中等度から重度の喘息における3剤吸入 vs. 2剤吸入(RCTのSR&MA; JAMA. 2021)

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中等度から重度の喘息に対する3剤併用療法の効果はどのくらいなのか?

喘息の治療は吸入ステロイド(ICS)が基本です。しかしICS単剤では、喘息の症状コントロールが充分ではないことから、長時間作用型β2アゴニスト(LABA)あるいは長時間作用型ムスカリン拮抗薬(LAMA)を追加した2剤併用療法が用いられますが、喘息の病態と薬剤の作用機序から、基本的にはICS+LABAが用いられています。同様に、2剤併用療法で効果が不充分な場合、さらに1剤を追加し、3剤併用療法が行われます。

しかし、中等症から重症の喘息患者に対して、ICS+LABAの2剤併用療法にLAMA追加することの有益性と有害性はまだ不明です。

そこで今回は、中等度から重度の喘息における3剤併用療法と2剤併用療法を比較したランダム化比較試験(RCT)を対象に、システマティックレビューおよびメタ解析を行なった試験の結果をご紹介します。

試験結果から明らかになったことは?

3種類のLAMAを使用したRCT 20件、11,894例の小児および成人(平均年齢 52歳; 範囲 9~71歳、女性57.7%)が登録されました。

発生率
(3剤 vs. 2剤)
リスク比あるいは
標準化平均差[SMD]
(95%CI)
重篤な喘息増悪リスクの低減22.7% vs. 27.4%0.83
0.77~0.90
喘息コントロールの改善-0.06
-0.10 ~ -0.02)
喘息関連のQOLSMD 0.05
(-0.03~0.13)
死亡率0.12% vs. 0.12%0.96
(0.33~2.75)

確実性の高いエビデンスによると、3剤併用療法と2剤併用療法は、重篤増悪リスクの低減(9試験[9,932例]、22.7% vs. 27.4%,リスク比 0.83[95%CI 0.77~0.90])および喘息コントロールの改善(14試験[11,230例]、標準化平均差[SMD] -0.06[95%CI -0.10 ~ -0.02]、ACQ-7スケールの平均差 -0.04[95%CI -0.07 ~ -0.01])と有意に関連していました。

喘息関連のQOL(7試験[5,247例];SMD 0.05[95%CI -0.03~0.13];AQLQスコアの平均差 0.05[95%CI -0.03~0.13];確実性が中程度のエビデンス)や死亡率(17試験[11,595例];0.12% vs. 0.12%;リスク比 0.96[95%CI 0.33~2.75];確実性の高いエビデンス)については、2剤併用療法と3剤併用療法の間に有意な差は認められませんでした。

3剤併用療法は、ドライマウスおよび発声障害の増加と有意に関連していましたが(10試験[7,395例]、3.0% vs. 1.8%、リスク比 1.65[95%CI 1.14~2.38]、確実性の高いエビデンス)、治療関連および重篤な有害事象は群間で有意差は認められませんでした(確実性が中程度のエビデンス)。

コメント

メタ解析の結果、確実性の高いエビデンスにより、3剤併用療法は2剤併用療法と比較して、重篤な喘息増悪リスクの低減、喘息コントロールの改善が認められました。喘息コントロールのSMDは-0.06ですので、最小重要差 0.5の基準を満たしています。とはいえ、群間差は大きいとはいえませんので、全ての喘息患者を対象に3剤併用療法を推奨できません。どのような患者で3剤併用療法の益が得られるのか、この点についてより具体性をもって明らかにしていく必要があると考えます。

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✅まとめ✅ 中等度〜重度の喘息を有する小児(6~18 歳)および成人において、3剤併用療法は2剤併用療法と比較して、重篤な喘息増悪の減少および喘息コントロールの緩やかな改善と有意に関連したが、生活の質や死亡率には有意差がなかった。

根拠となった試験の抄録

試験の重要性:中等症から重症の喘息に対して、吸入コルチコステロイド(ICS)と長時間作用型β2アゴニスト(LABA)に長時間作用型ムスカリン拮抗薬(LAMA)を追加することの有益性と有害性はまだ不明である。

目的:小児および成人の持続性コントロール不能喘息患者において、3剤併用療法(ICS+LABA+LAMA)と2剤併用療法(ICS+LABA)に関連する治療成績および有害事象を系統的に統合すること。

データソース:MEDLINE、Embase、CENTRAL、ICTRP、FDA、EMAのデータベースで、2017年11月から2020年12月8日まで、言語制限なし。

研究の選択:2人の研究者が独立して、中等度から重度の喘息患者を対象に、3剤併用療法と2剤併用療法を比較したランダム化臨床試験(RCT)を選択した。

データの抽出と統合:2人の研究者が独立してデータを抽出し、バイアスリスクを評価した。個々の患者レベルの増悪データを含むランダム効果メタアナリシスを使用した。エビデンスの確実性(質)の評価にはGRADE(Grading of Recommendations, Assessment, Development and Evaluation)手法を用いた。

主要アウトカムと測定法:重篤な増悪、喘息コントロール(Asthma Control Questionnaire[ACQ-7]を用いて測定、各項目は0[完全にコントロールされている]から6[重度にコントロールされていない]までの7項目; 最小重要差 0.5)、QOL(Asthma-related Quality of Life[AQLQ]ツールを用いて測定、スコア範囲は1[重度に障害がある]から7[障害がない]; 最小重要差 0.5)、死亡率、有害事象。

結果:3種類のLAMAを使用したRCT 20件、11,894例の小児および成人(平均年齢 52歳; 範囲 9~71歳、女性57.7%)を登録した。確実性の高いエビデンスによると、3剤併用療法と2剤併用療法は、重篤増悪リスクの低減(9試験[9,932例]、22.7% vs. 27.4%,リスク比 0.83[95%CI 0.77~0.90])および喘息コントロールの改善(14試験[11,230例]、標準化平均差[SMD] -0.06[95%CI -0.10 ~ -0.02]、ACQ-7スケールの平均差 -0.04[95%CI -0.07 ~ -0.01])と有意に関連していた。
喘息関連のQOL(7試験[5,247例];SMD 0.05[95%CI -0.03~0.13];AQLQスコアの平均差 0.05[95%CI -0.03~0.13];確実性が中程度のエビデンス)や死亡率(17試験[11,595例];0.12% vs. 0.12%;リスク比 0.96[95%CI 0.33~2.75];確実性の高いエビデンス)については、2剤併用療法と3剤併用療法の間に有意な差は認められなかった。
3剤併用療法は、ドライマウスおよび発声障害の増加と有意に関連していたが(10試験[7,395例]、3.0% vs. 1.8%、リスク比 1.65[95%CI 1.14~2.38]、確実性の高いエビデンス)、治療関連および重篤な有害事象は群間で有意差がなかった(確実性が中程度のエビデンス)。

結論と関連性:中等度から重度の喘息を有する小児(6~18 歳)および成人において、3剤併用療法は2剤併用療法と比較して、重度の喘息増悪の減少および喘息コントロールの緩やかな改善と有意に関連したが、生活の質や死亡率には有意差がなかった。

引用文献

Triple vs Dual Inhaler Therapy and Asthma Outcomes in Moderate to Severe Asthma: A Systematic Review and Meta-analysis
Lisa H Y Kim et al. PMID: 34009257 PMCID: PMC8135065 (available on 2021-11-19) DOI: 10.1001/jama.2021.7872
JAMA. 2021 Jun 22;325(24):2466-2479. doi: 10.1001/jama.2021.7872.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34009257/

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