背景・疑問
薬はどのくらいで安定した効果、つまり定常状態に達するのか。そして、どのくらいで体内から消失するのか。
結論
Ritschel(リッチェル)理論1) に基づくと、定常状態に達する薬の場合、半減期の 5倍の時間で反復投与により定常状態に達する。従って、服薬中止により半減期の(4〜)5倍の時間で体内から消失する。 定常状態に達する薬は、下記の式で 3以下を示す。
実例:アムロジピン口腔内崩壊錠の場合
健常成人が アムロジピン口腔内崩壊錠 5mg3)(1日 1回) 服用の場合、
投与間隔 = 24 (時間)
半減期 t1/2 = 36.5±4.2 (時間)
STEP 1:定常状態に達する薬であるか?
投与間隔 24 / 半減期 36.5 = 0.657…
≦ 3であるためアムロジピンは定常状態に達する薬。
STEP 2:どのくらいで定常状態に達するか?
36.5 × 5 = 182.5 ➡️ 7.6041…(182.5 / 24)
つまり毎日服用すると 7.6日で定常状態に達する。
申請時の資料ではアムロジピン錠 2.5mgを 14日間反復投与した場合、プラトーに達したのは 6日目以降(参考文献3を参照)。
ちなみに上記の式で解決できない薬剤もあります(membrane approach など)。こちらについては、そのうち記事にしたいと思います。 急いでいる方は参考文献の2を読んでみると良いかと思います。
参考文献・資料
1.Ritschel WA. Pharmaco-kinetics approach to drug dosing in the aged. Journal of the American Geriatrics Society 24; 344-354: 1976.
2.山本雄一郎 薬局で使える実践薬学(通称:鈍器)日経BP社 (2017/3/2) ISBN-10: 4822239616. ISBN-13: 978-4822239619
3.ノルバスク錠 添付文書(最終アクセス日:2017年10月23日)
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