COVID-19で入院中の心血管危険因子を有する患者に対するダパグリフロジンの効果はどのくらいですか?(DB-RCT; DARE-19試験; Lancet Diabetes and Endocrinology 2021)

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SGLT-2阻害薬であるダパグリフロジンによるCOVID-19患者への効果は?

COVID-19 で入院し、2型糖尿病、心血管疾患、腎臓疾患などの心血管危険因子を有する患者は、多臓器不全や死亡のリスクが高く、臨床的な回復も遅れることが報告されています(PMID: 32416124PMID: 32434874PMID: 33023941PMID: 32921216PMID: 32109013PMID: 32250385PMID: 32640463)。

疾患の進行や主要な臨床イベントのリスクを低減する効果的な治療法が少ないことから(現在、重症患者における治療は、デキサメタゾンに限られています。PMID: 32678530)、 新たな治療オプションに対するアンメットニーズが大きくなっています。

SGLT2阻害剤は、主に2型糖尿病、心血管疾患、腎臓疾患を有する外来患者を対象とした大規模試験において、心血管イベントおよび腎臓イベントを抑制することが示されています(PMID: 32865377PMID: 32970396PMID: 30990260PMID: 31535829PMID: 26378978PMID: 28605608PMID: 30415602)。このような効果のメカニズムはまだ解明されていませんが、これまでの研究では、SGLT2阻害剤が、解糖経路の抑制(呼吸器系病原体が利用する可能性のある経路)や脂肪分解の促進、酸化ストレスや炎症の軽減、さらには内皮機能や酸素運搬能力の改善など、急性疾患(COVID-19を含む)の環境下で制御不能となっている様々な経路に好影響を与えることが示されています(PMID: 27561923PMID: 29061124PMID: 30266577PMID: 32358544PMID: 32564182PMID: 23668478PMID: 32044999PMID: 33319454)。これらの効果により、COVID-19患者の多臓器障害を予防し、回復を促すことができると考えられます。

そこで今回は、COVID-19で入院した患者で、少なくとも1つの心血管危険因子(すなわち、高血圧、2型糖尿病、動脈硬化性心血管疾患、心不全、慢性腎臓病)を有する患者を対象としたランダム化二重盲検プラセボ対照試験、DARE-19試験の結果をご紹介します。

試験結果から明らかになったことは?

2020年4月22日から2021年1月1日の間に、患者1,250例がランダムに割り付けられ、各群に625例が割り付けられました。

ダパグリフロジン群
(n=625)
プラセボ群
(n=625)
予防アウトカム
(臓器機能障害が新たに発生または悪化、
あるいは死亡)
70例(11.2%)86例(13.8%)
ハザード比[HR] 0.80
(95%CI 0.58〜1.10)
p=0.17
回復の階層的複合アウトカム
(30日目までの臨床状態の変化)
547例(87.5%)532例(85.1%)
勝率 1.09
(95%CI 0.97〜1.22
p=0.14

予防の主要複合アウトカムである臓器機能障害または死亡について、ダパグリフロジン群では70例(11.2%)、プラセボ群では86例(13.8%)に発生しました。

☆ハザード比[HR] 0.80、95%CI 0.58〜1.10、p=0.17

主要評価項目である回復については、ダパグリフロジン群で547例(87.5%)、プラセボ群で532例(85.1%)の患者が臨床状態の改善を示しましたが、統計的には有意差がありませんでした。

☆勝率 1.09、95%CI 0.97〜1.22、p=0.14

死亡は、ダパグリフロジン群で41例(6.6%)、プラセボ群で54例(8.6%)でした。

☆HR 0.77、95%CI 0.52〜1.16

重篤な有害事象は、ダパグリフロジンを投与された患者613例のうち65例(10.6%)、プラセボを投与された患者616例のうち82例(13.3%)に報告されました。

コメント

SGLT2阻害剤は、心血管イベント発生の抑制効果が示されています。解糖経路の抑制や脂肪分解の促進、酸化ストレスや炎症の軽減、さらには内皮機能や酸素運搬能力の改善など、急性疾患(COVID-19を含む)の環境下で制御不能となっている様々な経路に好影響を与えることが示されており、これらの効果により、COVID-19患者の多臓器障害を予防し、回復を促す可能性があります。

さて、本試験結果によれば、COVID-19入院患者へのダパグリフロジン投与は、プラセボ投与と比較して、臓器機能障害が新たに発生または悪化、あるいは死亡について有意差はありませんでした。効果推定値としては減少傾向でした。さらに死亡も有意差はなかったものの、ハザード比 0.77と減少傾向でした。一方、30日目までの臨床状態の変化については、統計的、効果推定値としても群間差はありませんでした。

フォローアップは30日間ですので、SGLT-2阻害薬としての作用発現での時間が不充分なのかもしれません。少なくとも有害事象の増加は示されていないことから、COVID-19発症後にSGLT-2阻害薬を中止する必要はなさそうです。

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✅まとめ✅ COVID-19で入院した心血管危険因子を有する患者において、ダパグリフロジンを投与しても、臓器機能障害や死亡の統計学的に有意なリスク低減や、臨床的回復の改善は認められなかったものの、忍容性は良好であった。

根拠となった試験の抄録

背景:COVID-19は多臓器不全を引き起こす可能性がある。SGLT2阻害剤であるダパグリフロジンは、心臓と腎臓に大きな保護効果がある。我々は、ダパグリフロジンがCOVID-19患者において、急性疾患時に制御されないプロセスに影響を与えることで、臓器保護につながるかどうかを確認することを目的とした。

方法:DARE-19は、COVID-19で入院した患者で、少なくとも1つの心血管危険因子(すなわち、高血圧、2型糖尿病、動脈硬化性心血管疾患、心不全、慢性腎臓病)を有する患者を対象としたランダム化二重盲検プラセボ対照試験である。スクリーニング時に重篤な状態にあった患者は除外した。
患者は、30日間、ダパグリフロジン(10mgを1日1回経口投与)またはマッチしたプラセボに1:1でランダムに割り付けられた。治療意図(ITT)集団において、2つの主要アウトカムが評価された。すなわち、予防アウトカム(臓器機能障害が新たに発生または悪化するまでの時間、あるいは死亡)と、回復の階層的複合アウトカム(30日目までの臨床状態の変化)であった。
安全性については、少なくとも1回の治験薬投与を受けた患者を対象に、重篤な有害事象、投与中止に至った有害事象、関心の高い有害事象を評価した。
本試験はClinicalTrials.gov(NCT04350593)に登録されている。

調査結果:2020年4月22日から2021年1月1日の間に、患者1,250例がランダムに割り付けられ、各群に625例が割り付けられた。予防の主要複合アウトカムである臓器機能障害または死亡について、ダパグリフロジン群では70例(11.2%)、プラセボ群では86例(13.8%)に発生した。
☆ハザード比[HR] 0.80、95%CI 0.58〜1.10、p=0.17
主要評価項目である回復については、ダパグリフロジン群で547例(87.5%)、プラセボ群で532例(85.1%)の患者が臨床状態の改善を示したが、統計的には有意ではなかった(勝率1.09、95%CI 0.97〜1.22、p=0.14)。死亡は、ダパグリフロジン群で41例(6.6%)、プラセボ群で54例(8.6%)であった(HR 0.77、95%CI 0.52〜1.16)。
重篤な有害事象は、ダパグリフロジンを投与された患者613例のうち65例(10.6%)、プラセボを投与された患者616例のうち82例(13.3%)に報告された。

結果の解釈:COVID-19で入院した心血管危険因子を有する患者において、ダパグリフロジンを投与しても、臓器機能障害や死亡の統計学的に有意なリスク低減や、臨床的回復の改善は認められなかったが、忍容性は良好であった。

資金提供:アストラゼネカ社

引用文献

Dapagliflozin in patients with cardiometabolic risk factors hospitalised with COVID-19 (DARE-19): a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial
Prof Mikhail N Kosiborod et al.
Lancet Diabetes and Endocrinology Published:July 21, 2021 DOI:https://doi.org/10.1016/S2213-8587(21)00180-7
ー 続きを読む https://www.thelancet.com/journals/landia/article/PIIS2213-8587(21)00180-7/fulltext

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