非代償性心不全に対するループ系利尿薬とサイアザイド系利尿薬の併用療法は有用ですか?(DB-RCT; CLOROTIC試験; Eur Heart J. 2022)

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非代償性心不全に対するループ系利尿薬とサイアザイド(チアジド)系利尿薬を併用すると利尿や患者症状が改善するのか?

急性心不全(AHF)において、治療の基本はループ系利尿薬による体液量の減少です。しかし、ループ系利尿薬を増量しても治療効果が得られない患者は多く、代替治療戦略の立案が求められています。

そこで今回は、フロセミド静注にヒドロクロロチアジド(HCTZ)を追加することが安全かつ有効な利尿反応改善策となるかどうかを評価したCLOROTIC試験の結果をご紹介します。

本試験は、プロスペクティブな二重盲検プラセボ対照試験で、AHF患者を、フロセミド静注に加え、HCTZまたはプラセボを投与する群にランダムに割り付けました。

主要評価項目は、ランダム化後72時間における体重および患者報告による呼吸困難の変化、副次的評価項目は、30日および90日後の利尿反応および死亡率/再入院の評価指標でした。安全性の評価(腎機能および/または電解質の変化)も行われました。

試験結果から明らかになったことは?

230例の患者(女性48%、83歳)がランダムに割り付けられました。

HCTZ追加群プラセボ追加群調整推定差
(95%CI)
72時間後の体重減少-2.3kg-1.5kg-1.14
-1.84 〜 -0.42
P=0.002
患者報告の呼吸困難
(視覚的アナログスケールの曲線下面積)
960
P=0.497
720

HCTZ群では、72時間後の体重減少がプラセボ群より大きいことが示されましたが(-2.3kg vs. -1.5kg;調整推定差 -1.14、95%CI -1.84 〜 -0.42、P=0.002)、患者報告の呼吸困難には有意差がありませんでした(視覚的アナログスケールの曲線下面積:960 vs. 720、P=0.497)。これらの結果は、ランダム化から96時間後でも同様でした。

HCTZ群では、フロセミド40mgを投与するごとに24時間の利尿作用(1775mL vs. 1400mL、P=0.05)および体重減少(72時間および96時間)が認められました(P<0.001)。HCTZに割り付けられた患者では、腎機能障害を示す頻度が高いことが示されましたが(クレアチニンの増加 >26.5μmoL/L またはeGFRの減少 >50%; 46.5 vs. 17.2%; P<0.001)、低カリウム血症は両群間で同様でした。また、死亡率および再入院率に差はありませんでした。

コメント

うっ血性心不全に対する利尿薬を用いた治療戦略の立案が求められていますが、ループ系利尿薬とサイアザイド(チアジド)系利尿薬の併用療法の検証については充分に行われていません。

さて、本試験結果によれば、ループ系利尿薬にヒドロクロロチアジドを追加することにより、急性心不全患者における利尿反応が改善されました。しかし、患者報告による呼吸困難の改善については差が認められませんでした。

また、ヒドロクロロチアジド群では、高頻度に腎機能障害を示している点が気にかかります。投与後96時間までのデータであることから、投与中止後の腎機能の推移についても知りたいところです。

続報に期待。

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✅まとめ✅ ループ系利尿薬にヒドロクロロチアジドを追加することにより、急性心不全患者における利尿反応が改善された。患者報告による呼吸困難の改善については差が認められなかった。

根拠となった試験の抄録

目的:急性心不全(AHF)において、フロセミド静注にヒドロクロロチアジド(HCTZ)を追加することが安全かつ有効な利尿反応改善策となるかどうかを評価すること。

方法:プロスペクティブな二重盲検プラセボ対照試験で、AHF患者を、フロセミド静注に加え、HCTZまたはプラセボを投与する群にランダムに割り付けた。主要評価項目は、ランダム化後72時間における体重および患者報告による呼吸困難の変化であった。副次的評価項目は、30日および90日後の利尿反応および死亡率/再入院の評価指標とした。安全性の評価(腎機能および/または電解質の変化)も行われた。

結果:230例の患者(女性48%、83歳)がランダムに割り付けられた。HCTZ群では、72時間後の体重減少がプラセボ群より大きかったが(-2.3kg vs. -1.5kg;調整推定差 -1.14、95%CI -1.84 〜 -0.42、P=0.002)、患者報告の呼吸困難には有意差がなかった(視覚的アナログスケールの曲線下面積:960 vs. 720、P=0.497)。これらの結果は、ランダム化から96時間後でも同様であった。HCTZ群では、フロセミド40mgを投与するごとに24時間の利尿作用(1775mL vs. 1400mL、P=0.05)および体重減少(72時間および96時間)が認められた(P<0.001)。HCTZに割り付けられた患者では、腎機能障害を示す頻度が高かったが(クレアチニンの増加 >26.5μmoL/L またはeGFRの減少 >50%; 46.5 vs. 17.2%; P<0.001)、低カリウム血症は両群間で同様であった。死亡率および再入院率に差はなかった。

結論:ループ利尿薬にHCTZを追加することにより、AHF患者における利尿反応が改善された。

キーワード:利尿薬、フロセミド、心不全、ヒドロクロロチアジド、チアジド薬

引用文献

Combining loop with thiazide diuretics for decompensated heart failure: the CLOROTIC trial
Joan Carles Trullàs et al. PMID: 36423214 DOI: 10.1093/eurheartj/ehac689
Eur Heart J. 2022 Nov 24;ehac689. doi: 10.1093/eurheartj/ehac689. Online ahead of print.
— 読み進める pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36423214/

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