
メタアナリシスおよびメタ回帰では、ベースラインLDL-Cレベルが高値の時、less intensiveと比較しmore intensiveでは、LDL-C低下と全死亡および心血管死亡リスク減少の関連性が高かった。 しかし上記の関連性は、ベースラインLDL-Cが100 mg/dL未満の場合は認められず、ベースラインLDL-Cレベルがより高い患者でLDL-C低下療法の最大の利益が生じる可能性が示唆された。コメント
あぶすとのみ。 年齢や併存疾患にもよるがLDL-C 100 mg/dL未満の場合、さらなるLDL-C低下療法は不要とのこと。Less intensiveには、プラセボだけでなく、LDL-C低下作用の弱い薬剤で治療を受けた患者も含めている。それでも有意な差が認められた。 ただし全死亡のレート比はmore intensive 7.08% vs. less intensive 7.70%で、絶対差 0.62%(NNT =162)。しかもレート比なのである。 横断的なリスク比と異なり追跡期間が考慮されているため、両群の追跡期間が同等であれば問題はないが、アブストからは不明。 この値をどう捉えたらよいのか悩ましい。-Evidence never tells you what to do-
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