無症候性の高度頸動脈狭窄症患者における外科的介入を行わない場合の虚血性脳卒中発症率はどのくらい?(後向きコホート研究; JAMA. 2022)

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無症候性の高度頸動脈狭窄症患者において、外科的介入を行わない場合の虚血性脳卒中リスクはどの程度なのか?

無症状の高度頸動脈狭窄症患者に対する最適な管理法は明確になっていません。これは医療の進歩や、内科的治療と外科的治療を比較したデータが充分ではないためです。臨床疑問に答えるための質の高いランダム化比較試験の実施のためにも、内科的治療を受けた無症候性高度頸動脈狭窄症患者のうち、外科的治療を受けなかった患者における脳卒中の転帰を推定することが重要となります。

そこで今回は、2008~2012年に診断された無症候性高度(70~99%)頸動脈狭窄症で、過去6ヵ月間に外科的介入または同側の神経学的イベントがなかった成人3,737例を対象とした後向きコホート研究の結果をご紹介します。参加者は2019年までフォローアップを受け、全員が450万人の会員を抱える米国の統合型地域医療システムの会員でした。対象は画像診断で70~99%の無症状頸動脈狭窄が認められた患者でした。本試験の主要アウトカムは、同側の頸動脈に関連した急性虚血性脳卒中の発生率でした。死亡、登録解除、同側のインターベンションで打ち切られました。

試験結果から明らかになったことは?

画像検査を受けた94,822例のうち,3,737例(平均年齢 73.8歳[SD 9.5歳]、男性57.4%)の4,230動脈が選択基準を満たし、2,314例の2,539動脈はインターベンションを受けていませんでした。このコホートにおける平均追跡期間は4.1年(SD 3.6年)でした。

2,314例の2,539動脈が対象
介入前の同側脳卒中133件
年間の平均脳卒中発生率0.9%
5年後までの同側脳卒中のKaplan-Meier推定値4.7%

介入前の同側脳卒中は133件で、年間の平均脳卒中発生率は0.9%でした(95%信頼区間[CI] 0.7%〜1.2%)。5年後までの同側脳卒中のKaplan-Meier推定値は4.7%(95%CI 3.9%〜5.7%)でした。

コメント

高度の頸動脈狭窄症患者においては、脳卒中リスクが高いことから、これに対する予防戦略が求められます。治療法としては、内科的治療と外科的治療がありますが、どちらが優れているのかについては明らかになっていません。今回の試験では、内科的治療を受けた無症候性の高度の頸動脈狭窄症患者のうち、外科的治療を受けなかった患者における脳卒中の転帰を推定しています。

さて、本試験結果によれば、無症候性高度頸動脈狭窄症で外科的介入を受けなかった患者コホートにおいて、同側の頸動脈関連急性虚血性脳卒中の推定発生率は、5年間で4.7%でした。年間の平均脳卒中発生率は0.9%と、そこまで高い値ではない印象です。医療の進歩により、内科的治療の有効性が向上していることも要因の一つであると考えられます。今後は、外科的治療をおこなった場合と、行わなかった場合の予後比較について検証する必要があると考えられます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ 無症候性高度頸動脈狭窄症で外科的介入を受けなかった患者コホートにおいて、同側の頸動脈関連急性虚血性脳卒中の推定発生率は、5年間で4.7%であった。

根拠となった試験の抄録

試験の重要性:無症状の高度頸動脈狭窄症患者に対する最適な管理法は、医療の進歩や内科的治療と外科的治療を比較した現代的データの欠如により、不確かである。

目的:内科的治療を受けた無症候性高度頸動脈狭窄症患者のうち、外科的治療を受けなかった患者における脳卒中の転帰を推定すること。

試験デザイン、設定、参加者:2008~2012年に診断された無症候性高度(70~99%)頸動脈狭窄症で、過去6ヵ月間に外科的介入または同側の神経学的イベントがなかった成人3,737例を対象としたレトロスペクティブコホート研究。参加者は2019年までフォローアップを受け、全員が450万人の会員を抱える米国の統合型地域医療システムの会員であった。

曝露:70~99%の無症状頸動脈狭窄の画像診断。

主要アウトカムと指標:同側の頸動脈に関連した急性虚血性脳卒中の発生。死亡、登録解除、同側のインターベンションで打ち切られた。

結果:画像検査を受けた94,822例のうち,3,737例(平均年齢 73.8歳[SD 9.5歳]、男性57.4%)の4,230動脈が選択基準を満たし、2,314例の2,539動脈はインターベンションを受けていなかった。このコホートにおける平均追跡期間は4.1年(SD 3.6年)であった。介入前の同側脳卒中は133件で、年間の平均脳卒中発生率は0.9%であった(95%信頼区間[CI] 0.7%〜1.2%)。5年後までの同側脳卒中のKaplan-Meier推定値は4.7%(95%CI 3.9%〜5.7%)であった。

結論と妥当性:無症候性高度頸動脈狭窄症で外科的介入を受けなかった地域ベースの患者コホートにおいて、同側の頸動脈関連急性虚血性脳卒中の推定発生率は、5年間で4.7%であった。これらの知見は、無症候性高度頸動脈狭窄症患者に対する外科的治療と内科的治療に関する意思決定に役立つと思われる。

引用文献

Incidence of Ischemic Stroke in Patients With Asymptomatic Severe Carotid Stenosis Without Surgical Intervention
Robert W Chang et al. PMID: 35608581 PMCID: PMC9131743 DOI: 10.1001/jama.2022.4835
JAMA. 2022 May 24;327(20):1974-1982. doi: 10.1001/jama.2022.4835.
— 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35608581/

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