インフルエンザによる入院または死亡の予防において、吸入ザナミビルと経口オセルタミビルどちらが優れていますか?(人口ベースコホート研究; Clin Infect Dis. 2022)

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インフルエンザ患者における入院または死亡の予防効果の比較検討:吸入ザナミビル vs. 経口オセルタミビル

ランダム化比較試験の患者個人データのメタ分析によると、インフルエンザに対する早期のオセルタミビル治療により、肺炎と入院のリスクがそれぞれ44%と63%減少しました。しかし、吸入ザナミビルの入院と死亡の予防効果に関するデータは不足しています。

そこで今回は、インフルエンザの臨床診断後48時間以内に吸入ザナミビルまたは経口オセルタミビルの投与を受けたすべての外来患者を対象に吸入ザナミビと経口オセルタミビルを比較検討した台湾の全国規模の集団ベースのコホート研究の結果をご紹介します。

本試験の主要アウトカムは、14日以内のインフルエンザに関連した入院または死亡でした。2日以内に転帰が発生した者は解析から除外されました。共変量による交絡をコントロールするために、傾向スコア層別化が行われました。

試験結果から明らかになったことは?

解析対象は、インフルエンザ外来患者865,032例でした。

調整ハザード比 aHR
(95%CI)
主要転帰の発生aHR 1.01(0.96~1.06

主要転帰*の発症リスク(調整ハザード比[aHR] 1.01、95%信頼区間[CI] 0.96~1.06)は、吸入ザナミビル群(n=595,897,68.9%、reference)と経口オセルタミビル群(n=269,135、31.1%)とで差がありませんでした。
*14日以内のインフルエンザに関連した入院または死亡

さらに、高リスクのサブグループに関する事前指定解析では、65歳以上の患者(aHR 1.14、95%CI 1.05~1.25)および慢性肺疾患患者(aHR 1.23、95%CI 1.08~1.41)のいずれにおいても吸入ザナミビルが経口オセルタミビルに劣らないことが示されました。

コメント

インフルエンザ治療において、日本では治療の第一選択薬としてオセルタミビルが用いられていますが、台湾ではザナミビルが用いられているようです。しかし、これらの薬剤の比較データは不足しています。

さて、本試験結果によれば、2日以内の入院を必要としない外来患者において、吸入ザナミビルは経口オセルタミビルと比較して、インフルエンザによる入院や死亡を予防する上で統計解析上劣っていませんでした。高リスクのサブグループに関する事前指定解析では、65歳以上の患者および慢性肺疾患患者のいずれにおいても吸入ザナミビルが経口オセルタミビルに劣らないことが示されましたが、アウトカム発生はザナミビルの方が多いようです。あくまでも相関関係が示されたに過ぎませんが、効果推定値・区間推定値の結果を踏まえると経口投与可能であればオセルタミビルをまず使用した方が有効性は高そうです。

そもそもインフルエンザ治療薬の使用が必要な患者はどのような集団なのか検証する必要があると考えられます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ 2日以内の入院を必要としない外来患者において、吸入ザナミビルは経口オセルタミビルと比較して、インフルエンザによる入院や死亡を予防する上で統計解析上劣っていなかった。

根拠となった試験の抄録

背景:ランダム化比較試験の患者個人データのメタ分析によると、インフルエンザに対する早期のオセルタミビル治療により、肺炎と入院のリスクがそれぞれ44%と63%減少した。しかし、吸入ザナミビルの入院と死亡の予防効果に関するデータは不足している。

方法:この全国規模の集団ベースのコホート研究では、台湾で吸入ザナミビルが第一選択抗ウイルス薬として展開される前と後に、インフルエンザの臨床診断後48時間以内に吸入ザナミビルまたは経口オセルタミビルの投与を受けたすべての外来患者を対象とした。
主要アウトカムは、14日以内のインフルエンザに関連した入院または死亡とした。2日以内に転帰が発生した者は解析から除外した。共変量による交絡をコントロールするために、傾向スコア層別化を行った。

結果:解析対象は、インフルエンザ外来患者865,032例であった。主要転帰の発症リスク(調整ハザード比[aHR] 1.01、95%信頼区間[CI] 0.96~1.06)は、吸入ザナミビル群(n=595,897,68.9%、reference)と経口オセルタミビル群(n=269,135、31.1%)と差がなかった。さらに、高リスクのサブグループに関する事前指定解析では、65歳以上の患者(aHR 1.14、95%CI 1.05~1.25)および慢性肺疾患患者(aHR 1.23、95%CI 1.08~1.41)のいずれにおいても吸入ザナミビルが経口オセルタミビルに劣らないことが示された。

結論:2日以内の入院を必要としない状態の患者に対する外来治療として、吸入ザナミビルは経口オセルタミビルと比較して、インフルエンザによる入院や死亡を予防する上で劣っていない。

キーワード:合併症、有効性、インフルエンザ、オセルタミビル、ザナミビル

引用文献

Inhaled Zanamivir vs Oral Oseltamivir to Prevent Influenza-related Hospitalization or Death: A Nationwide Population-based Quasi-experimental Study
Chia Ping Su et al. PMID: 35299245 DOI: 10.1093/cid/ciac217
Clin Infect Dis. 2022 Oct 12;75(8):1273-1279. doi: 10.1093/cid/ciac217.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35299245/

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