米国の認知症高齢者における中枢神経系に作用するポリファーマシーの使用率はどのくらいですか?(横断研究; JAMA 2021)

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認知症高齢者におけるポリファーマシーの影響とは?

地域在住の認知症高齢者において、向精神薬やオピオイドの使用率が高いです。また、これらの患者では、中枢神経系(Central Nervous System, CNS)を活性化する多剤併用(ポリファーマシー)が、認知障害、転倒関連傷害、死亡のリスクを高める可能性があります。

CNSを活性化する薬剤としては、抗うつ薬、抗精神病薬、抗てんかん薬、ベンゾジアゼピン系あるいは非ベンゾジアゼピン系催眠薬、オピオイドなどがあります。

今回は、米国の地域在住高齢者を対象とした横断的分析の結果をご紹介します。

研究結果から明らかになったことは?

認知症高齢者 1,159,968例(年齢中央値 83.0歳[IQR(四分位範囲)77.0~88.6歳]、女性65.2%)を対象とした本試験結果によれば、13.9%(n=161,412)がCNS活性ポリファーマシーの基準を満たしました。ただし、本研究におけるポリファーマシーの定義はCNS活性化薬3種類以上の使用ですので、一般的に広く定義されている「5〜6種類以上」よりも少ない点には注意が必要です。

ちなみにCNS活性ポリファーマシーの基準としては、抗うつ薬、抗精神病薬、抗てんかん薬、ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系催眠薬、オピオイドのうち、3種類以上の薬を30日以上連続して曝露された場合と定義されました。

あくまでも相関関係ではありますが、CNSを活性化する薬剤の3種類以上の使用は、米国メディケアに加入している認知症高齢者の13.9%を占めていることが明らかとなりました。

これら13.9%の患者において、実際に認知障害、転倒関連傷害、死亡などのリスク増加があるのか否かについては不明です。なぜならメディケアPart Dでは、処方の適応に関する情報がないためです。

今後のエビデンス集積が待たれます。

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✅まとめ✅ 2018年の米国における認知症高齢者の13.9%が、CNS活性のある薬剤を3種類以上処方されていた

根拠となった論文の抄録

試験の重要性:地域在住の認知症高齢者は、向精神薬やオピオイドの使用率が高い。これらの患者では、中枢神経系(CNS)を活性化する多剤併用(ポリファーマシー)が、認知障害、転倒関連傷害、死亡のリスクを高める可能性がある。

目的:米国の地域居住の認知症高齢者における中枢神経系に作用するポリファーマシーの程度を明らかにする。

試験設計、設定および参加者:2015年から2017年にかけて、認知症を有し(ICD-9またはICD-10のコードにより特定。N=1,159,968)、伝統的なメディケア保険に加入しているすべての地域在住高齢者を対象とした横断的分析。
薬物曝露は、2017年10月1日から2018年12月31日の間の処方箋記入を用いて推定した。

暴露:観察年(2018年1月1日~12月31日)のパートDカバー率。

主なアウトカムと測定法:主要アウトカムは、2018年のCNS活性ポリファーマシーの有病率であり、抗うつ薬、抗精神病薬、抗てんかん薬、ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系ベンゾジアゼピン受容体作動性催眠薬、オピオイドのうち、3種類以上の薬を30日以上連続して曝露すると定義した。
また、ポリファーマシーの基準を満たしていた人の中で、曝露期間、処方されている薬や薬効分類の数、共通の薬効分類の組み合わせ、最もよく使用されている中枢神経系活性薬についても調べました。

結果:本研究では、認知症高齢者 1,159,968例(年齢中央値 83.0歳[IQR(四分位範囲)77.0~88.6歳]、女性65.2%)を対象とし、そのうち13.9%(n=161,412)がCNS活性ポリファーマシーの基準を満たした(ポリファーマシー曝露日数 32,139,610日)
CNS活性を有するポリファーマシー患者は、年齢の中央値が79.4歳(IQR 74.0~85.5歳)で、71.2%が女性でした。CNS活性のあるポリファーマシーの基準を満たした人のうち、ポリファーマシー日数の中央値は193日(IQR 88~315)でした。
CNS活性を有するポリファーマシー患者のうち、57.8%が180日以上、6.8%が365日以上、29.4%が5種類以上、5.2%が5種類以上の薬を服用していました。
ポリファーマシー日数の92%に抗うつ薬47.1%に抗精神病薬40.7%にベンゾジアゼピン系薬剤が含まれていた。最も多かった薬効分類は、抗うつ薬、抗てんかん薬、抗精神病薬の組み合わせだった(ポリファーマシー日数の12.9%)。ガバペンチンは最も一般的な薬剤であり、ポリファーマシー日数の33.0%と関連していた

結論と関連性:メディケア請求データのこの横断分析では、2018年の認知症高齢者の13.9%が、CNS活性のあるポリファーマシーと一致する処方を満たしていた。処方の適応に関する情報がないため、個々の患者に対する薬の組み合わせの臨床的妥当性に関する判断が制限される。

参考文献

Prevalence of Central Nervous System-Active Polypharmacy Among Older Adults With Dementia in the US
Donovan T Maust et al. PMID: 33687462 PMCID: PMC7944381 (available on 2022-03-09)
DOI: 10.1001/jama.2021.1195
JAMA. 2021 Mar 9;325(10):952-961. doi: 10.1001/jama.2021.1195.
ー続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33687462/

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