COVID-19におけるバイオマーカー、呼吸介入、医療サービスに対するモルヌピラビルの影響は?(RCT; MOVe-OUT試験の二次解析; Ann Intern Med. 2022)

an elderly person checking his blood oxygen level 09_感染症
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モルヌピラビルによる入院または死亡リスク以外への影響は?

MOVe-OUT試験において、モルヌピラビルは重症化リスク因子を有する軽症から中等症のCOVID-19成人患者において、入院または死亡のリスクを臨床的に有意に減少させることが示されました。しかし、入院または死亡以外の、臨床上有用となる指標への影響については明らかとなっていません。

そこで今回は、モルヌピラビルのプラセボに対する潜在的な臨床的有用性を確認したMOVe-OUT試験の二次解析の結果をご紹介します。対象となったのは、軽症から中等症のCOVID-19を有する18歳以上の非入院成人1,433例でした。

測定項目としては、29日目までのランダム割付の全参加者におけるC反応性蛋白(CRP)濃度および酸素飽和度(Spo2)のベースラインからの変化、呼吸介入の必要性(侵襲的機械換気を含む)、医療サービスの必要性、ランダム化後に入院した参加者のサブグループにおける呼吸介入の必要性および退院までの時間でした。

試験結果から明らかになったことは?

相対リスク減少(RRR)
モルヌピラビル vs. プラセボ
(非入院患者)
呼吸器系への介入の必要性
34.3%
[95%CI 4.3~54.9%]
(ランダム化後の入院患者)
呼吸器系への介入の必要性
21.3%
[95%CI 0.2~38.0%]
急性期医療への訪問32.1%
[95%CI 4.4%~51.7%]
COVID-19関連による急性期医療への訪問33.8%
[95%CI 5.6%~53.6%]

モルヌピラビル投与群では、プラセボ投与群と比較して、CRPおよびSpo2の正常化が早く、投与3日目には改善が認められました。モルヌピラビル投与群では、プラセボ投与群に対して呼吸器系への介入の必要性が減少し(相対リスク減少[RRR] 34.3%[95%CI 4.3~54.9%])、ランダム化後の入院患者においても同様の所見が得られました(RRR 21.3%[CI 0.2~38.0%])。

モルヌピラビルの投与を受けた入院患者は、プラセボの投与を受けた患者よりも中央値で3日早く退院しました。急性期医療への訪問(7.2% vs. 10.6%;RRR 32.1%[CI 4.4%~51.7%])およびCOVID-19関連による急性期医療への訪問(6.6% vs. 10.0%;RRR 33.8%[CI 5.6%~53.6%])頻度は、プラセボ投与群に対してモルヌピラビル投与群でより低いことが示されました。

コメント

抗ウイルス薬は、COVID-19発症早期に投与することが求められます。これはウイルス増殖期に投与することで、抗ウイルス薬による効果が最大化するためです。またCOVID-19重症患者においては、入院または死亡リスクがプラセボと同様であることが報告されていることから、軽症から中等症のCOVID-19非入院患者への使用が基本であると考えられます。事実、MOVe-OUT試験において、モルヌピラビルは重症化リスク因子を有する軽症から中等症のCOVID-19成人患者において、入院または死亡のリスクを臨床的に有意に減少させることが示されました。しかし、その他のアウトカム(CRP濃度、Spo2、呼吸介入の必要性、医療サービスの必要性、呼吸介入の必要性および退院までの時間)については、充分に検討されていません。

さて、本試験結果によれば、モルヌピラビル投与群では、プラセボ投与群と比較して、CRPおよびSpo2の正常化が早く、投与3日目には改善が認められました。モルヌピラビル投与群では、プラセボ投与群に対して呼吸器系への介入の必要性が減少し、これは入院患者においても同様でした。また、モルヌピラビル投与群では、プラセボ投与群よりも3日早く退院しました。急性期医療の必要性についてもモルヌピラビル投与群の方が低いことが示されました。

あくまでも事後解析の結果ではありますが、モルヌピラビルは、入院または死亡リスク低減の他にも、臨床上重要な項目について有用であることが示されました。

今後は、同様の治療ポジションであるパクスロビドとの差別化が求められます。続報に期待。

doctor talking to a patient lying down on a hospital bed

✅まとめ✅ モルヌピラビルには、入院や死亡の減少以外にも、重要な臨床的ベネフィットがあることが示唆された。

根拠となった試験の抄録

背景:MOVe-OUT試験において、モルヌピラビルは重症化の進行リスク因子を有する軽症から中等症のCOVID-19成人患者において、入院または死亡のリスクを臨床的に有意に減少させることが示された。

目的:モルヌピラビルのプラセボに対する潜在的な臨床的有用性を確認すること。

試験デザイン:MOVe-OUTのランダム化二重盲検プラセボ対照第3相コンポーネントの二次解析(ClinicalTrials.gov: NCT04575597)。

試験設定:世界の107施設。

試験参加者:軽症から中等症のCOVID-19を有する18歳以上の非入院成人1,433例。

介入:モルヌピラビル800mg、またはプラセボを12時間おきに5日間投与。

測定方法:29日目までのランダム割付の全参加者におけるC反応性蛋白(CRP)濃度および酸素飽和度(Spo 2)のベースラインからの変化、呼吸介入の必要性(侵襲的機械換気を含む)、医療サービスの必要性、ランダム化後に入院した参加者のサブグループにおける呼吸介入の必要性および退院までの時間。

結果:モルヌピラビル投与群では、プラセボ投与群と比較して、CRPおよびSpo2の正常化が早く、投与3日目には改善が認められた。モルヌピラビル投与群では、プラセボ投与群に対して呼吸器系への介入の必要性が減少し(相対リスク減少[RRR] 34.3%[95%CI 4.3~54.9%])、ランダム化後の入院患者においても同様の所見が得られた(RRR 21.3%[CI 0.2~38.0%])。モルヌピラビルの投与を受けた入院患者は、プラセボの投与を受けた患者よりも中央値で3日早く退院した。急性期医療への訪問(7.2% vs. 10.6%;RRR 32.1%[CI 4.4%~51.7%])およびCOVID-19関連による急性期医療への訪問(6.6% vs. 10.0%;RRR 33.8%[CI 5.6%~53.6%])頻度は、プラセボ投与群に対してモルヌピラビル投与群でより低かった。

試験の限界:一部の解析は、事後的に行われた。モルヌピラビル治療の長期的な効果は評価されていない。参加者はSARS-CoV-2に対する免疫を受けていない。

結論:モルヌピラビルには、入院や死亡の減少以外にも、重要な臨床的ベネフィットがあることが示唆された。

主な資金源:Merck Sharp & Dohme LLC, a subsidiary of Merck & Co.

引用文献

Effect of Molnupiravir on Biomarkers, Respiratory Interventions, and Medical Services in COVID-19 : A Randomized, Placebo-Controlled Trial
Matthew G Johnson et al. PMID: 35667065 DOI: 10.7326/M22-0729
Ann Intern Med. 2022 Jun 7. doi: 10.7326/M22-0729. Online ahead of print.
— 読み進める pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35667065/

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